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Phase of フェイト・テスタロッサ「桜の花の咲く頃に」
最終更新:
nanoha_data
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- プロローグ
- STAGE 1(VSクロノ)
- STAGE 2(VS闇の欠片はやて)
- WARNING(VS闇の欠片シャマル)
- STAGE 3(VS闇の欠片ザフィーラ)
- STAGE 4(VS星光の殲滅者)
- WARNING(VSヴィータ)
- STAGE 5(VS闇の欠片シグナム)
- FINAL STAGE(VS闇の欠片フェイト)
- エピローグ
プロローグ
フェイト
いろんな事があった『闇の書事件』。 事件の全てが終わりを告げてから、 もうすぐ一週間。 |
わたし、フェイト・テスタロッサは、 今まで通り、 リンディ提督のおうちでお世話になっています。 |
エイミィ
闇の書事件の事後処理も、 もうほとんど終わりだねぇ。 |
アルフ
そーだねえー。 |
クロノ
ただ、あれだけの大魔力を消し飛ばしたからな。 少なくとも年内いっぱいは警戒を続けないと。 |
フェイト
このままなんにもなく年が明けて、 観測チームに引き継げるといいんだけどね。 |
エイミィ
だよねー。 旅行行きたいもん。 |
リンディ
まあ、大丈夫よ、きっと。 |
クロノ
何かあっても、細かい案件なら、 僕とランディ達が残ればいい。 フェイトやエイミィ達の旅行は動かないさ。 |
フェイト
えー。クロノも一緒がいいよ。 せっかくの合同旅行なんだから。 |
エイミィ
ね。 |
アルフ
そーだよ。 |
リンディ
そういえば、あの子… リインフォースは元気なのかしら? |
アルフ
うん。 元気ではあるみたいだよ。 |
フェイト
さすがにまだ体調は戻らないみたいで… はやてのうちで静養してます。 |
リンディ
そう。 はやてさんや騎士達が一緒なら、 回復もきっと早いわよね。 |
フェイト
はい。 |
リンディ
旅行、 はやてさん達も 一緒に行けたら良かったんだけどね。 |
クロノ
色々落ち着いたら、 レティ提督が ミッドを案内してあげると仰っていましたよ。 |
リンディ
そう。 じゃあこっちはこっちで、ゆっくりしましょ。 ね、フェイトさん。 |
フェイト
はい、 リンディ提督。 |
(ほんとうに 色々な事があった、この一年だけど…… 今はわたしもアルフも、平和で幸せ。 |
(母さんを亡くして、 ひとりぼっちになってしまった私を……) |
(リンディ提督が家族として… 養子として迎え入れてくれる、 って話もいただいてて) |
(まだ答えは出せてないけど…… 一生懸命、考えてます) |
クロノ
さて。 今日も食事の前に……。 |
フェイト
あ、練習!? わたしもやる! |
クロノ
ああ、観測のついでに少し遠出するんだが、 それでもいいか? |
フェイト
うん、もちろん! |
クロノ
よし… じゃあフェイト、準備はいいか? |
フェイト
ばっちり! |
アルフ
ふたりとも、気をつけてなー。 |
フェイト
はあい。 それじゃあ。 |
フェイト
バルディッシュ・アサルト セーーット・アーーップ! |
バルディッシュ
Get set. |
(バルディッシュ、セットアップ)
フェイト
うん! 今日も絶好調! 魔法の練習、がんばろう! |
STAGE 1
クロノ
君も随分強くなってきているが、 年長者の意地として、僕もそうそう 感嘆に負けるわけにもいかないからな。 |
フェイト
わたしだって頑張るよ。 なのはやアルフとも、 ずっと練習してるんだから。 |
クロノ
まあ、まずは軽く一本だ。 始めるか? |
フェイト
うん、お願いします! |
(圧勝)
クロノ
な…、な……ッ |
フェイト
やった! やった……! クロノに完封勝ち!! びっくり! すごい! 初体験ッ!! |
クロノ
そ…そんなに喜ばれても困るな。 今のはなんだ、 その、たまたまだ。 |
フェイト
わかってるよ、そんなの。 偶然だとしても、嬉しいの~! えへへ、やったぁ。 |
(勝利)
クロノ
とと……。しまった。 取られたか。 |
フェイト
うん!! 今日は調子いいかも! |
クロノ
そうだな。 いい動きだった。 |
フェイト
うん! |
(辛勝)
フェイト
あ…… 危なかったぁ……。 |
クロノ
僕も若干、ヒヤっとはしたが……。 まあ、こんな所だ。 |
フェイト
でも、一本取れたのは嬉しいな♪ |
フェイト
じゃあクロノ、もう一回! |
クロノ
待て待て、 ちょっと休憩させてくれ。 |
とりあえず、次は……。 |
(通信音)
エイミィ
クロノくん、 フェイトちゃん、いっしょにいる? |
フェイト
エイミィ? |
クロノ
一緒にいるぞ。 どうかしたか? |
エイミィ
さっき、市内で結界が… 正体不明の結界が発生したの。 |
なのはちゃんとアルフが 調査に出てくれたんだけど、 通信が途切れがちで……。 |
フェイト
そんな……。 |
リンディ
それに、二人が今居る世界でも、 結界が現れてるの。 |
クロノ
わかった。 フェイト、手分けしよう。 僕はこちらの結界を確認しに。 |
フェイト
わたしは戻って、 なのはとアルフに合流する。 必要があれば助ける! |
クロノ
そうだ。 |
リンディ
ふたりとも気をつけて。 何か、妙な感じよ。 |
フェイト
はいっ! |
クロノ
はいっ! |
STAGE 2
はやて(?)
フェイトちゃん……。 |
フェイト
え、はやて!? どうしてこんなところに? |
はやて(?)
ヴィータ達が、いないんよ……。 シグナムやシャマル、 ザフィーラも……。 |
フェイト
そんな! まさか、リインフォースも? |
はやて(?)
リインフォース? それって、何……? |
フェイト
!? リインフォースだよ! はやてが助けた、夜天の書の……。 |
はやて(?)
やてんのしょ……? この子は闇の書や… そんな名前とちゃう。 |
(通信音)
エイミィ
フェイトちゃん! その子は、はやてちゃんじゃない! |
フェイト
えッ!? |
エイミィ
各地で結界を生み出してる犯人。 闇の書の残滓から再生した思念体! |
闇の書に関わった人達の 記憶と願いを再生して、実体化させてるの! |
はやて(?)
うちの子たちにひどい事して…… どっかやったんは、フェイトちゃんか? |
そうだとしたら、 いくらフェイトちゃんでも、許せへん! |
(圧勝)
はやて(?)
う……ああ……ッ |
フェイト
あ、はやて! 大丈夫ッ!? |
(勝利)
はやて(?)
く、う……ッ |
フェイト
この魔力、 本物のはやてにそっくりだけど……。 |
(辛勝)
はやて(?)
ああ…ッ! |
フェイト
いたた……。 この破壊力……。 |
はやて(?)
うちの子たちを、かえして…… なんで、ひどいことするん……? |
フェイト
(そうだ…… これはやっぱり「あの時」のはやての記憶なんだ) |
(闇の書事件の途中、 ヴィータ達と引き離されて、 絶望したときの) |
あの……。 大丈夫だよ、 ヴィータ達、すぐにはやての所に帰すから。 |
はやて(?)
ほんまかー……? |
フェイト
うん、本当。 ……ひどい事して、ごめんね、はやて。 |
はやて(?)
ううん……。 なら……よかった……。 |
(闇の欠片はやて、消滅)
フェイト
消えた……。 |
通信音
リンディ
ごめんなさい、フェイトさん。 嫌な戦いをさせちゃったわね。 |
フェイト
いえ…… リンディ提督、これって一体…? |
リインフォース
すまない……。 ここからは、私に説明させてくれ。 |
フェイト
リインフォース! |
リインフォース
今回の事件を引き起こしているのは、 闇の書の防衛プログラムの残滓なんだ。 |
それが魔導師や騎士達の思念を再生し、 力を蓄え…… もう一度、闇の書の闇として復活しようとしている。 |
フェイト
……そんな……。 |
エイミィ
急いで叩かないと、 増えていく可能性があるんだって。 守護騎士のみんなも、緊急出動してる。 |
リインフォース
すまない……。 本来であれば、私がしっかり責を持ち、 退治して回るべきなのだが……。 |
フェイト
ううん。大丈夫だよ、リインフォース。 情報くれただけでも充分役に立ってくれてる。 まだ静養中なんだから、しっかり休んでて。 |
リインフォース
すまない。 その分、お前の友人と守護獣の居所は、 なんとか捜し出して見せる。 |
フェイト
うん……ありがとう! |
WARNING
闇の欠片シャマル
見つけたわ。 あなたね。 |
フェイト
シャマルさん! あの、違うんです。 私がさっき、はやてと戦ったのは……。 |
闇の欠片シャマル
はやてって誰の事? |
フェイト
!! |
(そうか……。 これは多分、はやてと出会う前の |
闇の欠片シャマル
闇の書の頁蒐集のため、 あなたの魔力、奪わせてもらいます! |
(圧勝)
闇の欠片シャマル
いったぁ……。 もー、この子、速すぎて、ズルい……。 |
フェイト
危ない……! うまく避けきれた。 |
(勝利)
闇の欠片シャマル
そんな……。 負けちゃった? |
フェイト
はー…。 なんとか、攻め切れた。 |
(辛勝)
闇の欠片シャマル
ああ…… あと一歩だったのに……ッ |
フェイト
はー…はー… ギ…ギリギリ……。 |
闇の欠片シャマル
……っ……! |
(闇の欠片シャマル、消滅)
フェイト
(あんなに仲のいい、はやてと守護騎士達も、 出会う前は、他人だったんだよね……) |
(そんなの、当たり前の事なんだけど……) |
……いけない! ボーッとしてられない! 急がなきゃ! |
STAGE 3
フェイト
ザフィーラ……。 |
闇の欠片ザフィーラ
我が主を害したのは、 貴様か!? |
フェイト
このザフィーラも、やっぱり……。 |
(回線音)
リインフォース
そうだ。 闇の欠片は、過去の記憶を再生するのみ。 |
たのむ、止めてやってくれ。 |
フェイト
うん……。 |
闇の欠片ザフィーラ
ここから先へは、 行かせんッ! |
(圧勝)
闇の欠片ザフィーラ
バカな…… なんという速度だ……。 |
フェイト
危ない……! 中に入られてたら、 一撃で終わってたかもしれない。 |
(勝利)
闇の欠片ザフィーラ
く……ぐぅぅッ! |
フェイト
止まってくれた……? |
(辛勝)
闇の欠片ザフィーラ
バカな…… 何故飛んでいられる……ッ |
フェイト
つー……。 打撃防御の練習が、役に立った。 |
闇の欠片ザフィーラ
……体が……ッ うおぁぁああっ! |
(闇の欠片ザフィーラ、消滅)
フェイト
ごめん、 ザフィーラ……。 |
(通信音)
アルフ
フェイト、無事っ!? |
フェイト
アルフ! 大丈夫だった? いまどこ? |
アルフ
海鳴市からちょっと先の、山の方。 なのはは海の方に回ってくれてる。 |
フェイト
よかった! 私も急いで合流するよ! |
アルフ
うん! |
STAGE 4
フェイト
なのは…… じゃ、ないよね、 どう見ても。 |
星光の殲滅者
貴方は私を知らないでしょうが、 私はあなたを良く知っています。 |
フェイト
………!? |
星光の殲滅者
迷宮の迷い子。 悲しみと痛みに震える弱い魂。 |
(通信音)
リインフォース
耳を貸してはいけない! それは通常の思念体とは違う。 |
防衛プログラムの 構築体(マテリアル)の一部だ。 独自の意識を持っている。 |
星光の殲滅者
ぬくもりや優しさが本当は怖い。 裏切られるかもしれないからです。 |
フェイト
…それは……。 |
星光の殲滅者
もう一度、私の中へ…… やすらかな永遠を、 今度は過たず、あなたに送ります。 |
貴方のような、壊れそうに弱い魂も、 きっと救われます。 |
リインフォース
テスタロッサ! 耳を貸してはいけない! |
フェイト
――大丈夫! 私の心は、 ほんとは弱いけど、 |
なのはが決意や勇気を暮れた。 アリシアやリニスが、 私に願いを託してくれた。 |
だから、こんな所では絶対に、 止まってなんかいられないッ! |
(圧勝)
星光の殲滅者
私の魔法が、触れることすら……? |
(勝利)
星光の殲滅者
敗れ…ましたか……。 |
(辛勝)
星光の殲滅者
紙一重…… それでも、あなたの勝利です。 |
星光の殲滅者
私の魔法は……弱かったでしょうか。 |
フェイト
なのはの強さは、 魔法そのものじゃないもの。 知性と空間戦術と、 |
なにより、勇気と気持ち。 そこまでは、再現できなかったでしょ。 |
星光の殲滅者
残念です……。 『砕け得ぬ闇』の復活は、 他の構築体(マテリアル)に任せましょう。 |
(星光の殲滅者、消滅)
フェイト
砕け得ぬ…闇……? |
(回線音)
エイミィ
多分、『闇の書の闇』の復活体の事だよ。 ただ復活するだけじゃなくて、 パワーアップしようとしてるんだと思う。 |
リインフォース
だが、お前が 構築体(マテリアル)を叩いてくれたおかげで、 新たな結界発生は止まったようだ。 |
フェイト
でもさっき、 他のマテリアル、って。 |
なのは
それは、私の方でやっつけました! |
フェイト
なのは! |
なのは
よかった! フェイトちゃん、大丈夫だった? |
フェイト
それは、こっちのセリフ! よかった、無事で。 |
エイミィ
ただ、まだ何ヵ所か、 大きな反応が残ってるんだよね。 順次処理していかなきゃならないんだけど。 |
なのは
わたしは引き続き頑張ります。 |
フェイト
あ、もちろん、わたしも! |
リンディ
フェイトさん? |
フェイト
あ、はいっ。 |
リンディ
無理はしないでね。 |
フェイト
はい… 大丈夫です! |
(リンディ提督は、やっぱり優しい……。 もちろん、クロノやエイミィだって) |
(わたしの中で吹っ切れていない迷いは… 優しさが怖い理由は、 なんなのかな……?) |
WARNING
ヴィータ
ち……! こんな所にもいやがったか! |
フェイト
今度はヴィータ!? |
ヴィータ
うおおぉ! ぶっとべぇーーーッ! |
フェイト
あ、あれ? このヴィータって、もしかして!? |
(圧勝)
フェイト
とりあえず完勝したけど…… あの、ヴィータ!? |
ヴィータ
くそ、ちょこまか避けやがって! 思念体ごときが生意気なッ!! |
フェイト
やっぱり! |
(勝利)
ヴィータ
くそ! 思念体ごときが、 いつまでもフラフラしてんじゃねー! |
フェイト
って、やっぱり! |
(辛勝)
ヴィータ
のヤロー! 思念体風情が、手こずらせやがって! 今、トドメを……ッ! |
フェイト
ちょ、やっぱり! ヴィータ、ストップストーップっ!! |
ヴィータ
あ…あれ? |
フェイト
ヴィータ…… 偽物じゃないよね? 本物だよね? |
ヴィータ
ったりめーだ! そーゆーお前も。 |
フェイト
本物、本物! |
ヴィータ
……すると、なにか? |
フェイト
誤解で戦った、 っていうか……。 |
ヴィータ
だーーー! 紛らわしいトコで 紛らわしい行動とってんじゃねー! |
フェイト
な… い、いきなり襲いかかってきたのは ヴィータでしょー!? |
ヴィータ
うっせぇ! 悪かったよ! つーかおめーが ボーッとしてっから間違えるんだろーが!! |
フェイト
(ひ、ひどい…) |
ヴィータ
まあいい 闇の欠片は大分消えてってる。 残りをさっさと片付けねーと。 |
フェイト
うん……。 |
ヴィータ
あたしは行くぞ。 じゃーな。 |
フェイト
あ、待って、ヴィータ。 |
ヴィータ
あん? |
フェイト
あのね、ヴィータ。 ヴィータは、家族、大事? |
ヴィータ
なんだよ急に。 んなもん、大事に決まってるだろーが。 |
フェイト
新しい家族、 リインフォースも? |
ヴィータ
新しかねーよ。 あいつとはずっと昔から一緒だ。 |
いまんとこは、 あんま上手くやれてねーけどよ……。 |
それでもこれからは一緒に暮らすんだ。 それなりにやってくさ。 |
フェイト
そうなんだ……。 ごめんね、頑張って。 |
ヴィータ
んなもん、 おめーに言われるまでもねー! |
フェイト
うん……。 |
(そうか……。 やっぱり、そうだよね……) |
STAGE 5
闇の欠片シグナム
テスタロッサ……。 やはり、お前が来たか。 |
フェイト
シグナム!? |
闇の欠片シグナム
待ちかねたぞ。 やっと決着をつけられる。 |
(通信音)
リインフォース
その将も、 闇の欠片の映し見だ。 |
おまえと知り合い、 いつか迷いなく戦ってみたいと願っていた、 そんな将の思い。それが形になったものだろう。 |
フェイト
うん……。 |
闇の欠片シグナム
どうした? 誰と話している? |
フェイト
あ…… えと、なんでもないです。 |
決着ですよね? 今からしっかり、つけましょう! |
リインフォース
テスタロッサ、 いいのか? |
フェイト
どっちにしろ、 眠ってもらわないといけないもの。 |
それなら、心残りを無くして、 満足して眠ってもらうのでも いいんじゃないかなって。 |
闇の欠片シグナム
さあ、行くぞテスタロッサ。 決着だ! |
フェイト
はい、シグナムッ! |
(圧勝)
闇の欠片シグナム
く……不覚…ッ! |
フェイト
私とバルディッシュの、勝利です! |
(勝利)
フェイト
いい勝負でした……。 ありがとうございました! |
(辛勝)
闇の欠片シグナム
ぐ…しまった……! |
フェイト
ギ…ギリギリでしたが、 私の勝ちです! |
闇の欠片シグナム
やれやれ、 真剣勝負で不覚を取るとはな。 |
フェイト
でも、たまたまです。 まだまだ、10回やったら 8回は負けそうです。 |
闇の欠片シグナム
その2回を、 この場でたぐり寄せたのはお前の強さだ。 誇っていい。 |
フェイト
はい……。 |
闇の欠片シグナム
ん…… なんだ、もう終わりか。 |
フェイト
あ…… |
闇の欠片シグナム
今の私は、夢か幻か…… そんなとこなのだろう。 |
フェイト
わかってたんですか……? |
闇の欠片シグナム
それくらいはな。 |
さて、 消えゆく前に、少し聞いておこう。 |
フェイト
あ、はい。 |
闇の欠片シグナム
お前は今、 心のどこかに、迷いがあるだろう。 家族の事か、これからの自分の事か。 |
フェイト
……はい。 |
闇の欠片シグナム
偉そうな事を言えた義理でもないが、 剣士として伝えられる事はある。 |
迷いがあれば剣先も曇るが、 迷いが無ければ恐れる事もできん。 |
迷いも恐れも、 自分の内にあってしかるべきものだ。 |
フェイト
……はい……! |
闇の欠片シグナム
大切なのは踏み出す一歩。 繰り出す一閃。 その一瞬に心が澄み渡っていればいい。 |
少なくとも私は、 そうあろうと努めている。 |
フェイト
シグナム……。 |
闇の欠片シグナム
らしくない説教をしたな。 まあ、夢だからこそ言えることだ。 |
さらばだ、テスタロッサ…… 次は現実の私にも勝って見せてやるといい。 |
フェイト
はい……! ありがとうございましたっ! |
(闇の欠片シグナム、消滅)
フェイト
大切なのは、 踏み出す一歩……。 |
(通信音)
クロノ
フェイト! クロノだ、大丈夫か? |
フェイト
クロノ! |
クロノ
闇の欠片も、 もうほとんどが消えている。 事件は終結に向かっているよ。 |
フェイト
うん。 引き続き、残りの欠片を探すよ。 |
(わたしの行き先、居るべき場所。 迷いも怖さも、どっちも抱いたまま……。 だけど、それでも……) |
FINAL STAGE
闇の欠片フェイト
あなたは……私……? |
フェイト
ん……そうだよ。 もうひとりのわたし。 |
どうしたの? 泣いてるの? |
闇の欠片フェイト
泣いてはいない……。 ただ、寂しくて、悲しいだけ。 |
フェイト
そうだね…… ずっと、ひとりぼっちだと思ってたから。 |
闇の欠片フェイト
ジュエルシード事件のときも、 闇の書事件のときもそう。 |
不安で、怖い事ばっかりで… 誰に優しくしてもらっても、 やっぱり、わたしはひとりぼっちで。 |
フェイト
ううん。違うよ。 |
闇の欠片フェイト
違わないよ……。 母さんだって、 わたしをいらない子だって言った。 |
なのはやリンディ提督や クロノだって、 いつかは……。 |
フェイト
そんないつかが来ないように、 一生懸命生きればいいんだ。 |
闇の欠片フェイト
あなただって今も、 ひとりぼっちなのに? |
フェイト
わたしも今日まで、 多分心のどこかで、そう思ってた。 だけど、違うんだ。 |
ひとりじゃないし、ひとりじゃなかった。 ――わたしたちは、いつだって! |
(圧勝・勝利・辛勝)
闇の欠片フェイト
わたし… 消えるの…? |
フェイト
少し、眠るだけだよ。 目が覚めたら、 あなたもちゃんと、わたしのなかにいる。 |
闇の欠片フェイト
ほんとのわたしは…… 随分、強い子なんだね。 |
フェイト
強くないよ……。 ただ、優しい人達が教えてくれるの。 |
頑張る自分に、 えへんと胸を張って……。 できるだけ、笑って行こうね、って。 |
闇の欠片フェイト
そっか…… なら……眠るのも、怖くないかな……。 |
フェイト
そうだよ。だから……。 |
闇の欠片フェイト
うん……おやすみ……。 |
(闇の欠片フェイト、消滅)
(通信音)
エイミィ
闇の欠片、全て停止を確認! 再発の気配、なし! |
リンディ
ひとまず、解決かしら。 |
クロノ
フェイト、 なのは、アルフ。一度戻ってくれ。 |
フェイト
うん。 |
アルフ
……それより、なのはが。 |
なのは
あー、アルフ、 言っちゃダメ! |
アルフ
なのはがちょっとケガしたの。 無茶するから。 |
リンディ
あらあら、大変。 |
フェイト
ダメだよなのは。 わたしもすぐに戻るから、急いで戻って。 |
なのは
うう、 はぁい。 |
エピローグ
フェイト
――そして、 闇の欠片はその後も再生する事なく、 事態は無事に収束しました。 |
クロノやレティ提督によれば、 『闇の書事件の余波被害としては、 むしろ想定よりも小規模だった』とか。 |
旅行の予定は、少しだけズレちゃいましたが、 それ以外はなんとか普通に、 年末年始を過ごすことができました。 |
そして、 冬休みも終わって。 |
フェイト
あのね、アルフ。 |
アルフ
んー? なーに、フェイト。 |
フェイト
ずっと迷ってた事…… 踏ん切りがつきそうかなって。 |
アルフ
ほんと? それは、すごくいい事だね。 |
フェイト
将来の事、 自分の居るべき場所のこと。 いろいろ悩む事もあるんだけど……。 |
自分で決めた答えに向かって、 進んでいきたいな、って。 |
アルフ
――そう。 |
ま、あたしは、フェイトについていくだけだけどね。 |
フェイト
ありがとう、アルフ。 |
アルフ
答え……。 いつごろ出せそう? |
フェイト
そうだね……。 |
きっと…… 桜の花の咲く頃には。 |