腑破十臓

「ここに来て…いや、この時を待ってか…裏正ァァァァアア!」

【名前】 腑破十臓
【読み方】 ふわじゅうぞう
【声/俳優】 唐橋充
【登場作品】 侍戦隊シンケンジャー
【分類】 はぐれ外道/アヤカシ
【得意武具】 裏正、蛮刀毒泡沫(ばんとうどくほうまつ)
【モチーフ】 サル、骸骨
【元ネタ】 猩々

【詳細】

戦うことに貪欲なはぐれ外道
血祭ドウコクには与さず、ただ己の欲望のために戦うことを欲して行動する異端の存在。

半分は人間のため、アヤカシとしての姿と人間としての姿の両方を兼ね備える。
それと同時に外道衆となっているわけではないためドウコクの「縛る」力も効果は薄い(ただし一定時間行動に制限は残る)。
剣に長け、逆刃こそ真の切れ味を誇る愛刀「裏正」を振るい、丈瑠と互角に渡り合う高い戦闘力の持ち主。
また、シンケンジャーと知らず源太のゴールド寿司を訪れた際には、彼の作った寿司を気に入るという(劇中で絶賛したのは彼だけ)意外な一面もある。

元は人間ながら人斬りとして強さと戦いを求め、その執着のあまり生きたまま外道へ堕ちた特異な存在。
三途の川を渡った後、異形の姿となり次元の隙間を長い間さまよっていたらしいが詳細は不明。
外道に堕ちてもなお、戦いへの飢えは満たされず、シンケンレッドこと志葉丈瑠こそが自分に見合う相手と認め剣士として立ち合いを望む。
人との絆すら平気で断つ、斬ることへの執着が、ほとんどが数年で滅んでしまうはぐれ外道の常識を遥かに超える二百年もの間、十臓を外道に繋ぎ留めていた。

初めてシンケンジャーの前に姿を現した際は人間態で、ヒトミダマに操られた流ノ介と丈瑠の戦闘を分析することで改めて丈瑠の高い実力を確認。
さらに「兜五輪弾」を両断し、薄皮太夫を助けた事でシンケンジャーにアヤカシと認識される。

志葉家当主が受け継ぐ外道衆を葬る事ができる「封印の文字」の存在を知っていたが、丈瑠の勝負との邪魔になるとドウコク達には伝えなかった。
その事が骨のシタリを通じてドウコクの知るところとなり、彼の怒りを買ったのだがそれも全く意に介せず、ひたすらレッドとの勝負に執着し続ける。
結果、丈瑠の抹殺命令を受けたウシロブシの邪魔をすることになり、ついにドウコクから直々に「縛る」力による制裁で、傷を癒す事に専念せざるを得なくなった。

復活して再度シンケンジャーの前に現れ、ウタカサネの術により生死の淵をさまよっていたことはを救う手段や三途の川に入る方法、つまり己の所業を語る。
さらにシタリに狙われた丈瑠を救い、その際、丈瑠にかつて自分が死病に侵されていたこと、そんな我が身を見限って外道になった経緯、そして目的があくまで「強い者と骨の髄まで斬り合う事」だと語った。
そのあまりに強すぎる執着は、仲間でさえ気付かなかった丈瑠の「いびつさ」、丈瑠自身も目を背けていた心境の変化を誰よりも早く見透かした。
シンケンジャー、外道衆双方の横槍もあり、ことごとく勝負の場を逃すが、この貸しもあって、ついに念願が叶うことになる。
激闘の末、丈瑠を瀬戸際まで追いつめたが、捨て身の太刀に裏正を折られて敗北した。
海に落ち、一時的に行方不明となるが太夫に発見され、裏正の作者である筋殻アクマロに裏正の修復と交換条件で雇われる事になった。

アクマロが「裏見がんどう返し」の準備を終えた事から、裏正が十臓の妻を殺してその魂を閉じ込めて作ったものだった事が告げられる。
夫を愛し、それ故に夫の性分を嘆き、泣いて止めていた彼女の魂で人を斬り続けていたことを知った十臓に、アクマロは妻の魂を解放する事を条件に術の手伝いを迫る。
「地獄」の顕現を目的とするアクマロは地獄の苦しみを味い続けた裏正と、人でも外道でもない十臓こそが「裏見がんどう返しの術」を完成させると考え、そのために暗躍していたのである。
しかし、十臓は裏正の正体に最初から気付いており、真相を知りながらもその刀で二百年も人を斬り続ける本当の外道に堕ち果てていた。
そのために術の発動は失敗し十臓は蘇った裏正の切れ味をアクマロで試した後、彼がシンケンジャーに倒されるのを見届けてその場を立ち去る。

その後、本来の志葉家当主が表に出てきたことにより全てを失った丈瑠に最後の決戦を挑んだ。
昼夜を分たぬ激烈な斬り合いを繰り広げるもその果てに一撃を喰らうが、なおも更に斬り合いの快楽を追い求め、嬉々として刀を手に取った。
しかし、左足に刺さった裏正は彼の意志に反して決して抜けることはなく、十臓の目には足を掴み戦うことを止める妻の幻影が映る。
妻もまた二百年間、十臓の外道を止められるその瞬間を待っていた事を悟り、断ち切ったはずの人の絆を目の当たりにしたことで己の外道を繋ぎ留められず、噴き上がる火柱に飲まれ消え去った。

炎が消えた後には裏正だけが残ったが、それも丈瑠と仲間たちの絆を見届けるように消え去った。
すべて失ったと思っていた丈瑠が、本当は何も失っていなかったことを知ったことでかつての夫のようにはならないと安心したのかもしれない。

【余談】

妻との絆を断ち切れず外道を失って消滅した十臓のエピソードは、全てを失っても仲間との絆だけは残った丈瑠とだけでなく、人であったときの未練(絆)を断ち切って消滅した太夫とも対象的に描かれている。

元ネタの"猩々"は、一部地域では"福禄寿"と同一視されている"寿老人"の代わりに七福神入りしている。

最終更新:2022年03月29日 03:10