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アイドレス/北国人+わんわん偵察兵+追跡者+狙撃兵」(2010/10/28 (木) 00:03:32) の最新版変更点

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*北国人+わんわん偵察兵+追跡者+狙撃兵 ---- **アイドレスデータ L:北国人 = {  t:名称 = 北国人(人)  t:要点 = 暖かい服装,白い肌で美しい人材,白い髪  t:周辺環境 = 針葉樹林,木もないような雪原,豊かな小麦畑,豪雪対策された家,高い山  t:評価 = 体格1,筋力0,耐久力-1,外見1,敏捷0,器用0,感覚0,知識1,幸運0  t:特殊 = {   *北国人の人カテゴリ = ,,基本人アイドレス。   *北国人の食料変換 = ,,(生産フェイズごとに)食料+1万t。   *北国人の生物資源消費 = ,,(生産フェイズごとに)生物資源-1万t。   *北国人のイベント時食料消費 = ,条件発動,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料-1万t。  }  t:→次のアイドレス = 犬妖精(職業),魔法使い(職業),歩兵(職業),パイロット(職業),整備士(職業),国歌(絶技),アイドレス工場(施設),寮(施設),食糧生産地(施設),バトルメード(職業),高位北国人(人) } &link_anchor(北国人,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:わんわん偵察兵 = {  t:名称 = わんわん偵察兵(職業)  t:要点 = 双眼鏡,熟練の兵士  t:周辺環境 = 廃墟  t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力4,外見2,敏捷2,器用2,感覚5,知識4,幸運4  t:特殊 = {   *わんわん偵察兵の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。   *わんわん偵察兵の位置づけ = ,,歩兵系。   *わんわん偵察兵のみなし職業 = ,,<偵察兵>。   *わんわん偵察兵の根源力制限 = ,,着用制限(根源力:100001以上)。   *わんわん偵察兵の白兵距離戦闘行為 = 歩兵,条件発動,白兵距離戦闘行為が可能。#白兵距離戦闘評価:可能:(体格+筋力)÷2   *わんわん偵察兵の近距離戦闘行為 = 歩兵,,近距離戦闘行為が可能。#近距離戦闘評価:可能:(敏捷+筋力)÷2   *わんわん偵察兵の近距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(銃)、近距離での)攻撃、評価+5、燃料-1万t。属性(弾体)。   *わんわん偵察兵の中距離戦闘行為 = 歩兵,,中距離戦闘行為が可能。#中距離戦闘評価:可能:(感覚+知識)÷2   *わんわん偵察兵の中距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(銃)、中距離での)攻撃、評価+5、燃料-1万t。属性(弾体)。   *わんわん偵察兵の偵察補正 = 歩兵,条件発動,(偵察での)感覚、評価+3。75%制限。#偵察評価:一般:感覚  }  t:→次のアイドレス = 狙撃兵(職業),突撃兵(職業),新式突撃銃の開発(イベント),歩兵携行ミサイルの開発(イベント) } &link_anchor(わんわん偵察兵,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:追跡者 = {  t:名称 = 追跡者(職業)  t:要点 = 地面に耳をつけて聞く野戦服姿の人物,バンダナ,銃を預けられている相棒  t:周辺環境 = 密林  t:評価 = 体格0,筋力0,耐久力0,外見0,敏捷4,器用4,感覚4,知識1,幸運0  t:特殊 = {   *追跡者の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。   *追跡者の位置づけ = ,,歩兵系。   *追跡者の白兵距離戦闘行為 = ,,白兵距離戦闘行為が可能。#白兵距離戦闘評価:可能:(体格+筋力)÷2   *追跡者の白兵距離戦闘補正 = ,条件発動,(白兵(槍)、白兵距離での)攻撃、評価+3。   *追跡者の近距離戦闘行為 = ,,近距離戦闘行為が可能。#近距離戦闘評価:可能:(敏捷+筋力)÷2   *追跡者の近距離戦闘補正 = ,条件発動,(射撃(銃)、近距離での)攻撃、評価+3、燃料-1万t。属性(弾体)。   *追跡者の中距離戦闘行為 = ,,中距離戦闘行為が可能。#中距離戦闘評価:可能:(感覚+知識)÷2   *追跡者の中距離戦闘補正 = ,条件発動,(射撃(銃)、中距離での)攻撃、評価+3、燃料-1万t。属性(弾体)。   *追跡者の追跡補正 = ,条件発動,追跡、自動成功。75%制限。#追跡評価:一般:感覚,幸運   *追跡者の隠蔽看破補正 = ,条件発動,(隠蔽を看破する場合の)全判定、評価+4。75%制限。#隠蔽看破評価:一般:幸運   *追跡者の移動阻止能力 = ,任意発動,(相手の20%以上の人数の場合)対象の1部隊の移動を阻止できる。この能力は相手の移動時に発動できる。  }  t:→次のアイドレス = 炎熱編集櫻井(ACE),大山警部(ACE),警官(職業) } &link_anchor(追跡者,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:狙撃兵 = {  t:名称 = 狙撃兵(職業)  t:要点 = 呼吸,とめる,狙撃銃  t:周辺環境 = ビルの上 評価 =  ---- 【継承】クオリティチェック通過済み [[北国人>アイドレス/北国人(単体)]] #周辺環境「豪雪対策された家」のみ不通過 継承時、不通過のもののみ満たせばいい。 根拠 http://blog.tendice.jp/200706/article_58.html (質問者よんた@よんた藩国) ---- #ref(IMG_000247.jpg)  月が、見ていた。  夜の闇の中、''ビルの上''で、少女は独りじっと息を潜める。  ここは、よんた藩国市街地戦演習場。コンクリートと鉄で出来た''廃墟''の''密林''。  互いの位置を把握してから、すでに丸一日が経過しようとしているが、いまだに決着のときは見えない。  (・・・・・・。敵、いまだ動く気配なし)  独りごちようとしたが、まともに水も食事も取っていない唇はかさつき、張り付いて上手く動かなかった。  このまま持久戦ともなれば栄養補給なくては先にこちらに限界が来るであろう予測もある。  無論、レーションも飲料水も確保してはいるが、ヘタに口にして、ズボンの中に糞尿を垂れ流すのはやはり気分のいいものではない。  かといって、たとえ、身を隠していたとしても無防備な用便姿をさらすのも論外だ。そんな隙を見逃してくれる相手ではない。  それに、あの敵を前にしてとなれば、狙撃兵としてのセオリーを置いておいても、その姿を見られたくないと思う心理もあった。  と、そこまでを読んでの敵の行動であろうことはわかってはいた。  わかっているからこそ、動けないし、腹立たしくもある。  (わたしが嫌がるのをわかっててやってる・・・・・・。あの親父は)  スコープのその向こうにはやはりビルの屋上であり、そこには何の変哲もない屋上庭園があるだけ。  人の姿形などなにもありはしない。  だが、確実にそこにいる。それは間違いない。  射角、''狙撃銃''の性能、風、気温、湿度、それらの要素を鑑みれば、少女を狙うにはその位置しかありえなかった。  少しでも隙を見せれば撃たれる。しかし、それは相手も同じこと。故にこの状況はお互いの了解済みともいえる。  ただ時が過ぎていく・・・・・・。  夜の闇の中、ビルの上で、男は独りじっと息を潜める。  ここは、よんた藩国市街地戦演習場。コンクリートと鉄で出来た廃墟の密林。  互いの位置を把握してから、すでに丸一日が経過しようとしているが、いまだに決着のときは見えない。  (まだまだかかりそうだな・・・・・・。)  独りごちようとしたが、まともに水も食事も取っていない唇はかさつき、張り付いて上手く動かなかった。  このまま持久戦ともなればこちらが有利ではあるが、それにしてもタバコが吸えないのは頂けない。  無論、持ち合わせはあるが、ヘタに吸っては相手にここにいると教えるだけだ。  かといって、たとえ、身を隠していたとしても火をつけること自体が論外だ。そんな隙を見逃してくれる相手ではない。  それに、あの敵を前にしてとなれば、狙撃兵としてのセオリーを置いておいても、その姿を見られたくないと思う心理もあった。   と、そこまでを読んでの敵の行動であろうことはわかってはいた。  わかっているからこそ、動けないし、腹立たしくもある。  (タバコ吸ってるのばれるとうるさいんだよな。アイツ)  スコープのその向こうにはやはりビルの屋上であり、そこには何の変哲もない屋上遊園地があるだけ。  人の姿形などなにもありはしない。  だが、確実にそこにいる。それは間違いない。  射角、狙撃銃の性能、風、気温、湿度、それらの要素を鑑みれば、男を狙うにはその位置しかありえなかった。  少しでも隙を見せれば撃たれる。しかし、それは相手も同じこと。故にこの状況はお互いの了解済みともいえる。  ただ時が過ぎていく・・・・・・。     月に群雲。闇を深める。  そろそろ・・・・・・。  少女は決意する。  スコープを睨み構えた。  仕掛ける頃合か。  男は決断した。  懐に手を伸ばし、タバコを取り出す。  火が見えた?  少女はスコープの中に赤く光る点を見る。  わざわざ位置を知らせる?フェイク?それとも・・・・・・。  一瞬の逡巡。    その一瞬こそが男の狙い。  即座に行動を開始した。。  火は放物線を描いて移動していく。  投げたっ!!!  そう思考する以前に''呼吸''を''止め''少女の指が引き金を引く。  夜闇を切り裂く空包の銃声。  放物線の根元へ光が奔る。  同時に演習用ポインタの命中判定を確認。ミス。  外した。  もうあそこにはいない。  膠着を破るためこの時を待っていたのだろう。夜闇が濃くなり、炎がよりはっきりと見えるように。  少女は狙撃銃を背負い、サイドアームの拳銃を握る。  匍匐で這いずり、屋上の出入り口へと向かった。  そのまま飛び込むと、体勢を整え、階下へと向かう。  一度撃った以上、位置は完全に把握されている。そのままここに居座る理由などありはしなかった。  一階一階、丁寧にチェックしつつ降りていく。  先ほどの炎の距離からして、今すぐデンジャーゾーンになっているというわけではないだろうけれど・・・・・・。  違和感。  なにかを感じた気がする。   ''泥と埃で野戦服を汚し地面に耳を当て''振動と音を探ってみる。  ・・・・・・。  ・・・・・・。  ・・・・・・。  何も聴こえない。  気のせい?  でも、肌が粟立つこの感覚は・・・・・・?  男は狙いを着ける。  暗視装置の向こうには少女がはっきりと見えていた。  彼は移動などしていない。  身を隠して手を伸ばし物陰からタバコの火先だけをちらつかせ投げた。  そのままその場に留まり、階下に下りていく彼女を狙っていた。ただそれだけ。  この演習場の廃墟ビルには窓以外にいままでの演習の影響で壁に穴が空いていたり、思いもよらない場所に裂け目ができていたりする場所がある。  もちろん、倒壊の危険がない範囲でだが。''設置されている家屋、ビル群はたとえ大雪が積もっても崩れない程度には対策はなされていた''。  そして彼は自身のビルから射線が通り、少女が屋上から階下に下りるには必ず通らねばならない場所を把握していた。  相手が常にセオリーどおりに動いてくれるわけではない。  自分より相手が地の利に聡いこともある。   ''熟練の兵士''たる彼はそれをよく知っているが、少女は体感として味わったことはない。  この状況はその差だ。  あのまま、あの場所に居座られていてはいづれケリが着くにしても、それがいつになるかは判らない。  場合によっては1週間でもそのままかもしれない。  そうなっては先に時間切れで演習がおわってしまうことだろう。  それではいけない。あの少女には強くなってもらわなければいけない。  これから先この国をそして世界を守るのは次代の仕事になるだろうから。  ならばこそ、出来うる限り、技術と経験を伝えるのがロートルの仕事である、と男は考える。  あと一歩、あと一歩踏み出せは終わる・・・・・・。 #ref(127391858588816412493_sogeki2.jpg)  少女は足を踏み出せずにいた。  ここには何もない。それは間違いない。  だが、何かが引っ掛かる、それが何かが判らない。気持ち悪い。  ああ、外の月あんなに綺麗なのに。    月?  どうして月が綺麗と思った?  それは・・・・・・。  それは、光が”見えた”から。  少女は走った。  雲が切れ中天に輝く満月を男は背負う。  男も光に気がつく、しまったと思考すると同時に発砲する。  だが、すでに時を逸している。  時間をかけすぎた。  ああ、そうだった。  アイツはたしかにまだペーペーだ。  でも、勘はよかった。センスがあるといっていい。  それを忘れているとは、俺もまだまだか。  男はにやりと笑い、狙撃銃を背負い、拳銃にペイント弾を込め、階下へと駆けた。  「で、結果がこれか」  もうすぐ60に届こうかという皺深い顔をさらに皺深くさせて上官は2つの報告書を机に投げる。  「「はい」」  その執務室にてその報告書を提出した少女こと深町やちよと、男ことクレイヴ・マーキーは直立不動で答える。  二人をみて老上官は、ゲンナリした顔で老眼鏡をとり、引き出しから出した眼鏡拭きで眼鏡を磨く。  「たしかにな、私は実戦に近い形で決着がつくまでとことんやれといった」  「「はい」」  「そこによりリアリティを持たせるため、狙撃銃以外の普段の標準装備も携行しての模擬戦を許可した」  「「はい」」  「しかしな・・・・・・。だからといって、新式狙撃銃のトライアルで狙撃戦を放棄して拳銃による市街戦、室内戦に移行し、しかも相打ちとは・・・・・・」  かぶりを振り、窓の外を見る。今日もいい天気だ。  「たしかに、この状況下で再度狙撃戦に移行するのは無理だったことは理解する」  「「ありがとうございます」」  先ほどから息の合った返事を繰り返す二人。  その姿を見れば、野戦服から''バンダナ''までペンキまみれ。ここには持ってきてはいないが''双眼鏡''などの装備にも被害はでている。  それを見てまたがっくりする上官。  「実戦での使用に耐えうることは確認できたのはよしとするが」  報告書を見るに動作不良もなく、取り回し、射程、整備性など携行使用するには問題ないのは確認できたのが幸いだろうとなんとか精神の軟着陸を計ろうとする。  今回の演習の目的は、いづれ来るべき装備更新計画のため、歩兵携行装備の試作とそのテストにあった。  ただ、この装備がそのまま採用ということはなく、あくまで技術研究の一環としてであるのだが。これは今回二人が使用した狙撃銃も含まれる。  現時点に置いては、現行の突撃銃を含む装備にて任務にあたっており、ペイント塗れになった2丁の狙撃銃もまた借り物であった。  これでまた技術部に文句をいわれるだろうなあと老上官は気分が暗くなったが、それを飲み込む。  「まあ。ご苦労だった。帰ってよし」  「「はっ」」  敬礼二つ、二人は執務室を後にした。  そして廊下にて、  「また迷惑かけた・・・・・・」  やちよはしょぼんとした顔でクレイヴを見る。  「はっはっは。やちよは悪い子だなあ」  といいつつ頭をポンポンたたく中年男。  「誰のせいだと・・・・・・」  と、ぶすーっとした目で睨むがどこ吹く風。  「じゃあ、バディ解消するか?」  「それは嫌」  一瞬の間もなく即答。  「わたしの銃を預けられるのは貴方だけ・・・・・・だから・・・・・・」  「そっか」  ふ~んとどこを見るともなくクレイヴは視線を漂わせる。  「ま、心配すんな。お前さんにはまだまだ教えにゃいかんこともあるしな」  「うん・・・・・・」  すこし気分が晴れる。なんだかんだといってもやはり自分のことを理解している。  その認識はやちよにとって好ましく感じた。  「まあ、勝ってたのは俺だけどな。あんな子供だましにひっかかるなん・・・・・・あっ・・・・・・」  調子に乗って余計なことをと思ったときには遅かった。  「そう・・・・・・。あのとき貴方、タバコ吸ってた。あれだけ肺に悪いから止めろっていってるのに・・・・・・・」  ふふふふふふと妙な笑みを浮かべ始める少女。  「まあ。待て落ち着け。あれはだな。こういう使い方もあるぞ~っていう作戦で・・・・・・」  「ふふふふふふふふふ」  「だから、その・・・・・・」  それまでの軽いノリはどこへやら。完全におびえ、壁に後ずさる。  「駄・目」    響き渡る絶叫。  今だけはここは平穏なようだ。 *狙撃兵について **成り立ち  よんた藩国において歩兵といえばシーズン1より長らく偵察兵が主に用いられてきたが、I=D火力重視主義であったこの時期は歩兵ゆえの低火力、低ARから目立った活躍もすることはなかった。  それがシーズン2に移り、歩兵の有用性の再確認が行われてからは、治安維持、戦後処理など戦場ではない場所でその力を示し始める。  火力だけが戦力ではなく、ただの人であるからこそできる多様性こそが本領である、と。  だが、いくら歩兵の本領は火力ではないとはいえ、打撃力がなさすぎるのも考え物である。  市街地、地下など歩兵でしか戦えない戦場の場合もいままで多々あり、その時々で火力を持つ歩兵部隊を医者による治療によって何度も投入することで勝利を得たりもしてきたが、その影響で、薬物中毒、殺人衝動などの戦場後遺症を発症したことさえあった。  この過程で歩兵に火力と装甲を与えることを目指して開発されたのがチップボールである。  チップボールの登場により、歩兵には一定の火力と装甲が担保されるようになり、特にPPG(現EHG)において特によく運用され活躍した。  よんた藩国でもこの機体の運用により火力と装甲を得られるようになるのだが、実際はそうはならなかった。  この国はI=D兵器を製造できる工場がなかったのだ。建てるだけなら出来るが、その維持管理費用を勘案するとなかなかに厳しいものがある。  これにより、I=D兵器はすべて他国からの輸送に頼らざるを得ず、船の運用が出来ない(船乗り系アイドレスを持たない)この国では帝國全国規模の輸送計画でもないかぎり、まず機体の入手ができなかった。  よってチップ開発以前に満天星国より入手していた天陽やピケ・サイドカーによる高機動装備を運用することが多かった。  また、これらの装備は機動力を必要とする偵察兵とも相性がよかったのもある。  そう、相性がよかった。これがまた問題であったのだ。  逆説的にいえばピケに乗るためには偵察兵である必要があるのだが、偵察兵といえばシーズン1のころに生まれた兵種であり近年のNWではいささか能力が物足りないものであった。  偵察兵を有効に運用するにはピケが必要である、しかし、偵察兵では戦力としては使いにくく、偵察能力も近年では低いといわざるを得ないものである。  そこで藩国首脳によって立案されたのが、歩兵強化計画である。  本計画はチップ開発以前より実施されており、チップ開発以後はその運用も含められることになるのだが、それはさておき。  まず第一段階として、単純に弱いなら強くすればいいじゃないかと、偵察兵の強化を実施。  その強化により偵察兵のアッパーバージョンとも言えるわんわん偵察兵が生まれ、まず偵察能力の底上げが行われる。  平行し第二段階として、歩兵としての基礎能力向上と市街戦対応を目的とした特殊部隊員を育成しNWでの状況対応力を上げた。  第三段階としては第一、第二段階で能力向上が行われた歩兵にガンマンの教育を施し、銃器の技術向上が図られた。  以上、三段階の強化により基礎を固め、次世代対応歩兵育成となる第四段階に計画はシフトする。それが狙撃兵部隊であった。 **狙撃兵の育成    狙撃兵。  歩兵としては破格の射程距離と隠密性を誇る兵種であり、その隠密性の高さゆえ、斥候としても用いられることもある。  次世代歩兵に狙撃兵を選んだのは、よんた藩国の歩兵の方向性にあった。  元来、偵察兵をその祖に持つこの国は視力などの感覚に優れており、元々の相性がよい。  火力の向上という意味では狙撃銃の長射程は魅力がある。  また斥候を兼ねることもあることからいままでのノウハウを生かしつつ、より優れた偵察兵ともなるであろうと考えられたのだ。  まず行われたのが候補生の選別である。  軍の中でも武器の扱いに優れ、勤勉で誠実であること、フィールドワークの知識を持ち、なおかつ忍耐力のある人間が求められた。  訓練は、燃料グループの支援もあり豊富な弾薬補給を背景に標的を用いた実弾演習の強化、対狙撃兵を想定したレーザーポインターによる対人演習の実施、忍耐力などの向上を目的とした精神修養などが行われた。  銃の訓練については、国軍ではどの兵種も問わず、突撃銃の習熟が行われており、これは狙撃兵も例外ではない。国軍全てがライフルマンともいえる。  狙撃に関しては、状況に応じて突撃銃を用いることもあり、突撃銃のアタリ銃を狙撃仕様に改造されたものが支給されることもあった。  さらに国内の戦闘を想定し、スキー訓練も必須となった。これは体力向上も兼ねている。  しかし、いくら歩兵強化のためとはいえ、肉体の機械的改造、遺伝子操作、精神操作など人の形質から外れたりするような強化はこれを否とした。  ただの人間のままでできることをできるだけやることが大事だと信じて。  そのためにはただひたすら訓練を重ねていくしかない。  気が遠くなるほどの反復練習こそが狙撃の最大の秘訣なのだから。  かといって、筋肉で光速を目指すようなことするわけではなかったわけだが、そこまでいけばもうギャグの領域だ。   **狙撃兵の任務  彼ら彼女らに想定されている任務は以下の通りである。  ・狙撃  将校、通信機器を持っている兵隊、偵察隊、狙撃兵などの重要任務を果たしている者や、より脅威度の高い目標の排除。  ・斥候、偵察  敵配置や軍事行動についての偵察とそれを用いての味方部隊との作戦協調と援護(火砲、精密誘導兵器の標定、誘導の実施も含まれる)  ・味方の援護  遠距離からの狙撃による味方要員の安全確保    これ以外に状況に応じて警察と連携しての治安維持任務や対テロ任務にあたることもあった。  また要人警護の際の狙撃警戒などを行い、藩国警察機構の狙撃手育成や合同訓練も行われた。   **バディについて    狙撃兵はその隠密性から単独での任務にあたることもあるが、二名一組、トゥーマンセルのバディ制である。  役割を分担することで負担を軽減し、長期に渡る任務の場合は交代制をとっている。  まず一人が観測手として撃った弾の観測と修正を担当し、射撃の指示を行う。  観測手には上記にて述べたとおり、狙撃位置の割り出しには経験を勘が必要となってくるため、より狙撃経験を積んだものが当てられた。  そして、もう一人が狙撃手として観測手の情報を元に狙撃を実施する。  狙撃手は観測手の指示で行動するため、観測手のことを信頼できなければ任務を実行できない。  よって各バディは深い信頼関係が期待されており、各々気の合う人間をパートナーとしていた。  異性同士か同性同士かはまちまちであったが、基本的には''互いの銃を預けられている相棒''のような関係が良好なバディが主である。   **狙撃について  狙撃の基本は呼吸にある。  人間はじっとして動いていないつもりでも無意識に動いてしまう。  中にはどうやっても制御できないものもあるが、できるものもある。  それが呼吸である。  息を吸い、吐く、それだけで胸が上下し微妙に身体が動く。  普通なら気にならないはずの身体の揺れさえも狙撃においては敵なのだ。  揺れからくるブレはその場ではわずかでも狙撃距離が遠くなればなるほどより大きな誤差を生む。  それを防ぐためにも呼吸の制御は行わなければならない。  といっても複雑な呼吸法があるわけではない。  息を吸い、吐いて、止める。これだけだ。だが、止めすぎてもいけない、それはそれでブレの元だ。  10秒未満のわずかな間だけ止め、その間に撃つ。  これができるだけでも命中率は上がるのだが、いざ実行しようにもこれがなかなか難しい。  そこで必要なのがリラックスすることだ。  リラックスにより身体から余計な力を抜き、適切に力を配分する。  そして、よく狙い、トリガーにかけた指をこれ以上力を入れたら引いてしまう程度に緩ませ、絞り、撃つ。  と言葉にしてしまえば基本はこれだけなのだが、これを戦場で実際にやれといわれてできる人間は早々いない。  上記の事柄に気をつけつつ、さらに天候、狙撃対象の行動、周辺の安全などなどさまざまなことに注意しつつ行わなければならないのだから。  だからこそ、狙撃兵は反復訓練をする。  頭ではなく身体にスキルを叩き込み、考える前に身体が動くようにするために。  狙撃の最大の秘訣は練習である、というのはこのあたりから来ているのだろう。  先に少し触れたが、天候もまた重要な要素である。  弾丸は風があれば流され、気温が高ければ上昇し低ければ下降し、湿度が高ければ湿気で空気抵抗が増しさらに下にズレる。  これらの要素を勘案し狙いを定めなければならない。  このあたりになってくると勘と経験が頼りとなってくるため、やはりどれだけ撃ってきたかが分かれ目だ。  相手との距離把握については使える状況ならレーザーによる位置測定。それが出来ないなら、地図や航空写真を見たり、目的物の外観をレティクル(スコープ内の目盛り)で確認するなどである。  まあ、スコープすら使えない状況なら(突撃銃の使用など)、銃身のサイトだよりになるわけだが・・・・・・。  なお、雪原においてスコープは反射することもあり、それを嫌ってあえて使わないという場合もなくはない。 **これからについて  戦場の舞台は宇宙に移り、ただの人間たる狙撃兵に出番はないが主戦場が移ろうとも、やることがないわけではない。  宇宙への出兵となれば、いくつもの国が手薄となってしまうだろう。そんなときに力を発揮するのは歩兵たちだ。  偵察に特化した歩兵たちは帝國の目となり、戦火を減らす一助となる。  また、歩兵強化はこれで最終段階ではない。突撃銃などの携行装備の改良、偵察技術の更なる向上などさらに上を目指すのだ。  全ては民の安寧と幸せのために。   イラスト:竿崎 裕樹 SS、設定文:よんた 設定協力:音在 誠自
*北国人+わんわん偵察兵+追跡者+狙撃兵 ---- **アイドレスデータ L:北国人 = {  t:名称 = 北国人(人)  t:要点 = 暖かい服装,白い肌で美しい人材,白い髪  t:周辺環境 = 針葉樹林,木もないような雪原,豊かな小麦畑,豪雪対策された家,高い山  t:評価 = 体格1,筋力0,耐久力-1,外見1,敏捷0,器用0,感覚0,知識1,幸運0  t:特殊 = {   *北国人の人カテゴリ = ,,基本人アイドレス。   *北国人の食料変換 = ,,(生産フェイズごとに)食料+1万t。   *北国人の生物資源消費 = ,,(生産フェイズごとに)生物資源-1万t。   *北国人のイベント時食料消費 = ,条件発動,(一般行為判定を伴うイベントに参加するごとに)食料-1万t。  }  t:→次のアイドレス = 犬妖精(職業),魔法使い(職業),歩兵(職業),パイロット(職業),整備士(職業),国歌(絶技),アイドレス工場(施設),寮(施設),食糧生産地(施設),バトルメード(職業),高位北国人(人) } &link_anchor(北国人,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:わんわん偵察兵 = {  t:名称 = わんわん偵察兵(職業)  t:要点 = 双眼鏡,熟練の兵士  t:周辺環境 = 廃墟  t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力4,外見2,敏捷2,器用2,感覚5,知識4,幸運4  t:特殊 = {   *わんわん偵察兵の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。   *わんわん偵察兵の位置づけ = ,,歩兵系。   *わんわん偵察兵のみなし職業 = ,,<偵察兵>。   *わんわん偵察兵の根源力制限 = ,,着用制限(根源力:100001以上)。   *わんわん偵察兵の白兵距離戦闘行為 = 歩兵,条件発動,白兵距離戦闘行為が可能。#白兵距離戦闘評価:可能:(体格+筋力)÷2   *わんわん偵察兵の近距離戦闘行為 = 歩兵,,近距離戦闘行為が可能。#近距離戦闘評価:可能:(敏捷+筋力)÷2   *わんわん偵察兵の近距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(銃)、近距離での)攻撃、評価+5、燃料-1万t。属性(弾体)。   *わんわん偵察兵の中距離戦闘行為 = 歩兵,,中距離戦闘行為が可能。#中距離戦闘評価:可能:(感覚+知識)÷2   *わんわん偵察兵の中距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(銃)、中距離での)攻撃、評価+5、燃料-1万t。属性(弾体)。   *わんわん偵察兵の偵察補正 = 歩兵,条件発動,(偵察での)感覚、評価+3。75%制限。#偵察評価:一般:感覚  }  t:→次のアイドレス = 狙撃兵(職業),突撃兵(職業),新式突撃銃の開発(イベント),歩兵携行ミサイルの開発(イベント) } &link_anchor(わんわん偵察兵,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:追跡者 = {  t:名称 = 追跡者(職業)  t:要点 = 地面に耳をつけて聞く野戦服姿の人物,バンダナ,銃を預けられている相棒  t:周辺環境 = 密林  t:評価 = 体格0,筋力0,耐久力0,外見0,敏捷4,器用4,感覚4,知識1,幸運0  t:特殊 = {   *追跡者の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。   *追跡者の位置づけ = ,,歩兵系。   *追跡者の白兵距離戦闘行為 = ,,白兵距離戦闘行為が可能。#白兵距離戦闘評価:可能:(体格+筋力)÷2   *追跡者の白兵距離戦闘補正 = ,条件発動,(白兵(槍)、白兵距離での)攻撃、評価+3。   *追跡者の近距離戦闘行為 = ,,近距離戦闘行為が可能。#近距離戦闘評価:可能:(敏捷+筋力)÷2   *追跡者の近距離戦闘補正 = ,条件発動,(射撃(銃)、近距離での)攻撃、評価+3、燃料-1万t。属性(弾体)。   *追跡者の中距離戦闘行為 = ,,中距離戦闘行為が可能。#中距離戦闘評価:可能:(感覚+知識)÷2   *追跡者の中距離戦闘補正 = ,条件発動,(射撃(銃)、中距離での)攻撃、評価+3、燃料-1万t。属性(弾体)。   *追跡者の追跡補正 = ,条件発動,追跡、自動成功。75%制限。#追跡評価:一般:感覚,幸運   *追跡者の隠蔽看破補正 = ,条件発動,(隠蔽を看破する場合の)全判定、評価+4。75%制限。#隠蔽看破評価:一般:幸運   *追跡者の移動阻止能力 = ,任意発動,(相手の20%以上の人数の場合)対象の1部隊の移動を阻止できる。この能力は相手の移動時に発動できる。  }  t:→次のアイドレス = 炎熱編集櫻井(ACE),大山警部(ACE),警官(職業) } &link_anchor(追跡者,page=アイドレスデータ旧記述){#旧記述} /*/ L:狙撃兵={  t:名称 = 狙撃兵(職業)  t:要点 = 呼吸,とめる,狙撃銃  t:周辺環境 = ビルの上  t:評価 = 体格6,筋力6,耐久力9,外見3,敏捷9,器用2,感覚11,知識5,幸運4  t:特殊 = {   *狙撃兵の職業カテゴリ = ,,派生職業アイドレス。   *狙撃兵の位置づけ = ,,歩兵系。   *狙撃兵のみなし職業 = ,,<歩兵>。   *狙撃兵の根源力制限 = ,,着用制限(根源力:100001以上)。   *狙撃兵の中距離戦闘行為 = 歩兵,,中距離戦闘行為が可能。#中距離戦闘評価:可能:(感覚+知識)÷2   *狙撃兵の中距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(銃)、中距離での)攻撃、評価+5、燃料-2万t。属性(弾体)。   *狙撃兵の遠距離戦闘行為 = 歩兵,,遠距離戦闘行為が可能。#遠距離戦闘評価:可能:(敏捷+感覚)÷2   *狙撃兵の遠距離戦闘補正 = 歩兵,条件発動,(射撃(全般)、遠距離での)攻撃、評価+3、燃料-2万t。属性(弾体)。   *狙撃兵の偵察補正 = 歩兵,条件発動,(偵察での)感覚、評価+3。75%制限。#偵察評価:一般:感覚  }  t:→次のアイドレス = 狙撃銃の開発(イベント),極大射程兵(職業) } 評価 = 体格10,筋力9,耐久力12,外見6,敏捷15,器用8,感覚20,知識11,幸運8 ---- 【継承】クオリティチェック通過済み [[北国人>アイドレス/北国人(単体)]] #周辺環境「豪雪対策された家」のみ不通過 継承時、不通過のもののみ満たせばいい。 根拠 http://blog.tendice.jp/200706/article_58.html (質問者よんた@よんた藩国) ---- #ref(IMG_000247.jpg)  月が、見ていた。  夜の闇の中、''ビルの上''で、少女は独りじっと息を潜める。  ここは、よんた藩国市街地戦演習場。コンクリートと鉄で出来た''廃墟''の''密林''。  互いの位置を把握してから、すでに丸一日が経過しようとしているが、いまだに決着のときは見えない。  (・・・・・・。敵、いまだ動く気配なし)  独りごちようとしたが、まともに水も食事も取っていない唇はかさつき、張り付いて上手く動かなかった。  このまま持久戦ともなれば栄養補給なくては先にこちらに限界が来るであろう予測もある。  無論、レーションも飲料水も確保してはいるが、ヘタに口にして、ズボンの中に糞尿を垂れ流すのはやはり気分のいいものではない。  かといって、たとえ、身を隠していたとしても無防備な用便姿をさらすのも論外だ。そんな隙を見逃してくれる相手ではない。  それに、あの敵を前にしてとなれば、狙撃兵としてのセオリーを置いておいても、その姿を見られたくないと思う心理もあった。  と、そこまでを読んでの敵の行動であろうことはわかってはいた。  わかっているからこそ、動けないし、腹立たしくもある。  (わたしが嫌がるのをわかっててやってる・・・・・・。あの親父は)  スコープのその向こうにはやはりビルの屋上であり、そこには何の変哲もない屋上庭園があるだけ。  人の姿形などなにもありはしない。  だが、確実にそこにいる。それは間違いない。  射角、''狙撃銃''の性能、風、気温、湿度、それらの要素を鑑みれば、少女を狙うにはその位置しかありえなかった。  少しでも隙を見せれば撃たれる。しかし、それは相手も同じこと。故にこの状況はお互いの了解済みともいえる。  ただ時が過ぎていく・・・・・・。  夜の闇の中、ビルの上で、男は独りじっと息を潜める。  ここは、よんた藩国市街地戦演習場。コンクリートと鉄で出来た廃墟の密林。  互いの位置を把握してから、すでに丸一日が経過しようとしているが、いまだに決着のときは見えない。  (まだまだかかりそうだな・・・・・・。)  独りごちようとしたが、まともに水も食事も取っていない唇はかさつき、張り付いて上手く動かなかった。  このまま持久戦ともなればこちらが有利ではあるが、それにしてもタバコが吸えないのは頂けない。  無論、持ち合わせはあるが、ヘタに吸っては相手にここにいると教えるだけだ。  かといって、たとえ、身を隠していたとしても火をつけること自体が論外だ。そんな隙を見逃してくれる相手ではない。  それに、あの敵を前にしてとなれば、狙撃兵としてのセオリーを置いておいても、その姿を見られたくないと思う心理もあった。   と、そこまでを読んでの敵の行動であろうことはわかってはいた。  わかっているからこそ、動けないし、腹立たしくもある。  (タバコ吸ってるのばれるとうるさいんだよな。アイツ)  スコープのその向こうにはやはりビルの屋上であり、そこには何の変哲もない屋上遊園地があるだけ。  人の姿形などなにもありはしない。  だが、確実にそこにいる。それは間違いない。  射角、狙撃銃の性能、風、気温、湿度、それらの要素を鑑みれば、男を狙うにはその位置しかありえなかった。  少しでも隙を見せれば撃たれる。しかし、それは相手も同じこと。故にこの状況はお互いの了解済みともいえる。  ただ時が過ぎていく・・・・・・。     月に群雲。闇を深める。  そろそろ・・・・・・。  少女は決意する。  スコープを睨み構えた。  仕掛ける頃合か。  男は決断した。  懐に手を伸ばし、タバコを取り出す。  火が見えた?  少女はスコープの中に赤く光る点を見る。  わざわざ位置を知らせる?フェイク?それとも・・・・・・。  一瞬の逡巡。    その一瞬こそが男の狙い。  即座に行動を開始した。。  火は放物線を描いて移動していく。  投げたっ!!!  そう思考する以前に''呼吸''を''止め''少女の指が引き金を引く。  夜闇を切り裂く空包の銃声。  放物線の根元へ光が奔る。  同時に演習用ポインタの命中判定を確認。ミス。  外した。  もうあそこにはいない。  膠着を破るためこの時を待っていたのだろう。夜闇が濃くなり、炎がよりはっきりと見えるように。  少女は狙撃銃を背負い、サイドアームの拳銃を握る。  匍匐で這いずり、屋上の出入り口へと向かった。  そのまま飛び込むと、体勢を整え、階下へと向かう。  一度撃った以上、位置は完全に把握されている。そのままここに居座る理由などありはしなかった。  一階一階、丁寧にチェックしつつ降りていく。  先ほどの炎の距離からして、今すぐデンジャーゾーンになっているというわけではないだろうけれど・・・・・・。  違和感。  なにかを感じた気がする。   ''泥と埃で野戦服を汚し地面に耳を当て''振動と音を探ってみる。  ・・・・・・。  ・・・・・・。  ・・・・・・。  何も聴こえない。  気のせい?  でも、肌が粟立つこの感覚は・・・・・・?  男は狙いを着ける。  暗視装置の向こうには少女がはっきりと見えていた。  彼は移動などしていない。  身を隠して手を伸ばし物陰からタバコの火先だけをちらつかせ投げた。  そのままその場に留まり、階下に下りていく彼女を狙っていた。ただそれだけ。  この演習場の廃墟ビルには窓以外にいままでの演習の影響で壁に穴が空いていたり、思いもよらない場所に裂け目ができていたりする場所がある。  もちろん、倒壊の危険がない範囲でだが。''設置されている家屋、ビル群はたとえ大雪が積もっても崩れない程度には対策はなされていた''。  そして彼は自身のビルから射線が通り、少女が屋上から階下に下りるには必ず通らねばならない場所を把握していた。  相手が常にセオリーどおりに動いてくれるわけではない。  自分より相手が地の利に聡いこともある。   ''熟練の兵士''たる彼はそれをよく知っているが、少女は体感として味わったことはない。  この状況はその差だ。  あのまま、あの場所に居座られていてはいづれケリが着くにしても、それがいつになるかは判らない。  場合によっては1週間でもそのままかもしれない。  そうなっては先に時間切れで演習がおわってしまうことだろう。  それではいけない。あの少女には強くなってもらわなければいけない。  これから先この国をそして世界を守るのは次代の仕事になるだろうから。  ならばこそ、出来うる限り、技術と経験を伝えるのがロートルの仕事である、と男は考える。  あと一歩、あと一歩踏み出せは終わる・・・・・・。 #ref(127391858588816412493_sogeki2.jpg)  少女は足を踏み出せずにいた。  ここには何もない。それは間違いない。  だが、何かが引っ掛かる、それが何かが判らない。気持ち悪い。  ああ、外の月あんなに綺麗なのに。    月?  どうして月が綺麗と思った?  それは・・・・・・。  それは、光が”見えた”から。  少女は走った。  雲が切れ中天に輝く満月を男は背負う。  男も光に気がつく、しまったと思考すると同時に発砲する。  だが、すでに時を逸している。  時間をかけすぎた。  ああ、そうだった。  アイツはたしかにまだペーペーだ。  でも、勘はよかった。センスがあるといっていい。  それを忘れているとは、俺もまだまだか。  男はにやりと笑い、狙撃銃を背負い、拳銃にペイント弾を込め、階下へと駆けた。  「で、結果がこれか」  もうすぐ60に届こうかという皺深い顔をさらに皺深くさせて上官は2つの報告書を机に投げる。  「「はい」」  その執務室にてその報告書を提出した少女こと深町やちよと、男ことクレイヴ・マーキーは直立不動で答える。  二人をみて老上官は、ゲンナリした顔で老眼鏡をとり、引き出しから出した眼鏡拭きで眼鏡を磨く。  「たしかにな、私は実戦に近い形で決着がつくまでとことんやれといった」  「「はい」」  「そこによりリアリティを持たせるため、狙撃銃以外の普段の標準装備も携行しての模擬戦を許可した」  「「はい」」  「しかしな・・・・・・。だからといって、新式狙撃銃のトライアルで狙撃戦を放棄して拳銃による市街戦、室内戦に移行し、しかも相打ちとは・・・・・・」  かぶりを振り、窓の外を見る。今日もいい天気だ。  「たしかに、この状況下で再度狙撃戦に移行するのは無理だったことは理解する」  「「ありがとうございます」」  先ほどから息の合った返事を繰り返す二人。  その姿を見れば、野戦服から''バンダナ''までペンキまみれ。ここには持ってきてはいないが''双眼鏡''などの装備にも被害はでている。  それを見てまたがっくりする上官。  「実戦での使用に耐えうることは確認できたのはよしとするが」  報告書を見るに動作不良もなく、取り回し、射程、整備性など携行使用するには問題ないのは確認できたのが幸いだろうとなんとか精神の軟着陸を計ろうとする。  今回の演習の目的は、いづれ来るべき装備更新計画のため、歩兵携行装備の試作とそのテストにあった。  ただ、この装備がそのまま採用ということはなく、あくまで技術研究の一環としてであるのだが。これは今回二人が使用した狙撃銃も含まれる。  現時点に置いては、現行の突撃銃を含む装備にて任務にあたっており、ペイント塗れになった2丁の狙撃銃もまた借り物であった。  これでまた技術部に文句をいわれるだろうなあと老上官は気分が暗くなったが、それを飲み込む。  「まあ。ご苦労だった。帰ってよし」  「「はっ」」  敬礼二つ、二人は執務室を後にした。  そして廊下にて、  「また迷惑かけた・・・・・・」  やちよはしょぼんとした顔でクレイヴを見る。  「はっはっは。やちよは悪い子だなあ」  といいつつ頭をポンポンたたく中年男。  「誰のせいだと・・・・・・」  と、ぶすーっとした目で睨むがどこ吹く風。  「じゃあ、バディ解消するか?」  「それは嫌」  一瞬の間もなく即答。  「わたしの銃を預けられるのは貴方だけ・・・・・・だから・・・・・・」  「そっか」  ふ~んとどこを見るともなくクレイヴは視線を漂わせる。  「ま、心配すんな。お前さんにはまだまだ教えにゃいかんこともあるしな」  「うん・・・・・・」  すこし気分が晴れる。なんだかんだといってもやはり自分のことを理解している。  その認識はやちよにとって好ましく感じた。  「まあ、勝ってたのは俺だけどな。あんな子供だましにひっかかるなん・・・・・・あっ・・・・・・」  調子に乗って余計なことをと思ったときには遅かった。  「そう・・・・・・。あのとき貴方、タバコ吸ってた。あれだけ肺に悪いから止めろっていってるのに・・・・・・・」  ふふふふふふと妙な笑みを浮かべ始める少女。  「まあ。待て落ち着け。あれはだな。こういう使い方もあるぞ~っていう作戦で・・・・・・」  「ふふふふふふふふふ」  「だから、その・・・・・・」  それまでの軽いノリはどこへやら。完全におびえ、壁に後ずさる。  「駄・目」    響き渡る絶叫。  今だけはここは平穏なようだ。 *狙撃兵について **成り立ち  よんた藩国において歩兵といえばシーズン1より長らく偵察兵が主に用いられてきたが、I=D火力重視主義であったこの時期は歩兵ゆえの低火力、低ARから目立った活躍もすることはなかった。  それがシーズン2に移り、歩兵の有用性の再確認が行われてからは、治安維持、戦後処理など戦場ではない場所でその力を示し始める。  火力だけが戦力ではなく、ただの人であるからこそできる多様性こそが本領である、と。  だが、いくら歩兵の本領は火力ではないとはいえ、打撃力がなさすぎるのも考え物である。  市街地、地下など歩兵でしか戦えない戦場の場合もいままで多々あり、その時々で火力を持つ歩兵部隊を医者による治療によって何度も投入することで勝利を得たりもしてきたが、その影響で、薬物中毒、殺人衝動などの戦場後遺症を発症したことさえあった。  この過程で歩兵に火力と装甲を与えることを目指して開発されたのがチップボールである。  チップボールの登場により、歩兵には一定の火力と装甲が担保されるようになり、特にPPG(現EHG)において特によく運用され活躍した。  よんた藩国でもこの機体の運用により火力と装甲を得られるようになるのだが、実際はそうはならなかった。  この国はI=D兵器を製造できる工場がなかったのだ。建てるだけなら出来るが、その維持管理費用を勘案するとなかなかに厳しいものがある。  これにより、I=D兵器はすべて他国からの輸送に頼らざるを得ず、船の運用が出来ない(船乗り系アイドレスを持たない)この国では帝國全国規模の輸送計画でもないかぎり、まず機体の入手ができなかった。  よってチップ開発以前に満天星国より入手していた天陽やピケ・サイドカーによる高機動装備を運用することが多かった。  また、これらの装備は機動力を必要とする偵察兵とも相性がよかったのもある。  そう、相性がよかった。これがまた問題であったのだ。  逆説的にいえばピケに乗るためには偵察兵である必要があるのだが、偵察兵といえばシーズン1のころに生まれた兵種であり近年のNWではいささか能力が物足りないものであった。  偵察兵を有効に運用するにはピケが必要である、しかし、偵察兵では戦力としては使いにくく、偵察能力も近年では低いといわざるを得ないものである。  そこで藩国首脳によって立案されたのが、歩兵強化計画である。  本計画はチップ開発以前より実施されており、チップ開発以後はその運用も含められることになるのだが、それはさておき。  まず第一段階として、単純に弱いなら強くすればいいじゃないかと、偵察兵の強化を実施。  その強化により偵察兵のアッパーバージョンとも言えるわんわん偵察兵が生まれ、まず偵察能力の底上げが行われる。  平行し第二段階として、歩兵としての基礎能力向上と市街戦対応を目的とした特殊部隊員を育成しNWでの状況対応力を上げた。  第三段階としては第一、第二段階で能力向上が行われた歩兵にガンマンの教育を施し、銃器の技術向上が図られた。  以上、三段階の強化により基礎を固め、次世代対応歩兵育成となる第四段階に計画はシフトする。それが狙撃兵部隊であった。 **狙撃兵の育成    狙撃兵。  歩兵としては破格の射程距離と隠密性を誇る兵種であり、その隠密性の高さゆえ、斥候としても用いられることもある。  次世代歩兵に狙撃兵を選んだのは、よんた藩国の歩兵の方向性にあった。  元来、偵察兵をその祖に持つこの国は視力などの感覚に優れており、元々の相性がよい。  火力の向上という意味では狙撃銃の長射程は魅力がある。  また斥候を兼ねることもあることからいままでのノウハウを生かしつつ、より優れた偵察兵ともなるであろうと考えられたのだ。  まず行われたのが候補生の選別である。  軍の中でも武器の扱いに優れ、勤勉で誠実であること、フィールドワークの知識を持ち、なおかつ忍耐力のある人間が求められた。  訓練は、燃料グループの支援もあり豊富な弾薬補給を背景に標的を用いた実弾演習の強化、対狙撃兵を想定したレーザーポインターによる対人演習の実施、忍耐力などの向上を目的とした精神修養などが行われた。  銃の訓練については、国軍ではどの兵種も問わず、突撃銃の習熟が行われており、これは狙撃兵も例外ではない。国軍全てがライフルマンともいえる。  狙撃に関しては、状況に応じて突撃銃を用いることもあり、突撃銃のアタリ銃を狙撃仕様に改造されたものが支給されることもあった。  さらに国内の戦闘を想定し、スキー訓練も必須となった。これは体力向上も兼ねている。  しかし、いくら歩兵強化のためとはいえ、肉体の機械的改造、遺伝子操作、精神操作など人の形質から外れたりするような強化はこれを否とした。  ただの人間のままでできることをできるだけやることが大事だと信じて。  そのためにはただひたすら訓練を重ねていくしかない。  気が遠くなるほどの反復練習こそが狙撃の最大の秘訣なのだから。  かといって、筋肉で光速を目指すようなことするわけではなかったわけだが、そこまでいけばもうギャグの領域だ。   **狙撃兵の任務  彼ら彼女らに想定されている任務は以下の通りである。  ・狙撃  将校、通信機器を持っている兵隊、偵察隊、狙撃兵などの重要任務を果たしている者や、より脅威度の高い目標の排除。  ・斥候、偵察  敵配置や軍事行動についての偵察とそれを用いての味方部隊との作戦協調と援護(火砲、精密誘導兵器の標定、誘導の実施も含まれる)  ・味方の援護  遠距離からの狙撃による味方要員の安全確保    これ以外に状況に応じて警察と連携しての治安維持任務や対テロ任務にあたることもあった。  また要人警護の際の狙撃警戒などを行い、藩国警察機構の狙撃手育成や合同訓練も行われた。   **バディについて    狙撃兵はその隠密性から単独での任務にあたることもあるが、二名一組、トゥーマンセルのバディ制である。  役割を分担することで負担を軽減し、長期に渡る任務の場合は交代制をとっている。  まず一人が観測手として撃った弾の観測と修正を担当し、射撃の指示を行う。  観測手には上記にて述べたとおり、狙撃位置の割り出しには経験を勘が必要となってくるため、より狙撃経験を積んだものが当てられた。  そして、もう一人が狙撃手として観測手の情報を元に狙撃を実施する。  狙撃手は観測手の指示で行動するため、観測手のことを信頼できなければ任務を実行できない。  よって各バディは深い信頼関係が期待されており、各々気の合う人間をパートナーとしていた。  異性同士か同性同士かはまちまちであったが、基本的には''互いの銃を預けられている相棒''のような関係が良好なバディが主である。   **狙撃について  狙撃の基本は呼吸にある。  人間はじっとして動いていないつもりでも無意識に動いてしまう。  中にはどうやっても制御できないものもあるが、できるものもある。  それが呼吸である。  息を吸い、吐く、それだけで胸が上下し微妙に身体が動く。  普通なら気にならないはずの身体の揺れさえも狙撃においては敵なのだ。  揺れからくるブレはその場ではわずかでも狙撃距離が遠くなればなるほどより大きな誤差を生む。  それを防ぐためにも呼吸の制御は行わなければならない。  といっても複雑な呼吸法があるわけではない。  息を吸い、吐いて、止める。これだけだ。だが、止めすぎてもいけない、それはそれでブレの元だ。  10秒未満のわずかな間だけ止め、その間に撃つ。  これができるだけでも命中率は上がるのだが、いざ実行しようにもこれがなかなか難しい。  そこで必要なのがリラックスすることだ。  リラックスにより身体から余計な力を抜き、適切に力を配分する。  そして、よく狙い、トリガーにかけた指をこれ以上力を入れたら引いてしまう程度に緩ませ、絞り、撃つ。  と言葉にしてしまえば基本はこれだけなのだが、これを戦場で実際にやれといわれてできる人間は早々いない。  上記の事柄に気をつけつつ、さらに天候、狙撃対象の行動、周辺の安全などなどさまざまなことに注意しつつ行わなければならないのだから。  だからこそ、狙撃兵は反復訓練をする。  頭ではなく身体にスキルを叩き込み、考える前に身体が動くようにするために。  狙撃の最大の秘訣は練習である、というのはこのあたりから来ているのだろう。  先に少し触れたが、天候もまた重要な要素である。  弾丸は風があれば流され、気温が高ければ上昇し低ければ下降し、湿度が高ければ湿気で空気抵抗が増しさらに下にズレる。  これらの要素を勘案し狙いを定めなければならない。  このあたりになってくると勘と経験が頼りとなってくるため、やはりどれだけ撃ってきたかが分かれ目だ。  相手との距離把握については使える状況ならレーザーによる位置測定。それが出来ないなら、地図や航空写真を見たり、目的物の外観をレティクル(スコープ内の目盛り)で確認するなどである。  まあ、スコープすら使えない状況なら(突撃銃の使用など)、銃身のサイトだよりになるわけだが・・・・・・。  なお、雪原においてスコープは反射することもあり、それを嫌ってあえて使わないという場合もなくはない。 **これからについて  戦場の舞台は宇宙に移り、ただの人間たる狙撃兵に出番はないが主戦場が移ろうとも、やることがないわけではない。  宇宙への出兵となれば、いくつもの国が手薄となってしまうだろう。そんなときに力を発揮するのは歩兵たちだ。  偵察に特化した歩兵たちは帝國の目となり、戦火を減らす一助となる。  また、歩兵強化はこれで最終段階ではない。突撃銃などの携行装備の改良、偵察技術の更なる向上などさらに上を目指すのだ。  全ては民の安寧と幸せのために。   イラスト:竿崎 裕樹 SS、設定文:よんた 設定協力:音在 誠自

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