魔化魍ヌリカベ

【名前】 魔化魍ヌリカベ
【読み方】 まかもうぬりかべ
【登場作品】 仮面ライダー響鬼
【登場話】 十一之巻「呑み込む壁」(下野)
十二之巻「開く秘密」(下野)
四十三之巻「変われぬ身(からだ)」(謎の洋館)
【分類】 大型魔化魍
【餌】 人間などの動物
【特徴音】 「クワチョクワチョ」(軟体生物のような音)
【特色/力】 樹木のような身体、触手のようにうねる足
【妖怪モチーフ】 塗り壁
【生物モチーフ】 カタツムリ、ミノムシ、ハマグリ、樹木
【登場地域】 栃木県下野市
謎の洋館

【詳細】

巨木と貝を合わせたような姿を持つ「塗り壁」としての伝承を残す大型魔化魍。

その巨体は正しく壁。
大量の枝をより集めて作った鎧を着込んだカタツムリのような姿を持ち、強固な殻でもあるその身体を閉じることで巨木に擬態する能力を持つ。
その体は粉砕ローラーのような機能を有し、人間を挟み込んだ後粉々に粉砕して吸収するのに都合が良い。

樹木に擬態している際には催眠性の花粉を周囲にばらまくことで獲物を自身に誘導するが成長中は童子達が自分達で圧死させた人間を投げ込み、それを身体で粉砕して食し大きくなっていく。

巨木を思わせる姿から移動しないかのように見えるが、実は木の根のような足を貝のベロのように使い、「クワチョクワチョ」と発しながら移動する事が可能。
しかし、幼体時はこの足の部分が弱点であり、突かれると貝がベロを引っ込めるように足を引っ込め、そのまま逃走してしまうという。

故事によれば、塗り壁という妖怪は「夜道に迷った人間の前に壁のように立ち塞がる」といわれる怪物らしい。
かつて筑前(現在の福岡県北西部)での出現例が記録され、姿の見えない存在だが、「下方を払うと逃げ出す」と言い伝えられている。

【下野のヌリカベ】

下野の土地に出現した個体。平均気温9.8℃前後と平均湿度67%程の環境で成長した。

ヌリカベの童子と姫によって周辺に住む人間を餌として成長し、時折移動していたところをディスクアニマルに集音されたことで居場所が露見した。

童子達が倒された後、十分に成長していたこともあって自ら村へ向かおうとしていたがその寸前で追い付いた響鬼に顔面を蹴っ飛ばされた後、ベロを使って応戦するが音撃棒に粉砕され、音撃打・猛火怒涛の型を受け倒された。

【謎の洋館のヌリカベ】

謎の洋館のある地方の森に出現した個体。「オロチ」の現象によって発生した。

クグツが関わって作り出されたものではなく洋館の男女のコントロールも受け付けない為、男性の放った光線を受け倒された。

【余談】

日本妖怪モチーフは「塗り壁」。
生物モチーフはカタツムリと蓑虫、ハマグリの要素を混ぜ合わせたもの。

上記の通り殻の代わりに枝で作ったミノを纏うカタツムリといった外見で、そのミノは閉じることでハマグリのような貝を思わせる。
貝のベロのような足というのもハマグリの要素だろう。

本来塗り壁とは詳細の部分にも書かれているが、夜道に迷った人間の前に壁のように立ち塞がる妖怪である。
その点に注目してこの魔化魍の情報を読み解くと、大木に擬態する能力は木々に紛れることで一般人に気取られずにやり過ごしたり気が付かずに近寄ってきたところを食べて餌にしてしまうのに適したものである。

巨木に擬態中は催眠性の花粉をばらまくことで人間を近くに集める事ができると言うが、招き寄せられた人間が目の前で木と思っていたものが巨大な化け物であり、しかもヌリカベのような横幅の広い存在が目の前に現れたのであれば、すなわち「目の前に突然壁が現れた」ように映るだろう。
夜道に迷った、という点も催眠性の花粉によって通常の認識ができず道にそれていく人間を第三者から見た場合、道に迷う人間と見られるだろうし、目の前に突然ヌリカベが現れ驚いた旅人が逃げ出し「気がついたら知らない所にいて、目の前に巨大な壁があった」とでも語れば、突然現れる壁の化け物の噂の完成である。

デザインで考えてみよう。
触覚についた目はカタツムリの要素だがヌリカベは楕円形のぽっかりと空いた穴のような口を持つものの、設定では粉砕ローラーのような身体で人間を砕いて吸収するとされているためダミーかカタツムリをデザインに含む都合上のパーツだろう。
木々に擬態するという設定のため、自分で周囲の小枝等を寄せ集めてミノを作る蓑虫の要素が胴体?に当たるが、挟み込んだ人間を粉砕するという捕食方法は恐らくカタツムリが餌を削り取って食べるための部位、歯舌を持つのに由来すると思われる。

いわばヌリカベの身体そのものがカタツムリの歯舌に当たり、それらをこすり合わせて人間の肉体をこそぎ、巨大化に合わせて粉砕するまでに至るのだろう。
塗り壁の伝承を「擬態で人間に見つからないようにできるため、突然壁が目の前に現れたように見える」と説明でき、かつその体で人間を挟み込むことで捕食するという餌のとり方のためカタツムリの歯舌の性質を拡大解釈して「粉砕ローラーのように~」という説明になったのだと推察する。

二枚貝、ハマグリの要素は妖怪塗り壁の伝承において「枝などで足元を払うと逃げ出した」という逸話を、貝が移動する際に出す足が外部から接触されると殻の中に引っ込める習性を結びつけたものだろう。
劇中では響鬼をベロで攻撃しているが、幼少時弱点とされそこを攻撃されるとたまらず逃げ出してしまうとされ、実際貝も足を出しっぱなしにしていると死んでしまっている場合が多い。引っ込めるということは生きているということの証左なのだ。

なお、一般的にイメージされる塗り壁はだいたいゲゲゲの鬼太郎に登場する「ぬーりーかーべー」で現れるあの塗り壁だろう。
しかし近年、化物づくし絵巻という巻物に描かれている三つ目の犬の怪物が「塗り壁である」と発表され衝撃を呼んだ。
そのデザインを採用したのが手裏剣戦隊ニンニンジャーに登場した妖怪ヌリカベである。
忍者戦隊カクレンジャーに登場したヌリカベはレンガ壁、侍戦隊シンケンジャーでは塗り壁のルーツとなったとされるフタガワラというアヤカシが登場している。

十一之巻で昭和仮面ライダーシリーズにおいて数多くの怪人の声を演じる山下啓介氏が農民役としてゲスト出演している。

最終更新:2024年03月13日 03:50