お約束:着ぐるみ(スーツ)の使い回し

【お約束】 着ぐるみ(スーツ)の使い回し
【読み方】 きぐるみ(すーつ)のつかいまわし
【該当作品】 戦隊シリーズ・平成ライダー

【詳細】

戦隊シリーズ、及び平成ライダーに登場する怪人のスーツが部分的あるいは大々的に改造され別の怪人に作り変えられる事。

スーツ改造の一覧は一覧:スーツ改造怪人を参照。
※完全には網羅できていないことを断っておきます。

これは30年以上前の昭和の時代から特撮作品では当たり前のように行われてきた手法で、主な理由は製作予算の節約から来ている(1体のスーツを新造にはかなり費用がかかるので改造した方が当然安上がりになる)。
ただし戦隊シリーズと平成ライダーシリーズでは予算の額に差がある為、戦隊シリーズではそれほど多く見られない(せいぜい幹部クラスのものが強化体として改造されるぐらい)。
逆に平成ライダーシリーズでは毎年必ずと言っていいほど行われており、番組中盤以降に登場する怪人のほとんどは初期の怪人の着ぐるみを改造したものであり、そこからまた数回改造され使い回される事も珍しく無い(キバのファンガイアの着ぐるみは上下分割式になっており、最初から上下のいろいろな組み合わせで使い回す事を前提に作られている)。

改造のパターンもいろいろあり、元の着ぐるみの特徴が残っていたり、全く別のモチーフの怪人にされほとんど原型を留めていない場合もあれば、元となった怪人の亜種とするためなどの、ただ色を塗り替えただけの簡素な場合もある(ズ・バヅー・バゴ・バダー・バ等)

よく「着ぐるみの使い回しが多い=予算不足で作品の質が悪い」と誤解される事があるが、着ぐるみを使い回して衣装面のコストを下げる事でその分、CGや特殊効果などの演出面に予算を割く事ができる為、作品の質はむしろ向上する事が多い。
ファンにしてみれば元の着ぐるみからどう改造されたのかを観察したり、全く異なるデザインになった事に感心したりと、分かる人たちにとっては番組を見る上での楽しみの一つにもなっているのである。

基本的に改造される着ぐるみは作中で普通にたおされる「怪人」のものがほとんどで、いわゆる「幹部怪人」の着ぐるみはあまり改造される事はない(『仮面ライダー555』では幹部クラスであるクロコダイルオルフェノクの着ぐるみが怪人のピジョンオルフェノクに改造されている)。
また、その番組中で使われた着ぐるみが後の作品で改造され使われる事もたまにある(例・『仮面ライダー剣』のダークローチ→『仮面ライダーカブトのコレオプテラワーム、『仮面ライダー555』のローズオルフェノク→『仮面ライダーキバ』のガーゴイルレジェンドルガなど)。

当然ながら着ぐるみは一度改造すれば、もう元の状態に戻す事は実質不可能である為、改造元となった着ぐるみの怪人は以降、メガゼールガルドサンダーのように新規にスーツが作られない限り番組中に登場する機会が永遠に失われる事となる。これは着ぐるみ改造の唯一の弊害ともいえる(上記のダークローチのように同じ着ぐるみが複数存在し、改造されていないものがある場合は例外である)。
最近ではその怪人が過去に登場したシーンを編集してつなぎ合わせる事で擬似的に再登場させる場合もある(ただし、当然ながらアクションシーンの新規撮影は不可能である為、話の本筋に大きく絡む事は無い)、その為当然、龍騎のメガゼールガルドサンダーのように改造してしまったスーツが新規に作り直されるケースも有る。
『555』に登場したマンティスオルフェノクフライングフィッシュオルフェノクに改造後、またマンティスオルフェノクへと戻っている(ただし、胸の部分はフライングフィッシュオルフェノクのままだった)。

が、快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャーから、改造頻度が一気に上昇。
予算のやりくりの結果かもしれないが、かなりの個体の怪人がスーツを改造されるなどして用意され、ほぼ毎話新規怪人が登場するようになった。
改造箇所もまた上半身をまるまる取り替え、特徴的な下半身パーツはそのままか、巨大な上半身パーツに目が行くため元の怪人がわかりづらくなっているなど工夫が凝らされており、
単なるリペイント、一部パーツ挿げ替えにとどまらない改造バリエーションが増加している。
これは次作品である騎士竜戦隊リュウソウジャーでも行われており、今後ともこういった傾向は続いて言うとファンとしてもありがたい話である。

【余談】

『555』初期に登場したオルフェノクのほとんどが改造されているため、現在オルフェノクのスーツは実際に登場した者の半分程度しか残っていない。
そのため、『仮面ライダーディケイド』で登場したオルフェノクも、ほとんどが後期のものである。
また、『キバ』に登場したファンガイアの内リザードクラスに属する個体の下半身は全てフロッグファンガイアの下半身の使い回しである。

「スーツの改造」という話とは微妙にずれるが、アナザーライダーという怪人が登場する仮面ライダージオウは、
当初20人いる平成ライダーのアナザー化はまず出来ないだろうという見方だった。実際私もそう思ってた。
だが、サブライダーのアナザーライダー、未来ライダーのアナザーライダーと言った変化球を織り交ぜながらも、アナザーファイズ、アナザーフォーゼ感のコンパチ仕様やアナザークウガのフルCG怪人等混ざりつつも、全てのアナザーライダーの撮影用スーツを改造なしで揃えきったのは見事だった。

最終更新:2012年02月18日 18:40