"利口な女狐の物語"

目次


  • 場の番号は、通し番号になっています

第1幕

  • 第1場
    夏の昼下がりの峡谷。森番が居眠りをすると、動物達が登場する。蚊がダンスを踊りはじめ、カエルが森番の顔の上に落ちる。びっくりして飛び起きた森番の前に、子どもの女狐の姿が映る。森番は、いやがる女狐ビストロウシュカをつかまえて、家に帰っていく。悲しげな間奏曲。
  • 第2場
    森番の小屋の庭。ビストロウシュカの泣き声を聞き、飼い犬ラパークが慰める。子供たちがビストロウシュカをいじめると、彼女は子供にかみつく。森番の妻が驚いて家から飛び出し、森番はビストロウシュカを紐でつなぐ。
    ビストロウシュカは、また泣き声をあげるが、間奏曲のうちに舞台は夜になり、夜明けが訪れる。
    森番小屋のニワトリ達が、人間につかまったビストロウシュカをバカにする。彼女は、オンドリからの解放を訴えるアジテーションをメンドリ達に行うが、みんな耳を貸さない。彼女は、絶望して自殺するフリをし、突然ニワトリ達に飛びかかる。またも森番とその妻が小屋から飛び出して来るが、ビストロウシュカは紐を食いちぎって森へと脱走する。

第2幕

  • 第3場
    ビストロウシュカは、穴熊の洞穴の入口で、森の小動物達とともに穴熊を誹謗する。居たたまれなくなった穴熊は巣を明け渡し、ビストロウシュカは、その洞穴をまんまと自分のねぐらにする。リズミカルで陽気な間奏曲が続く。
  • 第4場
    居酒屋「パーセクの店」の店内。校長と牧師が登場。二人は森番の飲み友達。森番は、ずっと昔から同じ女性(テリンカ)に思いを寄せている校長をからかうが、逆に、女狐との関係を校長に指摘されてしまう。夜明けが迫り、牧師と校長は店を出るが、森番は店の主人パーセクを相手にくだを巻いている。ところが、パーセクまでも女狐のことを森番に尋ねるので、森番も怒って店を出て行く。
  • 第5場
    居酒屋からの帰り道。道ばたの垣根沿いに咲いているヒマワリの花をビストロウシュカが揺さぶると、酔っ払った校長はそれをテリンカと勘違いし、垣根の向こうに飛び込む。続いて登場した牧師は、好きだった娘に裏切られた若い頃の思い出を苦々しく語る。
    ビストロウシュカを発見した森番が猟銃を発砲すると、二人は驚いて一目散に退場する。女狐を取り逃がした森番は、深い挫折感を味わう。
  • 第6場
    夏の月夜。ヴォカリーズの森の歌声が響く。ビストロウシュカは、カッコいい雄ギツネに出会う。彼女は自分の生い立ちを語り、雄ギツネはその武勇伝に圧倒される。雄ギツネの求愛。二人が、ビストロウシュカのねぐらに入って行くと、ウワサ好きの森の動物達が登場する。二人は結婚式をあげ、森の歓声が響き渡る。

第3幕

  • 第7場
    森の中。密猟者ハラシュタが、民謡を歌いながら登場。彼は、出くわした森番に「もうすぐテリンカと結婚する予定だ」と語る。森番は、死んだウサギをオトリとして、もう一度ビストロウシュカをワナにかけようとする。
    彼らが退場すると、ビストロウシュカと雄ギツネが登場。二人の大勢の子どもたちも登場する。雄ギツネは、ビストロウシュカに「あと何人子どもができるだろう?」と問いかけ、彼女が「その話は5月まで待って」と答えると、ハラシュタが戻って来る。
    ビストロウシュカはハラシュタを散々翻弄するが、狙いもつけずに発砲した弾が彼女の命を奪う。静かな間奏曲。
  • 第8場
    再び居酒屋「パーセクの店」。森番、校長、パーセクの妻以外には誰もおらず、静まりかえっている。校長はテリンカの結婚を嘆いて涙を流し、森番は彼を慰める。牧師も別の町に転勤し、過ぎ去った昔は戻って来ない。森番は、さびしい雰囲気に居たたまれないかのように、店を出て森の中に消えて行く。
  • 第9場
    早朝。第1幕冒頭と同じ峡谷。森番は、妻との結婚式の朝を思い出し、「森の自然のままの美しさ」と「5月の愛」を讃える。歌い終わって居眠りすると、森の動物達が登場する。森番は夢の中で、また子供のビストロウシュカに出会う。手を伸ばすが、つかまえたのはカエル。「またか」と思う森番に、カエルは「それは僕のお爺ちゃんだよ」と答える。感きわまった森番は思わず銃を取り落し、オーケストラが「5月まで待って」のメロディーを奏でながら全曲が閉じられる。


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@wagnerianchan


最終更新:2010年11月15日 00:43