631 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:34:25 ID:J/yDsSoE
 日本勝利を祝して投下


 三月とはいえ夜はまだ寒い。
 今何時だっけ。
 口から吐き出される白い息を見つめながらアルコールに浸かった頭はぼんやりとそんなことを考える。

「終わっちゃったね」

 横から声が掛けられる。
 いつから居たんだろうか。
 2人掛けのベンチの隣にはいつの間にか嵯峨野が居た。

「ああ終わったな」

 そうだ終わったんだ。
 卒業式が終わって、クラスの打ち上げも終わって、その数日後に開かれたバスケ部の打ち上げも今終わった。

「寂しくなるね」
「3年間すげー楽しかったから余計になあ」
「だよねー。二年生の時のクラスなんかほんと濃かったし」
「播磨に花井に麻生や西本。どいつもこいつもただものじゃなかったからな。毎日退屈しなかったぜ」
「あはは、そのせいで舞ちゃん大変そうだった。ねえ、菅は高校生活満足した?悔いはない?」
「悔いか……」

 この3年間本当に楽しかった。
 それは嘘じゃねえ。嘘じゃねえけど。

「なーに、黙ってん……ってあんた何で泣いてんのよ!」
「彼女が欲しかった」

632 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:35:14 ID:J/yDsSoE
はらはらと頬を伝う涙。
 悲しいからじゃねえ、寂しいからじゃねえ、少し酔いが回っただけだ。

「え?」
「デートもしたことねえ。キスもまだだ」

 呆れているのか嵯峨野からのリアクションはない。
 なんて情けない俺。

「当然エッチもまだだ。正真正銘童貞だぜ。大学生活が不安だ。俺はこのまま一生童貞のまま死ぬかもしれん」
「……」

 おい!頼むから何かリアクションしてくれよ!
 どんどん情けなくなってきた、やべえ涙が止まらねえ。   

「……ねえ。あんた私のことスキ?」
「は?」
「だ、だから菅が私のこと好きだっていうなら、あんたとしてもいいかなって」
「好きだ! 愛してる!」
「……あんたサイテーね」
「お、お前があんなこと言うからじゃねえか! ……ってかお前、俺のこと好きだったのか?」
「はあ? 冗談言わないで。私が好きなのはイケメンよ!」

 こいつ……ズビシっ!と俺に指を突きつけて宣言しやがった。

 「じゃ、じゃあ何であんなこと言うんだよ!?」

 沈黙が落ちる。
 ひじょーに居心地の悪い雰囲気だ。
 それを打開しようとしたが結局先に口を開いたのは嵯峨野だった。

「一条やつむぎを見てるとさ。自分が本当に恋が出来るか不安になるの。だから色々経験したら分かるかなって」

 そう言った嵯峨野の顔はどこか辛そうだ。
 何か声かけねえと。

「お、おい」
「ゴメン! 変なこと言った。今のは忘れて!」

 嵯峨野はベンチから立ち上がって歩き始めた。
 おい、俺は千載一遇のチャンスを逃しちまったのか。
 高校は卒業しても童貞学園ではダブっちまったのか。
 単位か、単位が足りなかったのか、教えてくれ柳捻寺先生!

「何してんの?行こ」
「お、おう?」

 しばらく惚けた様に嵯峨野の後ろ姿を見つめた後、俺は急いで後を追いかけた。

633 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:36:15 ID:J/yDsSoE
 バスローブ一枚に身を包んだ俺はベッドで端でガタガタ震えていた。
 耳に流れ込んでくるシャワーの音、ガラス越しに映るなめらかなシルエット。
 親父、今日あんたの息子は男になります。

 大丈夫、何度もシミュレーションしたシチュだ。
 AVだったら穴があく程見た。
 バスルームから出てくる女を待つ俺。
 彼女を自然にベッドに誘い、軽妙なトークでリラックスさせる。
 始めは軽いスキンシップから徐々に露骨なものに変化させていく。
 そして俺は獣になる、そうだ鷹になるんだ。 

 「ごめん、遅くなって」

 いつのまにか目の前にさがのん。
 濡れた髪、バスローブの隙間から覗く素肌。

 「ひ、ひゅえ、そ、そんなことないですよ!」

 だせえ、今の俺は途轍もなくだせえ。

 「あはは、何で敬語なの? もっとリラックスしてよ」
 「――!!」

 あまりの恥ずかしさのせいか、気が動転した俺は嵯峨野を押し倒していた。

「痛っ。もっと優しく扱ってよ」
「す、すまねえ」

 密着する体、漂う女の特有の体臭。
 俺の海綿体のドクドクと血液が送り込まれていくのを感じる。

「ねえ、菅。……あんたのがすごい当たってるんだけど」
「し、仕方ねえだろ」

 俺も嵯峨野も顔が真っ赤だ。
 でも隙間から覗く胸元は白く、俺はそのコントラストにまた強く惹き付けられる。


634 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:37:24 ID:J/yDsSoE
「なあ触っもいいよな?」
「だめ」
「なななな、なんで?」
「最初はキスしてよ。ほんとムードの読めない男ね」

 そう言って笑う嵯峨野の唇はひどくこ惑的で俺を誘っているようだ。
 言われるがまま嵯峨野に口づける。柔らかい。
 その感触に感動して一旦唇を離すもまたすぐに嵯峨野の唇に吸い付いた。
 始めは啄むようだったキスもそれに慣れてきた俺は恐る恐る嵯峨野の唇を割って彼女の中に俺の舌を侵入させた。
 初めて経験する女の腔内は温かく、思っていた以上に気持ちのよいものだ。
 ぎこちなく絡み付く彼女の舌の感触は俺のペニスをダイレクトに刺激する。

 「んぁ……ぅ、ふ、ぅん……」

 嵯峨野からも甘い声が漏れる。
 その声が更に俺を煽る。
 キスをしたまま嵯峨野のバスローブの前を開け、形のいいその胸に手を伸ばす。
 大きさこそないが俺の手の動きに素直に反応して形を変えるそれに俺は夢中になった。
 彼女の吐息も更に甘いものなり、その反応に気を良くした俺の手は彼女の下腹部へと向かった。
 先に脱いでいたのだろう、既にショーツは無く、太腿の間に滑り込ませた指はあっけない程簡単に彼女の内部に到達した。

「ひっ!んっ……いやぁ」

 その途端、嵯峨野が強く反応を返す。
 彼女の粘液が膣壁が指に絡み付く、キツい程に俺の指を締め上げる。
 あまりの興奮にこのまま射精しかねんと名残惜しいが彼女の体から解放する。
 しかし離れたと思った二つの唇の間にはヌラリと光る唾液で橋が架かっていた。
 その橋がプツンと切れるのを紅潮した顔で見つめていた嵯峨野が口を開く。

 「ねえ、あんただけ服着てるなんてずるいよ。私にも菅のを見せてよ」

 ああ、見てくれ。
 大きくなった俺のモンスターを見てくれ。
 お前のおかげでこんなに大きくなったぞ。
 実際は標準サイズなんだが心無しか今日はやけに立派に見える相棒をバスローブの中から解放した。
 その瞬間、嵯峨野が目を見張る。


635 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:38:26 ID:J/yDsSoE
 「それが私の中に入るんだよね。……いいよ、来て」

 俺は逸る気持ちを必死に抑えながら彼女の淫裂にペニスをあてがう。
 しかしなかなか上手く入らない。

 「違う。もうちょっと下。……うん、そこ。っ痛!」

 やっと彼女の挿入に成功するも、痛いぐらいに締め上げてくる。
 シーツに血が滲む。
 もう頭が真っ白で自分が気持ち良いかすら分からない。

 「だ、大丈夫か? 抜いた方がいいか」
 「ん、……大丈夫」

 心配かけまいと、そう言いながらニコッと笑う彼女の顔はこれまで見たことがない程綺麗だった。
 ああ本当に俺は最低な野郎だ。
 すまねえ嵯峨野。

 「嵯峨野! 好きだ! 大好きだ! 今度は嘘じゃねえ」

 キョトンとした顔の嵯峨野。
 たぶん俺の顔は真っ赤だろうな、顔が熱い。
 数秒遅れて嵯峨野の顔も朱に染まっていく。
 なんか林檎みてえだ。
 嵯峨野は赤い顔のまま右へ左へ視線を彷徨わせた後、俺から目を逸らしたまま口を開いた。

 「私もあんたのことけっこー好き……かも?」

 ああ、抱きしめてえ。
 そんな気持ちがこみ上げてきた。
                                  完



636 名前:サガスガ薄命[sage] 投稿日:2008/06/22(日) 23:42:17 ID:J/yDsSoE
投下完了です
やっつけなんで誤字脱字はご容赦下さい
サガスガ書いてみると面白いけど会話とか難しいね
エロは手抜きでスマン
最終更新:2008年06月22日 23:49