間の話1           京太郎×衣・一自慰                  衣の人    


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間の話11/2 京太郎×衣・一自慰 衣の人
第2局>>274~>>286

    京太郎と衣が恋仲になって数日後。
   「美味いか?」
   「うん!」
    平日の放課後、暇になった京太郎は衣を誘い、前に約束した焼き饅頭屋で焼き饅頭を仲良く食べていた。
   「京太郎の言うとおりだ、この焼き饅頭は凄く美味しいぞ」
   「気に入ってくれたならよかった、よかったけがここ安いけど良かったのか?」
    泊まった時の夕食の事を思い出し不安に思う京太郎、出されたのは豪勢な料理ばかりであれを食べていると言う事は、衣の舌はかなり肥えているのではないかと、味に自信があるがこの店で満足できるのかと心配していたのだが、衣はそれをあっさりと否定した。
   「何を言う京太郎、価格と真価は別だ、安いから不味いと言う物でもないだろう?」
   「まあ確かに、高いから美味いって訳じゃないよな、好みもあるからな」
    高くても不味いものもある、あるいは口に合わないものなども。
   「そうだ、ここの焼き饅頭は美味しい、衣はここの味に大満足だ」
   「まあ、満足してくれているなら、良かったけどな」
   「それに・・誰かと一緒に食べるおやつは特に美味しい、それが京太郎なら尚更だ」
   「そうだな、俺も衣と一緒だからいつもより美味く感じるな、もう一個食べるか?」
   「うん・・・でも一個は多いから、半分ずつだ京太郎、ほら、あ~ん」
    京太郎から焼き饅頭を受け取って、半分に割ってお約束の言葉をつけて京太郎に差し出す衣。
   「うっ・・あ~ん」
    照れくさそうにしながらも、京太郎はちゃんと声を出し口を開けて焼き饅頭を食べる。
   「美味しいか?」
   「ああ、美味しいぞ、次は衣の番だな、あ~ん」
    残り半分を手に取った京太郎は、お約束の言葉を口にしながら衣に焼き饅頭を差し出す。
   「うん、あ~ん」
    嬉しそうに焼き饅頭に齧り付く衣、二人は焼き饅頭より甘い空気を振りまきながら、美味しく幸せそうに焼き饅頭を堪能した。

   翌日の龍門渕の麻雀部部室。
    衣がお土産の焼き饅頭を準備しにハギヨシと共に部室から出て行くと、その姿を見送りながらため息をつく純。
   「はぁ~あいつが衣の恋人にか・・・」
   「うん、ボクも最初はびっくりしたけどね」
   「私も驚いた、でも良いのでは」
   「そうだな、あんなに嬉しそうな顔するんだからな」
    京太郎と衣が恋人になった事を聞いた純と智紀は、最初は驚いたものの楽しそうに話す衣を見て特に何も言わず納得した、一も特に反対する理由も無くまたあれを見た以上は納得せざるを得なかった、だがここに一人だけ不服な顔をしている人物が居た。
   「し、しかしですわね、いきなり恋人というのは早すぎるのではなくて?」
    その不服そうな一人である、龍門渕透華は三人に対して一応の反論するものの。
   「早いとは思うが、でもよ、さっきの笑顔を曇らせることができるのか?」
   「うっ・・・・」
    純にツッコまれ言葉につまる透華、透華自身も幸せそうな衣を見て、諦め半分で納得してはいたのだが・・。
   「わかっていますわ、けど須賀さんが衣を泣かせるような事をしたら許しませんことよ!」
    微妙に納得しきれないのか、負け惜しみのような言葉を吐き捨てる。
   「・・・まあ確かに、あんまり悲しい思いさせたら、ただじゃ済ませないけどな」
   衣を悲しませたら許さない、その気持ちには一も智紀も頷き同意する。
   「しかし、俺達の中で最初に彼氏ができたのが衣とは・・・そういうことには一番遠いと思っていたんだけどな~」
   「ボクもそう思っていたけど、そんな事言っている純どうなの、彼氏とか欲しいの?」
   「俺か・・俺は別に~、ファンの女子と居るのは楽しいけどな」
    一に問われて、少し考えたもののあまり興味なさげに答える純。
   「さすが女の中の男」
   「誰が男だ、・・そういう沢村さんや国広君はどうなのかな?」
    皮肉っぽい口調で智紀と一に訊ねる純。
   「・・興味はある、けど惹かれる相手が居ない」
   「ボクは・・・・・」
    智紀は少し考えて直ぐに答えたが、一は純の質問によく考える。

   (恋人か・・あんまり興味なかったけど、ここ数日の衣を見ているといたら楽しそうだなって思えてくる)
    男、といっても一に男性の知り合いはあまり居ない、家族を除けばハギヨシともう一人・・・浮かんだのは、衣の恋人である京太郎の顔。
   (須賀君か麻雀していると情けなく見えたけど、でも衣にボクや透華達とは違う道を示してくれた、衣に対する態度を見ていると凄く優しいみたいだし・・・ああいう恋人だと居たら楽しそうだなと思うけど・・ボクも恋をしたら衣みたいに)
    そんな事を想像している時に思い出したのは、衣と京太郎が裸で抱き合いキスしているシーン、その瞬間一の頬が紅く染まる。
   「一、どうかしましたの?」
   「へぇ・・な、なにかな?」
   「何って顔紅いぞ、まさか意中の相手でも居るのか?」
   「えっ、そ、そんわ・」
    一が言い訳しようとした瞬間、バン!っと大きな音がした。
   「はははは、一まで誰かと恋仲ですの!?、さぁ言いなさい相手は誰かいますぐに!?」
    大きな音は透華が机を叩きつけた音、そして顔を真っ赤にして一に食って掛かる勢いで一を問いただす透華、一瞬なんとも言えない静けさが辺りを覆う。
   「お、落ち着いてよ透華、ボクにはそういう人はいないからさ」
   「そ、そうですの・・・それは失礼・・ほほほ・・」
    一にそう言われて落ち着きを取り戻したのか、笑いながら座りなおす透華。
   「そんな反応をした透華はどうなんだ、というかお前さんは・・誰か好きになったことあるのか?」
   「あ、あるに決まっているじゃありませんの!」
   「えっ!?」×3
    純に聞かれて透華の叫ぶ様な答えに、驚いて固まる三人。
   (だ、誰だろう、っていうかどんな人なんだ、透華に好きになって言わせる相手って、誰・・・ボクの知る限り、
   側に居るのってハギヨシ・・は無いと思うけど、じゃあ誰・・ま、まさか須賀君とか!?、でも相手は衣の恋人だよ・・いい人だとは思うけど・・・ぼ、ボクどっちを応援すればいいんだろう?)
    いろいろな考えを一がめぐらせている中、あっけにとられていた純が左手を上げた。
   「あっ~驚いてついでに聞くのもなんだが、良ければ誰が好きか教えてもらえるか?」
   「興味がある・・・」「あっ、ぼ、ボクも!」
    純の言葉に反応するように智紀と一も声を上げる、すると透華は頬を染めながら恥ずかしそうに三人から視線を逸らした。
   「そ、そんなの決まっていますわ、こ、衣とあなた達の事き、嫌いなわけありませんわ!」
    期待はずれの答えを聞いた三人は項垂れる。
   「あっ~たくぅ~、なんだよぉそういうことか、はぁ~」
   「納得、しかしがっかりもしました」
   「あはは、そっか・・うん、ボクも透華も皆も好きだよ・・ほぉ」
   (よかった、けど今の透華・・衣に負けないくらい可愛かったな・・・)
    面白くなさそうな純と智紀、一は一人胸を撫で下ろしていた。
   「な、なんですの、その反応はむかつきますわ・・」
   「あのな、話の流れからすれば、異性の話だ異性の、そりゃ俺も透華の事は好きだけど、そういう意味じゃなくてだな・・」
   「そう、私も透華達は好き、でもそれは友達、あるいは家族の様なもの、そうではなくて恋人にしたいような異性はいるかと聞きたい」
   「そう、そのとおりだ、それだよそれ、そういう恋しい男か、もしくは気になっている男が居るかって事だ」
   「わ、わかっていますは、さっきのは冗談ですわ、冗談!」
    実際冗談だったのかは分からないが、三人が三人ともちゃんと自分の事を好きと言ってくれたので、透華はあまり嫌な気分にはならなかった、だがつっこみを受けた恥ずかしさからか、それとも好きといわれた恥ずかしさからか、適当に誤魔化して再び考える。
   「男性ね、男性は・・・そうね・・・ハギヨシは執事ですから違いますし・・」
   透華も考えるが知り合い、龍門渕なのである程度付き合いのある男性なら居るが、それは外面上の付き合いで深く知り合ったのは居ない、となれば今思い浮かぶの、やはり一人しか居ない。
   (気にはなりますわね、あの人が・・・しかし好きかと聞かれればそうでは無いと思いますわ、けどここで男性の名前一つ上げないのも何か悔しい気がしますわ・・)
    このメンバーで意地を張る必要も無いのだが、そこで意地を張るのが龍門渕透華である。
   「そうですね、須賀さんかしら」

   「ええっ!?」
    突然透華の口から出た京太郎の名に驚く一。
   (えっ、や、やっぱり透華も好きになっちゃったの、なんでか良くわからないけど、で、でも・・それなボクは透華を応援しなくちゃだめなのかな・・・で、でも衣も裏切れないし・・ど、
   どうすれば・・・そ、そうだ二人とも恋人になっちゃうとか・・・、駄目な気がする・・・けどそれ位しか思いつかないよ、そ、そうすれば・・・ボクも少し位は二人の手伝いで・・って、な、何考えているんだボクは!?)
    悩んだ末に思考が暴走した一は、自分でもよくわからない結論に達しようとして、頭を左右に振ってその考えを吹き飛ばす。
   「それは気になるっていっても、どうせ衣を大事にするかどうかだろう?」
   「あら、当然でしょう、それ以外に何かありまして?」
   「あはは・・・そっか、そうだよね・・・はぁぁぁ」
    純の冷静なツッコミと透過の答えに、一は安堵してとてもながいため息をついた。

    話も終わった所に頃に衣がハギヨシを引き連れて部室に戻ってきた。
   「皆、これが焼き饅頭だ!」
    衣が焼き饅頭が大量に盛られた皿を四人が居るテーブルに置くと、四人ともそれぞれ手を伸ばす。
   「おっ、待っていました・・うん、うめぇ」「これが・・・おいしい」
   「衣が凄く美味しかったといったら、京太郎がお土産にと持たせてくれたんだ」
   「うん、凄く美味しいね」「うっ・・確かにおいしいですわ」
    純、智紀、一はただ満足げに、透華はどこか悔しげだが美味しそうに焼き饅頭を食べていた。
   「そのままで良いから聞いて欲しい、その皆に聞いてみたい事があるのだが良いか?」
    珍しく遠慮がちに全員に尋ねる衣、四人は笑顔で答える。
   「なんだ、そんなに畏まらなくても良いんだぞ」
   「そうだよ、ボク等で答えられることなら何でも答えるよ」
   「うん」
   「当然ですわ、さぁ衣、このお姉さんにどぉーんと質問なさいまし」
   「衣の方がお姉さんだぞ、でもまぁ・・今は相談に乗ってもらえるから感謝だ」
    そんな頼もしい四人を見て、衣は安心しながら質問を続けた。
   「恋人と逢引するなら、どのような場所に行くのが良いと思う?」
   「!?!?」×4
    四人全員が驚き揃って饅頭を喉に詰まらせた。
   「お茶でございます」
    四人に素早くお茶を渡すハギヨシ、四人とも一気にお茶を飲み干す。
   「はぁ・・はぁ・・死ぬかと思いましたわ」
   「助かった・・」「なんとか・・・」「う、うん・・」
   「こ・・こ、衣は何かイケナイ事を聞いたのか?」
    さすがに全員が喉をつまらせたため、おろおろと慌てふためく衣。
   「あっ~、いや大丈夫だ、よく考えたら予測はできるからな・・」
    初めて恋人が出来てすぐならば、そんな質問をされるのも不思議な事ではない、それは四人とも理解していた。
   「う、うん、ちょっとびっくりしただけだから大丈夫だよ、衣」
   「そ、そうですわ、たまたま、たまたまタイミングが悪かっただけで、衣が悪いわけじゃございませんわ」
   「そ、そうね」
    純も一も透華も智紀の様子を見て、少し安心しながらも落ち込む衣。
   「すまない、衣はこの様な知識を持ち合わせてはいない、だが皆ならそういう知識をもっていると思ったんだが・・どうだ?」
   「・・・・・・・・」×4
    衣の言葉に誰も答えない、いや正確に言うなら答えられない、なぜならば全員恋人が居たこともないのだから。
   「うっ、やはり駄目か・・・実は今週の土曜日に京太郎と逢引するのだが、京太郎は行きたい場所があるなら行こうと言ってくれた、しかしこれでは・・提案すらできない」
    今にも泣き出しそうな顔をする衣、それを見て純、一、透華が焦る。
   「ちょ、ちょっと、ど、どうするんですのこれは、だ、誰か何か案を出しなさい!」
   「自慢じゃないけど、女子と遊んだことなら数え切れないが、男とは無い」
   「純、なんて男らしい答えなんだ・・・って言っている場合じゃないよ!」
    三人が集まりながら、話していると一人参加していなかった智紀が突然案を出した。

   「・・・・PCショップのジャンクコーナー」
   「PCのショップのジャンクコーナー?・・よし、良くわからないが京太郎に・」
   「だめぇぇ!!」「そうですわ、落ち着いて考えるのですわ衣!」「そうだ、それは駄目そうだ!」
    智紀の提案に納得しそうになった衣を、慌てて一、透華、純が止める。
   「駄目なのか?」
   「何故、いい場所だと思うけど・・・」
   「いいからお前は黙っていろ、えっ~とそうだな食べ歩きとかどうだ、買い食いとかしながら」
   「それは純が好きなことでしょ、それに衣はそれほど食べられませんわ、それならば私がよく使うレストランで食事とかいかがかしら?」
   「お前の金銭感覚で語ると、あの男は確実に破産するぞ」「そ、そうだね」
    一応、一般的な金銭感覚がある純と一は透華の案にも当然賛成できない、透華がよく使うレストランは高級店、とても普通のしかも高校生である京太郎には手が出るわけがないのはよくわかっていたからだ。
   「うん、京太郎もあまりお金が無いといっていたから、衣もお金は持ってない・・」
    透華の案にも同意できず落ち込んで肩を落とす衣。
   「な、なら、あなた達他の案を早く出しなさい!」
    慌てて考えた一は適当に思いついたことを口にした。
   「そ、そうだ、遊園地とかどうかな?」
   「遊園地・・遊園地か、うん、衣も行ってみたいぞ!」
    遊園地という言葉に、目をきらきらと輝かせる衣。
   「おおっ、ナイスだ、そうだなデートといえば遊園地だからな」
   「さすがは一ですわ、そうでわね、デートにはちょうどよさそうですわね」
   「無難・・・けど、まあ良いかも」
    衣の様子に他の三人も一の意見を支持した。
   「遊園地か・・あっ、けどそれもお金は掛からないのか?」
    楽しそうにしていた衣の顔が一転、心配そうな表情になる。
   「う、うん、入場料とか乗り物にのったりしら、結構掛かるかな・・・」
    一も思い出してみるが、遊園地などは何かお金が入用になったりする事が多い、やはり金欠気味の京太郎では少しきついかもしれない。
   「そうか、ではそれも無理だな・・・何せ京太郎にはいつも出してもらっているからな、あまりお金の掛かるところに行きたいと言うのは忍びない」
    衣が落ち込みかけると、折角見つけてチャンスを逃してなるものかと透華が動いた。
   「ハギヨシ!」
   「はい」
    それだけで全てを理解したのか、ハギヨシが姿を消したかと思うと、また現れてその手には二枚の紙が握られていた。
   「龍門パークの一日無料パスでございます、こちらがあれば園内の全てのアトラクションを無料で楽しむことができます」
   「さぁ衣、これがあればいくら須賀さんにお金が無くても楽しむことはできますわ」
    ハギヨシから無料パスを受け取った透華は、それをそのまま衣に手渡した。
   「えっ、し、しかし良いのか、こんな物を貰ってしまって、透華達だって」
   「いいに決まっていますわ、それに残念ですが私達土曜日はたまたま全員用事が入っていますし、ねぇ・・・皆さん?」
   「う、うん、そうだね」「お、おう、そうだったな」「決定事項」
    透華にギロリと睨まれた、一、純、智紀は空気を読んで口裏を合わせた。
   「そ、そうなのか、けど・・・」
   「すみません衣様、それは今週の土曜日が最終期限なので使っていただかないと無駄になってしまう、ですからお気になさらず須賀様とのデートにお使いください」
   「あっ、本当だ・・・」
    衣が日付を確認すると、確かに今週の土曜日が期限になっていた。
   「と言うわけですわ、仮に衣が使わなければ無駄になりますから、どうぞじゃんじゃん使ってくださいまし」
   「感謝するぞ透華、これで京太郎と一緒に遊園地に行ける、ふふふ・・わ~~い」
    子供の様にはしゃぐ衣を見て、透華はほっとすると同時に凄く幸せな気分に包まれる。
   「ふふ、あんなに喜んで・・・良かったですわ」
    一や智紀もにこやかに衣の様子を見守っていたが、純だけはハギヨシに近づいて疑問に思ったことを訊ねる。
   「ハギヨシよ、一つ聞きたいんだけどいいか?」

   「なんでしょうか?」
   「さっきのあれの期限、衣が気を使わなくてもいいようにそうしたのか、って言うか一瞬でそこまで考えて持ってくるって、どれだけ凄いんだお前さんは・・」
    するとハギヨシは表情を崩さず、いつのも執事スマイルのままで答えた。
   「龍門渕家の執事たるものこの程度の事ができなくてどうしますか」

    土曜日、京太郎と衣は遊園地のゲートを潜り案内板の前に立っていた。
   「しっかしよかったのか、無料パスなんて」
   「うん、今日までの無料券だからな、物を無駄にするのは良くない、だからそれほど気にする必要は無い、それに今は・・折角の京太郎との初めての逢引だ、そのような事を気に掛けず楽しみたい」
   「そうだな、折角だから心行くまで楽しもうぜ」
   「うん、いくぞ京太郎、まずは回転木馬だ」
    衣は待ちきれないといわんばかりに、京太郎の手を引いて駆け出した・・・・その後ろに四人の怪しい人影がいるとも知らずに。

   「で、俺達はいったい何をしているのかな、透華さんや?」
   「こら、本名は止めなさいI、ここではコードネームですわ」
   「あっ~、はいはい、でRさんやここで何をする気なんだ?」
    仕方なく話を合わせるIこと純、そしてRこと透華の後ろに付くのは、Kこと一とSこと智紀だった。
   「もう、わるかでしょIここにきたんだから」
   「やっぱりなのか・・・」
   「そう、逢引の追跡」
    透華達の用事、それは京太郎と衣の逢引の追跡・・・といっても乗り気になっているのは透華のみで、他の三人は仕方なく付き添できたのだけ、別に透華も邪魔をするつもりは無い・・・ただ、この透華に付いていっていいのか迷ってはいた。
   「いい、いくら付き合いを認めたとは言え、それは健全な付き合い、須賀さんが強引に衣に・・衣になにかしようとしたら止めなければならないじゃありませんの!?」
   「あっ~まあ、そうだな・・・けどよ、良いのか?」
   「当然ですわ、たとえ衣に多少恨まれても、衣の安全が第一ですもの」
   「いや、そうじゃなくて・・・衣と須賀、見えなくなりかけているぞ」
    純がぎりぎり見えている、衣と京太郎の後姿を指差す。
   「た、大変ですわ、みんな追いますわよ!」
   「はいよ」「承知」
    透華が駆け出すと純と智紀が後に続いた、そして最後に一が。
   (も、もしももう深い関係になっているって知ったら、透華寝込んじゃいそうだな・・な、なんとかボクが頑張って、フォローしないと)
    決意を新たに透華達の後を追うのだった。

   「少し恥ずかしいな・・・」
    年齢のためかメリーゴーランドの馬にまたがるのに、少し抵抗をしめす京太郎だったが。
   「何を言う、似合っているぞ、そうしていると京太郎は本物王子様に見える」
    そんな楽しそうな衣の姿を見ていると、京太郎も抵抗を感じなくなり。
   「じゃあ、衣はお姫様だな、可愛いお姫様を俺のものにしたいな」
   「う、こ、衣のもう京太郎のものだぞ・・・」
    なにやら馬の上でじゃれあっていた。

   「うぬぬぬぬ・・・なんですの、あ、あの甘ったるそうな雰囲気は・・」
   「あはは・・・こ、衣が喜んでいるから良いんじゃないの」
    悔しそうにハンカチを噛み締める透華を、何とかフォローする一。
   「う~ん、楽しそうじゃないか衣、おっ、このポップコーン美味いな」
   「バター塩コショウ味」
    純と智紀は、衣の楽しそうな様子に満足しながら、そこの売店で買ったポップコーンを食べていた。

    コーヒーカップから降りてきた衣は足元がおぼつかないようで、フラフラしていた。
   「ううっ・・・ちょっとまわしすぎた」
   「ごめんな、衣が喜ぶから俺もつい調子にのって」
   「京太郎は悪くないぞ、衣が己の力量を過大評価したためだ・・気にするな」

   「ああっ、ほれ、そこにベンチがあるから、休もうぜ」
    ベンチに座った京太郎は、自分の膝を枕代わりにさせて衣を横に寝かせる。
   「男の膝枕なんてあまり気持ちよくないかもしれないが、我慢してくれ」
   「そんなことは無い、京太郎の暖かさを感じて・・京太郎の顔まで見られる、天にも昇る心地よさだ」
   「大げさだな・・」
    嫌な気分が抜けてゆくのか、京太郎の顔を見上げながら満足げな様子だった。

   「こ、衣が気分を悪くしていますわ、早く助けにいきませんと!」
   「お、落ち着いてR、今僕らが出て行ったら後を付けたのがバレるよ!」
   「あっ~俺も昔、あれなったわ、やりすぎて気分悪く」
   「私はいくら回しても平気だった」
   「もう、二人とも手伝ってよぉ~」
    一人、透華を止める一は悲痛な声を上げていた。

   衣の気分もよくなり、少しすると昼食の時間になったので、京太郎と衣は売店でホットドックを注文することにした。
   「お子様にはマスタード抜きをオススメしますが」
   「むっ、子供じゃない衣だ、マスタードはたっぷりだ!」
    店員の言葉が衣の対抗心を生み、衣はマスタードがたっぷり入ったホットドックを注文した。
   「あはは、俺はマスタード抜きをお願いします、あとメロンソーダを二つ」
    そのやりとりに苦笑しながら、自分の分のホットドックと飲み物を注文する京太郎。
   「あっ・・はい」
    戸惑いながらも注文を受けて、直ぐに注文した品を仕上げて手渡す店員。
   「ふん・・」
   「えっ~と、これで・・」
   「はい、ちょうどですね、ありがとうございました」
    会計を済ませて近くにあるテーブルに座る衣と京太郎。
   「あむぅ・・・ううっ、か、辛い・・・」
    辛さに眉を顰め、目に涙をためながらもなんとか飲み物でそれを流し込む衣、マスタードがたっぷり塗ってあるので当然なのだが、それ以上は食べられないのか、じっとホットドックと睨めっこしていた・・。
   「はぁ・・やれやれ、ほら、これと交換だ」
    想像していた通りになったのか、京太郎はマスタードを塗っていない自分のホットドックと、衣のマスタードたっぷりのホットドックを迷うことなく交換した。
   「か、辛いぞ・・・良いのか?」
   「良いんだよ、こっちのほうが美味そうに見えたかなら・・早く食べようぜ、この後も遊ぶんだろう」
    笑って衣の頭をなぜながらホットドックんかぶりつく京太郎。
   「うん・・・京太郎はやっぱり優しいな・・ふふ、あむぅ・・」
    衣も嬉しそうに、そして今度は美味しくホットドックを食べきるのだった。

   「上手だね、衣の機嫌をそこねずに・・ううん、むしろ大満足させちゃうなんて」
   「衣は子供あつかいされるのが嫌いだもの」
   「た、確かに・・衣の事はよくわかっているみたいですわ・・・」
    一も透過も透華も、ホットドック屋の件に関してはただただ感心していた。
   「ふまいな、あいふ」
   「純、食べてから喋ろうね」
    純は一人、ホットドック齧りながら満足げに京太郎と衣を眺めていた。

   「う~~ん、ふふふ」
    嬉しそうに手の中にあるぬいぐるみを抱きしめながら歩く衣。
    衣が抱いているのは、今しがた京太郎がゲームコーナーで獲得した龍門パークのマスコットキャラのぬいぐるみだった。
   「小さいのしか取れなかったけど、それでよかったのか?」
    得点によって得られる商品が違うゲームだったのだが、今衣が持っているのは10センチのぬいぐるみは一番得点の低い商品で、一番得点の高い商品では60センチオーバーのぬいぐるみがあった。
   やはり大きいほうが良かったかと思った京太郎だったが、衣は笑顔でそれを否定した。

   「愚問だな京太郎、何を貰うかではなく誰に貰うかが需要なのだ、恋人である京太郎からのプレゼントの時点で、これはただのぬいぐるみではなく衣の宝物だ、これでよいのではなくて、これがよいのだ」
   「そうか、少し照れくさいけど・・・そういってもらえると、嬉しいな」
   「ふふ、これで大エトペンにも新しい友達ができたぞ」



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