"ベンヴェヌート・チェッリーニ"

対訳 【ワイマール版】

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オリジナル版(未訳)



訳者より

  • 1838年の初演が大失敗し、オペラ作曲家としてのベルリオーズのキャリアには再起不能といえるまでのダメージを与えたと言われる作品ですが、音楽的にはメロディの魅力、ダイナミズムの激しさともにいずれも素晴らしく、フランスオペラの傑作のひとつと言っても過言ではないと私は感じました。
  • 友人リストのすすめで大改訂を施し、ワイマールで上演したワイマール版があり、こちらで上演されることがかつては普通のようでしたが、現在はオリジナルの版での演奏が増えてきているようで、コリン・デイヴィスの新旧盤ネルソン盤などがいずれもオリジナルバージョンでの演奏です。このサイトのテンプレートはワイマール版のようで、その録音として私が確認できたものではロジャー・ノリントンがシュトゥットガルトの放送響他と入れた盤(Hanssler)だけでした。ほぼこのリブレットと対応が取れているようなので、このCDを聴くのにはお使い頂けるかと思います。(小沢征爾の盤もあるようですがこれがどちらかは未確認)
  • 16世紀イタリアの名彫金師ベンヴェヌート・チェッリーニはその有名な自伝(岩波文庫に邦訳があります)でも明らかなように自由奔放な生き方をした人で、そんな人物を舞台にかけるにあたってはかなりコミカルなドタバタ喜劇を志向したのでしょう。主人公は恋人のところに忍び込んで駆け落ちの相談をするわ、仕事もせんと酒ばかり飲むわ、挙句の果ては駆け落ちの妨害をしたライバル・フィエモスカの友人ポンペーオを殺すことまでしてしまいます(これでは喜劇にはならんですな)。そんな事件を起こしたローマを逃げ出して故郷フィレンツェに行こうとしますが仕事の依頼主の教皇に見つかり、仕事が進んでいないことがバレたばかりか、婦女誘拐と殺人の罪まで糾弾されて大ピンチ、ここでこともあろうに逆ギレした彼は、自分の罪を許さなければ教皇から依頼された作品の鋳型を破壊するぞと脅迫し、数時間のうちに依頼された作品を完成させれば罪をすべて許し、恋人との結婚を認めろと要求します。首尾よくその仕事を果たした彼を、歓呼のうちに皆が讃えて幕という、無茶なストーリーの多いオペラのストーリーにあっても相当荒唐無稽、そんなところが当時のパリの聴衆を呆然とさせたが故の失敗かも知れません。
  • 主人公の仕事と恋のライバル、フィエモスカが大変面白い人物に描かれていて、このオペラの喜劇的な部分をヒロインの父のローマの財務官バルドゥッチと共に盛りたてています。今回は訳せませんでしたが、大改訂されたオリジナル版の第2幕(ここに掲載のワイマール版の第3幕)ではチェリーニの仕事を妨害するために、偽りの決闘をしかけて彼を仕事場から連れ出し、その隙に仕事場の職工たちを買収して何とか仕事を遅らせようとするような小賢しい真似もしたりしていましたが...

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@ 藤井宏行

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ベンヴェヌート・チェッリーニとは

  • ベンヴェヌート・チェッリーニの80%は白い何かで出来ています。
  • ベンヴェヌート・チェッリーニの8%は海水で出来ています。
  • ベンヴェヌート・チェッリーニの5%は運で出来ています。
  • ベンヴェヌート・チェッリーニの3%は下心で出来ています。
  • ベンヴェヌート・チェッリーニの2%は濃硫酸で出来ています。
  • ベンヴェヌート・チェッリーニの2%は華麗さで出来ています。
最終更新:2013年10月14日 14:32