とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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第1次チョコレート戦争



「あーもう!ここにもないじゃない!残る店は……あと1軒か!」

今日は2月12日、時刻は16時を回ったところだ。
常盤台の超電磁砲こと御坂美琴は少しいらだちながら最後の店へと走っていった。
なぜ彼女はこんなにも必死に走っているのだろうか。
今日に限っては美琴は上条を探したり追っかけまわしたりしているわけではない。
理由は簡単、チョコレートを買うためだ。
普段なら別にチョコを買うくらいでそんなに焦らなくてもいいのだが今美琴はかなり焦っていた。
なぜか、それはチョコレートが足りないのだ。
手作りのチョコを完成させるためにはどうしてもあと1枚板チョコが必要なのだがその1枚がどこにもない。
それもそのはず今学園都市内では深刻なチョコレート不足が起きているのだ。

チョコ不足の原因は2つ
まず1つ目にこの年の始めから学園都市でチョコブームが起こったことだ。
そのため各学区でチョコは売れまくった

まあこれだけならなんの問題もなかったのだがもう1つの出来事がまずかった
2つ目の原因は学園都市内でチョコを売っている店にチョコがほとんど入荷されなくなったことだ。
原因はよくわかっていないがこのことはバレンタインに大打撃を与えた。

結果学園都市内にチョコはほとんどなくなってしまった。
そこにバレンタインでチョコ争奪戦が起きたというわけだ。

そういうわけで美琴は焦っている。
バレンタインには手作りチョコを上条に渡して告白しようと考えているためどうしてもチョコは必要だ。
こうして美琴はチョコが置いてある最後の店にたどりついた。

「(お願い神様!どうか私にチョコを!!)」

その祈りが通じたのかお菓子コーナーには念願の板チョコがあった。
誰かに買われてはならないと全速力で走っていく。

「(よっしゃー!神は私を味方したわ!!)」

美琴は心の中でガッツポーズをしチョコに手を伸ばす

「チョコゲーーーーット!!」ガシッ!!!!

しかしそんなに世の中甘くはない、ええ甘くはないんですよこれが。
チョコのように甘ければよかったんですがねぇ。

「「「ん!?」」」

チョコに伸びた手は3つ、右から神裂火織、御坂美琴、姫神秋沙。
その場が沈黙する。
さらによく見ると残っているチョコは1つだけ。

*すでに3人は知り合いという設定でお願いします

その沈黙を破ったのは美琴
美「……あのー2人とも離してもらえます?私これ買うんですけど」
神「いや御坂さん、私もこれが必要なのですが…」
姫「……私も…上条くんのためにも必要…」

「「!!?」」

姫神の爆弾発言を2人が聞き逃すわけはない。

美「ひ、姫神さんあなたもアイツにチョコを!?」
神「あなたもって御坂さんも!?」
姫「ということはあなた達も上条くんにチョコを…?」

「「「(……………この2人には絶対にこのチョコは渡せない!!!)」」」

渡す相手が上条とわかり3人はヒートアップ。
ここに世にも恐ろしい第1次チョコレート戦争が勃発した!!!
明らかにこの場だけ空気が違う。
お菓子コーナーなのに子供がいなくなっている。

美「わ、私これがあればチョコ完成するんですよ~…譲ってはもらえないですか?」
神「私もこれで完成しますよ!」
美「……どうしても譲ってもらえないなら実力行使、ということになりますけど…」
神「…仕方ありませんね…手加減はしませんよ?」
姫「隙あり!」バッ!!

姫神は2人が言い争っている隙を突きチョコを奪いレジへと向かう―――
が、流石は美琴、レジへ走ろうとする姫神の服をとっさにつかむ。

姫「!?」

予想していなかったため姫神は大きくバランスを崩しチョコは空中を舞う。
そのチョコ目指して神裂が走り出す。
姫神の服をつかんだため美琴は一瞬出だしが遅れる。

神「もらいました!」
美「くっ!(届かないか!)」

神裂がチョコに手を伸ばす―――が、チョコを手にしたのは神裂ではなく横から飛び出してきた佐天だ!

*すでにみんな知り合いって設定でよろしくお願いします

美「佐天さん!?」
佐「悪いですけどこれはあたしがもらいます!これがあれば私のチョコは完―――」

言い終わらないうちに佐天の手からチョコが消える。
盗ったのは五和だ。

佐「あー!五和さん!?」
五「これで上条さんへのチョコが―――ぐふぅ!」
美&神「「させるかあぁぁぁぁぁーーーー!!!!!」」

2人のド派手なタックルが五和を襲う。
その衝撃にいつかの上条のように吹っ飛ぶ五和。
もはや店内ということはお構いなしだ。

神「五和!チョコを渡しなさい!!それは私のです!!!」
五「女教皇様…痛いです…ってチョコがない?」
美「え!?どこに!!?…ってあれは固法先輩に婚后さん!?」

チョコは再び吹っ飛んでいたが3人はそれに気づかない。
まああんだけすごいタックルすればチョコも空中を舞うのも当然ですな……
そして新たに参戦する固法と婚后の存在に美琴は気づく。

チョコ目指して走るのは佐天、固法、婚后の3人。

佐「渡すかー!!!」
固「今回だけは譲りませんよ!」
婚「2人とも!あれはワタクシのチョコですのよ!!」

今度チョコを手にしたのは―――――――――落下地点にいた初春だった。
初春も佐天らと店に来たのはいいが争奪戦のあまりの激しさに参加できずにいたのだ。

初「これはラッキーです!レジはどっち―――」
佐「うぅ~い~はぁ~る~!!!!!」バッ!!
初「へ……ってキャーーーーーーー!!!!!」
固「もらったぁ!!」

おもいっきり初春のスカートをめくる佐天、スカートを押さえようとしたためチョコは下に落ちる。
それを取ったのは固法。取った瞬間レジへと走り出す。
それを追うのは婚后を先頭に佐天、美琴、神裂。
五和はまだ動けないようだ。

佐「しまったぁ!!初春のパンツ眺めてる場合じゃなかった!」
婚「くっ…おまちなさい!!」
美「以外と速いわね固法先輩…」
固「私もあの人のためにチョコがいるので今回だけは――――――ってああ!」
姫「それは私の…」サッ!

物陰に隠れていた姫神が固法の手からチョコを奪いとる。

固「ち、ちょっと返しなさい!!」
姫「こんどこそレジに………とみせかせてパス」

と、ふいに姫神はチョコを横へとほうり投げる
それを受け取ったのはインデックスだった。

イ「ナイスバスなんだよあいさ!」

実はインデックスと姫神は元々チョコを半分に分ける予定だった。
インデックスでは不安だったため姫神がチョコを買いに来たわけだが(インデックスも店には来ていた)
姫神が苦戦しているのを見たためインデックスも参戦したというわけだ。
かくしてこの戦場に初の連合軍が完成した!!
これを見た初春は考える。

初「(量は半分になってしまうけどしかたありませんね…)佐天さん!提案があります!」
佐「え!?何よ初春、今それどころじゃ…」
初「私達も協力しませんか?御坂さんや神裂さん相手に個人でたちうちするのは難しいと思います!」
佐「(確かに初春の言うことも一理あるなー…半分にはなるけどこの際仕方ない!)…わかったよ初春!こっちも協力しようじゃん!」

こうしてここにひそかに佐天初春連合軍が誕生した!
そして2人は作戦を考え始める。

一方インデックスと姫神はうまくパスをすることでレジへと向かっていた、が流石に何度もパスをすればパターンはつかめてくる。

イ「あいさーパスなんだよ!」ポイッ

が、ややパスが短かったうえ行動がよまれていた。
ここでもっとも近くにいたのが婚后。

婚「いただきましたわ!!」パシッ!
姫「!?」
イ「あー!!ずるいんだよ!!」
婚「なんとでもお言いなさい!これはワタクシのですわ!」

だが婚后は初のチョコ奪取に一瞬であったが油断した。
この一瞬の油断を美琴が見逃すはずはなく

美「もらったーーー!!!」
婚「ああ!御坂様!?」
美「よし!このままレジに…ってそんな甘くないか…」

美琴の前に立ちはだかるは神裂火織。店内なので刀は抜かずにそのままかまえている。
さらに後ろには婚后と固法、右には復活した五和がいる。

神「チョコを渡しなさい、さもなければ本気でいきますよ。」
美「(店内で大きな電撃は使えない…神裂さんもそれはわかってるみたいだし…特攻するのは得策じゃないか。)」
イ「それを渡すんだよみことーーー!!!」
美「な!?インデックス!?」
五「チャンスです!」

いきなり美琴に飛び掛るインデックス、そしてそれに便乗しチョコを狙いにいく五和。
インデックスが飛び掛ってきたのは後ろから、そして右からは五和、前には神裂、つまり美琴には左へ逃げるという選択肢しかなかった。
五和とインデックスを華麗にかわしレジと反対方向の左に走る。
飛び掛った2人は交錯しその場に倒れる。
その2人を飛び越え美琴を追う3人

美「う~レジが遠のく…」
神&固「「待ちなさい!」」
婚「今日だけは御坂様にも譲りませんことよ!!」
初「(今です!!)」

と、ふいに美琴の前に初春が現れ、美琴は急ブレーキをかける。
ここで佐天が美琴からチョコを奪い取る。

佐「よっしゃー!ナイス初春!!」
美「ちょ、ちょっといつの間に協力するようになったのよ2人とも!」
初「さっきですよ!行きますよ佐天さん!!」
佐「わかってるよ―――っと危ない危ない!初春パス!」
イ「あー!!またはずれたんだよ!!」
婚「くっ!届きませんわ!」

佐天はインデックスのタックルをかわし初春へとパスする。
婚后も手を伸ばすがチョコには届かない。
それは周りにはだれもおらず絶妙なパスだった、がしかしそのパスを見た神裂が刀をのばしはじく。

初「な!神裂さん刀はずるいですよ!!」
神「ずるくなどありません!そっちだって協力し合ってるじゃありませんか!」
五「ゲットーーーー!!!」
初&神「!?」
五「今度こそ―――ぐふぅ!」

固&神「「させるかあぁぁぁぁぁーーーー!!!!!」」

はじかれたチョコを取ったのは五和。
再びチョコを奪取し再びタックルをくらう。
3たび宙を舞うチョコ、なんかもう中身は粉々になってそうだ
固法と神裂はタックルをしたのでスタートが遅れ他の面々がチョコを追う。
美琴、佐天、婚后がほぼ同時に、少し遅れて3人の後ろに初春、インデックスが続く。
今度取ったのは美琴――――――――――――――――――ではなく御坂妹10032号だ。

佐「ええーーー!!妹さん!?」
婚「次から次へと新手が…」
妹「皆さんには悪いですがこれは私がいただきます、とミサカは謝りつつレジへと向かいます。」
美「ちょっと待ちなさーーーい!!!」
妹「いえ今回だけは私も譲りません、とミサ――――――!?」

レジに着く寸前で御坂妹は白い物体にタックルをくらう。
それはもちろんインデックスだ。
そこに美琴と初春がやってくる。そのすぐ後ろには婚后、五和、佐天、固法、神裂が迫ってきている。

イ「やっとチョコを見つけたんだよ!とーまのためにもそれは私の……ってあれ?」
初「あれ?チョコはどこですか?」
美「あ!あそこ!!」

インデックスのタックルで吹っ飛ぶチョコ。
今度は宙を舞うのではなく床を滑っていった。
そしてその先にいたのは――――――――――――――――――小萌先生だった。

小「ん~?これは…チョコですね。なんでここにあるのかわからないけどとりあえず買っておきましょう♪」

そう言うと小萌先生はレジへと進んで行ってしまった。
それを見ていた9人は

一同「「「「「「「「「あ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」

と叫び声をあげるしかなかった



…………………………………9人?
美琴、インデックス、神裂、五和、佐天、初春、固法、婚后、御坂妹……
だれか忘れてるような………?

会計を済ました小萌を呆然と見ている9人、普通ならここでチョコレート戦争は終戦となるはずだった。
だが1人の少女により戦争はさらに過激度を増す!!!

9人はふと気づく、小萌に特攻する少女がいることに。
その少女は小萌の買い物袋からチョコを奪うと一目散に店の外へと走っていく。
そう、その少女とは姫神だ。
姫神はインデックスと組んでもチョコを奪取することは不可能と考え始めていた。
そこで姫神が考えた作戦はレジ寸前で奪い取りそのまま買う、というものだった。
だが小萌先生がレジへ進んでしまったのでレジの向こう側で待機していたのだ。
あまりに一瞬の出来事に小萌先生は唖然としている。

姫神に渡すわけにはいけないと大急ぎであとを追う9人。
が、店を出たところに姫神はしりもちをついていた。
どうやら店に入ってこようとした客とぶつかったらしい。その客を見てみると…

「いきなり飛び出してくるからビックリしたよ、ってなんだこれ?チョコ?」

上条だった。
チョコを拾う上条、するとなぜか殺気を感じる。
殺気のする方向をみるとみたことある面々が上条を見ている、というかにらんでいる。
ちなみに上条は佐天、初春、婚后、固法とも知り合いとなっている。
知り合った経緯はもちろん何かで困っているところを助けたからである。

上「ん?なんだこのメンバー…ってなぜこっちをにらんでるんでせうか?」

一同「「「「「「「「「そのチョコを渡しなさい!!!!!!!!」」」」」」」」」

上「へ?てうおおおおおおぉぉぉぉぉぉおお!?」

すごい殺気を出しながら自分めがけて走ってくるのだから上条は逃げた。
全速力でチョコを持って逃げた。
そしてそれを追う10人。
こうして今度は街中で10人の美女&美少女に追われる高校生、という奇妙な光景が生まれることとなった。

しかし逃げることならレベル5といっても過言ではない上条相手にいつまでも追いかけようというのは得策ではない。
そう考えた美琴は電撃の槍を上条めがけて投げつける

美「止まらんかぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!!!」
上「いいいいいいいいいいいい!!?」

上条は振り向き右手を伸ばし電撃をかき消す。
ここまでは美琴の計算通りだったがすべてがうまくいくはずがなかった。
電撃をかき消した反動でチョコは本日4回目となる宙を舞う。

その落下地点にいたのは――――――――――――――――――打ち止めだった。

打「?おおー!!空から念願のチョコが降ってきたよ、わーい!!ってミサカはミサカは驚きつつも全力で喜んでみる!」
固「(何かやたらチョコは吹っ飛ぶし吹っ飛んだ先に新手がいるわね……)」
佐「打ち止めちゃん!?なんでここに?」
打「なんでってあの人のためにチョコを買いに来たんだよ!ってミサカはミサカは詳しく説明してみたり!」

そう説明する打ち止めの顔は天使のようににこやかだった。
打ち止めでも今学園都市内でチョコが不足していることは知っている。
すでに何軒か店を回ったがチョコはなく、もう手に入らないかも、と考えていたのだからこのチョコはかなり嬉しかったようだ。

美「(…こんなに喜んでる子供からチョコを奪えるかー!!!)」

他のメンバーも同じことを考えているようだった。
いくらなんでもこれだけ喜んでいる子供から奪い取ろうという人はいないだろう。
御坂妹だけは飛び掛ろうとしていたがそれを察した五和が必死に止めていた。
なんとも複雑そうな表情を浮かべながら各自帰っていった。
こうしてここに第1次チョコレート戦争は終結した。
そしてその場に1人取り残される上条。

上「……いったいなんだったんだ…」

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

場面は変わって常盤台の寮、美琴は自分の部屋のベッドで想像を絶するほど落ち込んでいた。
チョコを手に入れられなかったこともそうだが寮に帰ってきたら今まで買ってあったチョコがなくなっていたのだ。
犯人はズバリ黒子、美琴が上条に告白しようとしていることに感ずいた黒子はチョコを食べてしまった。
別にチョコなしでも告白はできるがバレンタインにチョコなしで告白というのは少し寂しい。
そんなこともあって美琴のテンションと機嫌は最悪だった。
黒子にプロレス技をかけまくったあとそれ死ぬんじゃね?ってくらい電撃を浴びせたがまだ機嫌は直らない。
騒ぎに気づいた寮監も駆けつけたが美琴のテンションと機嫌の悪さに気づき注意だけをし戻っていくほどだった。

「はぁー……結局うかくいかない運命なのかな…」

ベッドの上でポツリとつぶやく。
すると部屋のドアをノックする音が聞こえた。
今の気分から無視をすることも考えたが大事な用かもしれないのでとりあえず出ることにした。

「は~い、どちらさま…って土御門じゃない。」

「お~御坂ー今日はいろいろ大変だったみたいだなー。」

「え!?なんでアンタがあの店での出来事知ってんのよ!」

「なんでって全部見てたからに決まってるじゃないかー。いやーあのタックルはすごかったなー。」

「あれを見てたわけね…で、用はそれだけ?私今1人になりたいんだけど。」

「まーそう機嫌を悪くするなー、せっかくこれ持ってきてやったんだからなー!」

「これ…ってチョコじゃない!!それもこんなにたくさん!いったいどうやって手に入れたのよ!」

「先月からチョコが売れまくっていたからなー、こんな時のために買いだめしておいたんだぞー。ほら御坂、好きなだけ持ってけー!」

「え!?いいの!!?ありがと土御門!!(昼間の苦労はいったい……)」

「いいってことよー!その代わり結果を教えるんだぞー!」

「け、結果っていったいなんのこと…」

「とぼけるなよ~上条当麻に告白するときに渡すんだろー。」

「!?な、なんのことかさっぱりわからないなー…(何で土御門が知ってるのよー!!)」

「ごまかしても無駄だからなー!じゃそういうことでちゃんと教えろよー」

「あ!ちょっと土御門!…って行っちゃった……まあいいわ!チョコは手に入ったしね!」

そんなことでチョコを手に入れた美琴のテンションはさっきと一転して良いほうにMAXになっていた。
こうして美琴は次の日、13日の夜には手作りチョコを完成させることができた。
途中黒子に邪魔をされかけたが何かあるたびに電撃を浴びせ防衛に成功していた。
チョコの準備は万端、あとは上条に会う約束をするだけだ。
かなり悩んだ末電話で約束することに決めた。
メールだと上条が気づかないかもしれないと心配だったからだ。

「よ、よしあとは電話でアイツに……自然に…素直に…」

電話をすると決意してからおよそ30分後、ようやく美琴は上条へ電話をかけた。

話し中だった。
やり場のない怒りにみまわれながらも数分後再度電話をかける。
今度はちゃんとつながったがコール音が聞こえるかどうか、というくらいすぐに上条が電話にでる。

『今度は御坂か…どうした何のようだ?』

「ふえ!?あの、えーと…そ、その…明日よ明日!!」

いきなり電話にでられたためテンパる美琴。
そのため上条の「“今度は御坂か”」発言に全く気づいていない。

『明日?明日がどうしたんだよ。ん~……明日っていったらバレン―――』

「いいいいいいいいいから明日の放課後5時にいつもの公園にきなさい!!わかった!?」

『え?ちょっと待―――』

上条が返事をする前に電話を切る美琴。

「…全然イメージ通りじゃなかったじゃない……はぁ…まあ約束できただけでもよしとしよっ!!」

そういって美琴はベッドにもぐりこみ次の日を待つ―――


翌日14日、この日は平日のため上条に会い告白するのは放課後となる。
それは美琴も百も承知だったが朝から気が気ではなかった。
おかげで学校に遅刻しかけるわ、授業は上の空だわ、先生やクラスメイトに無駄に心配されるなどといろいろ大変だった。
そしてついに放課後、現在の時刻は4時半、少し早いがいつもの公園着いた。
美琴は絶賛緊張中、頭の中は真っ白だった。
するとそんな状態の美琴に声をかける人物がいた。
美琴そっくりな姿をしている人物、御坂妹10032号だ。

「お姉様?こんなところで直立不動とはどうしたんですか?とミサカは不思議そうにたずねます。」

「へ?あ、えと、わ、わわ私は夕焼けがきれいだなー、と思って眺めてただけよ!ア、アンタこそなんでここに?」

「…明らかに嘘ですね。私はあの方に告白するためここに来たのですよ、とミサカは衝撃の事実をお伝えします。」

「嘘じゃな……告白ぅ!?あ、あ、あの方ってま、まさか…!?」

「お姉様が考えている人物で合っていますよ。そういうお姉様も告白ですか?、とミサカはわかりきったことをたずねます。」

「な、な、な…」

美琴の顔は真っ赤に染まっていく。
だが先ほどとは違い頭の中ではしっかりと考えることができている。

「(この子も告白するんだ……アイツは私と妹だったらどっちを選ぶのかな…)」

と、ここで美琴は御坂妹が手にしているものに気づく。
今日はバレンタイン、そこからそれが何かはすぐに理解できた。

「ん?アンタそれチョコよね?一昨日のあのチョコは打ち止めに持ってかれたけど作れたんだ。」

「はい、先生が買ってくれたチョコがありましたので、それでなんとか作ることができました、とミサカは説明します。」

「ふ~ん…(あ…この子と話したおかげで少し落ち着けたかな…)」

「なんですか?その興味のないような反応は、とミサカは不満をあらわにします。」

「え!?ああごめんちょっと考え事してた。……そっかアンタも告白するんだ。」

「アンタも、ということはやはりお姉様も?とミサカは聞き返します。」

「ええそうよ。でも、絶対に負けないんだからね!」

「臨むところです。お姉様には負けません!、とミサカは宣言します。」

そんなことを話しているうちに時刻は5時になっていた。
ふと向こうに目をやるとそこには上条が歩いてくる姿が見えた。
美琴の心拍数が上昇する。

「おー御坂に御坂妹、いったい何の用なんだ?」

上条に話かけられらことで再び頭の中が真っ白になりかける美琴、だが今は真っ白になっている場合ではない。

「あ、えと、こ、これ!」

「ん、おおひょっとしてチョコレートか!?」

「そ、そうよ!手作りなんだから大事に食べなさいよ!」

「おう!ありがとな御坂!義理でも「義理じゃない!」嬉しい―――え?」

「義理じゃないの!わ、私はずっとアンタのことが「上条さん!!」好……って、え?」

まさに告白しようとしたそのとき、誰かが上条を呼ぶ。
その方向を見てみるとそこに立っていたのは五和だった。

五「か、上条さん…きてくれたんですね…って御坂さんに妹さん!?」
美「五和さん!?どうしてここに!?」
妹「まさかあなたも告は「あれ?御坂さんに妹さんに五和さん!?」く…ってなぜあなたまでここに?とミサカは混乱しつつ尋ねます。」
佐「なぜってあたしは上条さんに会いにきたんですけど…」
初「はぁ…緊張すしますね……ってみなさんどうしたんですか!?」

続々とやってくる面々、明らかに全員混乱している。
するとさらに

婚「上条様!今日こそワタクシの気持ちを…」
神「上条当麻…日ごろの借りと私の気持ちなんですが…」
姫「上条くん…これを…」
イ「とーま!帰ってくるのが遅いんだよ!せっかくチョコを作ったのに…」
固「上条さん!これ受け取って…」

「「「「「「「「「「……え!?」」」」」」」」」」

一昨日チョコレート戦争を繰り広げた面々が勢ぞろいする。
全員はそれぞれが上条にチョコを渡そうとしていることに気づく。
公園は静寂に包まれる。

美「アンタ…」
神「上条当麻…」
婚「上条様…」
イ「とーま…」
姫「上条くん…」
妹「……」
佐&初&五&固「「「「上条さん…」」」」

上「は、はい…なんでございませうか…?」

上条は何やらヤバイと悟ったのか顔が真っ青になっていく。

「「「「「「「「「「これはどういうことか説明してもらおうかしら!!(ほしいかも!!)(ください!!)(とミサカは追求します!)」」」」」」」」」」

上「ええーーーーー!?説明ってどういうこと!?…ってみなさんなぜそんな怒ってらっしゃいますんでせうか!?」

実は一昨日と昨日でそれぞれなんとかチョコを手に入れることができていた。
そして昨日、上条はインデックスを除く9人から5時にこの公園にくるよう言われていたのだ。
それも全員が全員美琴と同じ様な電話をしたのだから上条はわけがわからなかった。
電話した9人が上条に告白しようとしていることは上条本人は露知らず

「全員同じ時間を指名してきたけどたいした用じゃないだろうしまあいいか」

みたいなかんじで時間をずらそうとしなかった。
それがまずかった。
こうなった以上上条はいつものセリフを言うしかない。

「ふ、不幸だぁああああああああああーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

そして一昨日のような壮絶な追いかけっこが始まった。


ちなみに今回のこの騒動の真の黒幕はというと……

「今回は実に面白かったな…。また何か考えておこう。」

「……これだけのためにチョコを売らせないようにするとはお前もよくやるにゃーアレイスター…」

アレイスターだった。


こうしてこの日10人は上条にチョコを渡すことはできたが結局告白はできなかった。

できなかったが上条は次の日から美琴を意識するようになる。
そう、あの「義理じゃない」発言と中途半端な告白は上条が美琴を意識するようになるには十分だった。

1ヵ月後のホワイトデー、上条が「本命」のお返しを渡した相手が今回のチョコレート戦争の真の勝者となる。
だがその勝者はこの日すでに決まっていたのかもしれない―――



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