闇の皇帝 ゼット

「♪キラ~キラ~ひか~る~♪お~そら~の~ほ~し~よ……」

【名前】 闇の皇帝 ゼット
【読み方】 やみのこうてい ぜっと
【演】 大口兼悟
【登場作品】 烈車戦隊トッキュウジャー
【初登場話】 第11駅「闇の皇帝」
【所属】 シャドーライン
【分類】 皇帝
【闇形式】 ゼッイ83-11
【闇装備】 皇帝系キラーソード
【モチーフ】 闇?
【名前の由来】 Z?
【シャドー怪人薀蓄】 その本質はやはり『キラキラ』ではなく『闇』
【闇形式の由来】 闇?

【詳細】

シャドーラインを支配する「皇帝」。
外見は生身の人間そのもので、白い服に紫のストール、黒髪に白いメッシュをした男。

シャドー幹部の面々を絶対的な恐怖と服従で支配しており、彼への忠誠心が強いはずのネロ男爵からも「あの御方はどんなに有能な部下でも、不要と判断した瞬間に容易く切り捨ててしまう」と言われている。

しかし経緯は不明だが、物語に登場した時点では「これからは闇じゃなくて『輝き』の時代だ」と、「闇の世界」の住人でありながら人間の世界に存在する『キラキラ』を求める剽軽な変人と化していた(ネロ男爵が「いつからあのように……」と独白してるように、以前は非情な支配者としてしっかりと君臨していたらしい)。

楽観的な性格で、目に映るあらゆるものに興味を抱くさまはある意味「好奇心の塊」のライトと通ずるものがある。
シャドー帰還後も、本来の目的である闇駅確保そっちのけで、キャッスルターミナル内にミラーボールを飾って派手な内装に作り替えるなど、自由奔放な行動から幹部たちを困らせている。

だが、あくまで彼の本質は「闇」であり、目を合わせて瞳の奥を覗きこんだライトが本能的に悪寒を感じたり、自分の行動を制止しようと忠告した幹部を不快に思っただけで吹き飛ばすなど時折残忍な本性を垣間見せる。
ただし、まだシャドーラインの闇駅確保が中途半端な現状では、日の当たる場所で長時間滞在することができないという弱点を持つ。

そのような「光を欲するも光に拒絶される」と相反する身体を持ちながら一途に『キラキラ』を求める理由について、本人は「闇の中で本物を見たのかもな」と幹部たちに意味深なことを口走っている。また時折、暇なときは上記の有名な童謡『キラキラぼし(原曲『Twinkle Twinkle Little Star』)』を口ずさむが、その声にはどこか切なさを感じる。

第11駅に本拠地のキャッスルターミナルに帰還……するはずが、(ランプシャドー曰く)長旅に疲れた心を癒すために偶然トッキュウジャーたちも遊んでいた遊園地に足を踏み入れる。
そこで出逢ったライトと意気投合しかけるが、名乗ろうとした途端に彼の身を案じる幹部たちが総動員で現れたため、自分がシャドーの皇帝であることを自己紹介し、トッキュウジャーとシャドー幹部たちの戦いを不満げに静観する。
その後、圧倒的なネロ男爵たちの前に追い詰められている彼らの『キラキラ(=不屈の闘志?)』に興味を抱くと、突然幹部たちを吹き飛ばして割り込み、トッキュウジャーたちに接近。直に彼らの姿を見て何かに気付き、「一度、闇に呑み込まれている」と意味深なことを口走るも、日光に当たり過ぎた立ちくらみで失神し、ランプシャドーに担がれてクライナーへと運び込まれる。
クライナー内で意識を取り戻すと、映像を通してトッキュウジャーに更なる興味を抱き、「実験」のために護衛のランプシャドーを差し向ける。

第12駅ではランプシャドーの戦いを観戦している横で、恐怖に怯えながら自分を暗殺しようとする健気なグリッタ嬢の『キラキラ』を気に入り、接吻をしてしまう。

第22駅で遂にグリッタとの婚礼の儀を実行するが、実は全て皇帝の「絶対的な力」を手中に治めようとするノア夫人の策略であり、グリッタの真の能力に気付くことができずに彼女の体内に取り込まれてしまう。
しかし、実はそれこそがグリッタに宿る『キラキラ』を求めていた彼自身が望んでいたことで、自らグリッタと融合し、逆に彼女を取り込むことで『キラキラ』を手に入れ、新たな姿を力を得た。

しかし、実は体内に取り込んだグリッタを完全には吸収しておらず、鏡に写る彼女の虚像と他愛もない会話を一方的に問いかけたりしていた。
その事にノア、そして31駅でシュバルツも気づき始め、各々のグリッタ奪還計画が水面下で進められることになる。

そして39駅のシャドーラインの闇が著しく低下する『ヤミベリ』の時期に入ると王室で隠居していたが、グリッタを取り込んだ分のハンデとノアが嗾けたボセキシャドーの力で弱体化を起こし、皇帝の肉体の主導権をグリッタに奪われてしまう(その点の危険性はゼット本人も重々に承知していたはずだが、グリッタに問われても惚けており、真意は不明)。
40駅でそれを機と見たノアにグリッタを奪還されかけるも即座に元の肉体に戻って彼女を返り討ちにし、続けて襲撃してきたシュバルツとザラム(6号)に応戦するも、『ヤミベリ』で力が半減して不利と判断すると、自分のクライナーに誘き寄せたザラムからアプリチェンジャーを奪ってトッキュウ6号に変身。
負傷した明に成り済ましてライトたちレインボーラインに保護される。

41駅では烈車を降りて余計な事(グリッタを自分から引き離す事)をしようとする者たちに苛立ちを見せ、忠実な部下であるはずのネロやモルクにも攻撃を加える。さらにザラムに対しては6号に変身して応戦するが、「それは明のものだ」と言い放つハイパートッキュウ1号によって奪還されてしまう。
その後、自分を襲うシュバルツと交戦して圧倒的な力で彼を抑え込むが、彼が囮だということに気付けずに背後からノアに不意打ちをかけられ、同時にグリッタも奪還されてしまう。

ところが、今まで自身の闇を抑えていたグリッタが切り離されたことで抱えていた闇の力が増幅し、さらに新たな姿へと変化。その力でノアやシュバルツを葬ってしまう。

どんなに求めても結局は『キラキラ』に手が届かないことに不満を覚えると、再びネロとモルクに八つ当たりし、キャッスルターミナルへと帰還した。

実は現在キャッスルターミナルと融合している『昴ヶ浜』を闇の中に取り込んだ張本人で、町を自分の闇に中へ取り込む際に秘密基地で星を眺めていたライトたちとも接触していた(元々彼が口ずさんでいた『キラキラぼし』の歌は『星祭り』に祈るライトたちが歌っていたもの)。彼らも闇の中へ取り込もうとするも、仲間を守る正義感から咄嗟に抵抗するライトと干渉し合い、その強いイマジネーションが彼の求める『キラキラ』へと変化していた(同時に実はライトの方もゼットの闇に汚染されおり、他のトッキュウジャーたちとは違って闇を内包したイレギュラーであることが判明する)。

その頃の記憶は自分も深淵の闇の中にいたことから曖昧だったが、ドールハウスシャドーを導入したモルクの作戦と考察で『キラキラ』の要因がトッキュウ1号であることを知らされる。

44駅では『昴ヶ浜』で待機し、キャッスルターミナルに侵入してきたライトと対峙。今度こそライトから『キラキラ』を得ようと挑発しながら襲ってくるが、それに応戦して変身したトッキュウ1号が『キラキラ』どころか自分の闇と共鳴した黒一色に変わり果てており、そのことに動揺と失望、そして憤慨の感情を見せながら激しく衝突する。

決闘が続いた45駅で、戦闘中に他のトッキュウジャーとネロ&モルクが駆け付けると、モルクの手によって撤退させられる。
その後、グリッタの策で地下の深淵に沈められたキャッスルターミナルへと帰還。
コントロールルームで接触したグリッタから説得の言葉を聞かされるも、それに触発して吹っ切れてしまい彼女に何らかの制裁を与えて部屋から退出する。もはや『キラキラ』が未来永劫自分のものにならないものだと理解するとそれに対する未練を失い、自棄になって地上の全てを闇で支配しようと決意。キャッスルターミナルを地上に浮上させ、ネロ、モルク、そしてクローズ総動員で本格的な侵攻を開始する。

46駅では、仲間が無事『昴ヶ浜』へ帰路できるように敢えて彼らとの絆(旅の記憶)を断ち切って単身で軍団に挑む1号を多勢に無勢という圧倒的な力量の差で返り討ちにし、見せしめに自分の闇でキャッスルターミナルを巨獣へと変異させ、周囲を深淵の闇へと変えてしまう。
しかし、そうした慢心が仇になった上にいまだに『キラキラ』への執心が消えておらず、闇の中で合流したトッキュウジャーたちが『星祭り』の灯籠に込められた人々の想いをイマジネーションに変えて復活すると、その『キラキラ』に魅了されて我を失い、トッキュウレッシャーの特攻によって巨獣ごとターミナルを破壊されてしまう(王室で無防備にいたが、咄嗟にモルクに庇われて脱出した)。

そしてネロと合流してトッキュウジャーとの最終決戦に入るが、闇の巨獣の消滅で自分の(というよりシャドーライン勢力全体の)力が衰えており、トッキュウジャーたちに圧されてしまう。
最終的にネロやモルクの意思を尊重して自ら志願した彼らの闇を取り込んで強化するが、同様に仲間たちの力を託されて虹色に変身した1号との壮絶な戦いの後、敗北。

人間態に戻り、ふと見上げた空に写った美しい虹に未練がましく手を伸ばすが、力尽きて『闇』の塊と化して飛散する。
直後、グリッタが搭乗するシュバルツのクライナーによって散りかけた『闇』を回収されると、運転席にいた彼女の傍で肉体を再構成し、眠ったままの状態で彼女に手を添えられ、地中深くの闇の中へと連れ戻された(生死不明)。

【余談】

演じている役者は、平成仮面ライダーのMOVIE大戦でも重要な敵役を演じている。

元々は世界を支配しようとした悪の首領だが、作中での本願はただ単に『キラキラ』という自分に欠落していたものを欲するという純粋なものだった。
しかしながら皇帝であるが故の他者を見下す傲慢さに加え、強欲且つ強引に他人が抱く『キラキラ』を奪うことで得ようとした結果、最後まで自分のもとに『キラキラ』が宿ることはなかった。

というよりも、薀蓄にあるように自分の本質が『闇』である(永遠に『キラキラ』になれない)こと、さらに最期にグリッタに投げかけられた「『キラキラ』は『闇』あってこそ(表裏一体の自分(闇)という存在が無ければ『キラキラ』が存在できない)」という言葉から分かるように、結局は上記のような行動を起こさなくても、自身がこの世界に存在した瞬間から未来永劫、望んでいた『キラキラ』が手に入らないことが運命づけられていたと思われる。
そう考えると、戦隊シリーズ中で最も哀れな首領だったのかもしれない。

最終更新:2015年02月22日 20:30