魔化魍ヤマアラシ

【名前】 魔化魍ヤマアラシ
【読み方】 まかもうやまあらし
【登場作品】 仮面ライダー響鬼
【登場話】 十五之巻「鈍る雷」(足尾)
十六之巻「轟く鬼」(足尾)
二十一之巻「引き合う魔物」(浅間山)
二十二之巻「化ける繭」(浅間山)
【分類】 大型魔化魍
【妖怪モチーフ】 山荒
【生物モチーフ】 水牛、熊?、ヤマアラシ
【登場地域】 栃木県足尾市(現・日光市)
浅間山

【詳細】

「山荒」として伝承を残す巨大魔化魍。

背中を丸め前傾姿勢となった熊に身体に水牛の頭と尾、背中には巨大な針を生やした姿をしている。
背中の針は発射可能で歯を持たないため獲物を針で貫いて食べる習性を持ち、両手が小さく退化している代わりに長い尻尾を巧みに使いこなす。
獲物をとらえることから相手を絞め殺すことまで自由自在。

背中の針で相手を攻撃するが、肉体から生えたものを発射するために再生が可能だが一度発射しつくすと再生に時間がかかるのが欠点。
尻尾を器用に操れるようになったのはその弱点を補うためだろうか。無防備になってしまうと音撃管の餌食になりやすいことを考えれば、リーチの有る尻尾の操作が器用になり針が使えるぶん両手が退化してしまうのもわかりやすいか。

鬼達の中では弦の担当とされている魔化魍で、音撃鼓や音撃管を使う鬼はヤマアラシと相性が悪い。
その理由は背中の針にあり、音撃鼓は相手に近づく必要があるので針が密集するヤマアラシには近寄りがたく、音撃管は針による攻撃を防ぐには攻撃力が足りないため。
音撃弦であれば針を弾き飛ばしつつ接近がしやすく、音撃鼓のように直接清めの音を体内に流し込むため即効性?が高いのが利点といえる。
十六之巻における轟鬼の戦い方がわかりやすいだろう。威吹鬼のようなタイプの戦い方では仕留めるのに相当に苦慮するであろうことは明らかである。

伝承ではヤマアラシとは本当の姿が良く分からない化物として残されている。
針を持ったムササビとも残されているが、目撃者が少ないのはヤマアラシが自分を目撃した者達を尽く葬ってきたからと考えられる。

【仮面ライダー響鬼】

【足尾のヤマアラシ】

足尾地方の川付近に出現。気温10.5℃前後、湿度65%の環境によって成長した。

退治に来た裁鬼を退けた後置いかけてきた斬鬼と轟鬼(当時は戸田山変身態)と交戦するも一度は退散。
沼地に隠れ傷を癒した後、再度出現して轟鬼と戦った。

針を乱射して轟鬼を苦戦させるも、烈雷で脚を斬り裂かれ弱ったところに音撃斬・雷電激震を受け倒された。

【浅間山のヤマアラシ】

浅間山地方の土地に出現。気温15℃前後、湿度65%の環境によって成長した。

体色は黒と赤茶色をしている。

好戦的かつ獰猛な性格で、浅間山地方に出現し退治に来た轟鬼と交戦。
ヤマアラシの童子と姫のコンビネーションで轟鬼を傷めつけ逃走に成功する。

浅間山山頂付近で浅間山のウブメと合流し、激しい戦いを繰り広げ針を飛ばして空中を飛行するウブメを攻撃していたが命中しておらず、ウブメ自体も決め手にかけていたため、ウブメが首に噛み付いてきた際に尻尾で絞め殺すも自分の致命傷を負い共倒れとなった。
その後、黒クグツの力で合成され、合体魔化魍 浅間山のナナシとなり再誕する。

【余談】

日本妖怪モチーフは「山嵐」。生物モチーフは水牛と実在する方の豪猪、そして恐らく熊。
百鬼夜行絵巻等では針に覆われた獣の姿をしている。

絵姿は無いもののこの妖怪に関する逸話は幾つか見られ、奈良県では山で木を伐る音を立てる妖怪とされ、和歌山県や広島県に伝わる話では、毛を逆立てる姿を牛が怖がるため牛飼いは牛を動かすために「後ろにシイがいるぞ」という意味も込めて「シイシイ」と命令するのだとか。

水辺のある山林に生息するようだが、木々をなぎ倒す巨体を持つ魔化魍故にそういった音を妖怪とみなした「山あらし」に結び付けられたのであろう。
水牛の頭を持つのは和歌山や広島県に伝わる伝承を逆にデザインとして取り込んだものと思われる。
また妖怪としての山あらしの姿は生物としての豪猪を伝聞のみで絵にしたものとも言われているため、ストレートに豪猪の針を取り込んだのだろう。

この魔化魍は森林に生息することから、その身体は熊のようでもある。毛並み等も熊を思わせる。
しかしメタモルフォーゼの力で怪物化するにあたり、背中の毛を針として飛ばせるようになったため背中を前に向けやすくするために前傾姿勢となり、腕で獲物を仕留める必要がないため両手が短く退化した一方、仕留めた獲物を素早く引き寄せるための手段として尻尾が長く器用に操れるように発達。
針で貫くことで噛まずとも人間を食べられるようになったため、肉食としての歯は不要となり、代わりに草食動物のような捕食器官を持つ頭に変化した…そう考えると色々興味深い点も多く見えてくる。

ちなみに「山颪(やまおろし)」という似た名前を持つ妖怪もいるが、そちらはおろし器のような頭を持つ妖怪とされているが魔化魍にその要素は見られない。

放送当時発売された格闘ゲームでは、使用可能キャラクターの1体として登場。
ストーリーモードでは敵キャラとして、轟鬼、斬鬼、裁鬼と対決する。

最終更新:2021年03月03日 03:34