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「三節 光を求めて27」(2007/12/11 (火) 22:56:59) の最新版変更点
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城門へ向かって廊下を歩くテラの胸には、後悔だけ。
アンナとギルバートのことを認めなかったこと、激情のままギルバートを殴打したこと、自分を案じるセシルへと怒鳴り返してしまったこと。
賢者の名にとてもふさわしくない、感情のまま行った愚行。それは後悔となって胸の中に沈殿する。
しかし、いまさら引き返すことなどできるはずもない。
いまはただ、最愛の娘を失ったこの哀しみも後悔もすべて復讐の怨念へ変えて、ゴルベーザへと向けることしか考えられなかった。
テラが去った後には、未だ哀しみの色濃い気まずい静寂。
その中、眠るアンナを前にして、涙をこぼし続けるギルバート。からっぽだった彼の心が色づいていく。
―――それは哀しみの色。
―――それは悲しみの色。
―――それは、絶望の色。
家族が、国家が、そして恋人が永久に失われてしまった。
もう、二度と取り戻すことが叶わないのだ。それを、理解してしまった。
アンナの遺体に跪いて、身を縮めて、泣き崩れる。
そしてギルバートは、慟哭に至らぬ嗚咽をもらし続ける。
リディアは、目に涙をためて、うつむいて、それでも泣くことをこらえていた。
迫りあがる哀しみを噛み潰すように、下唇を噛み締めている。
迫りあがる悲しみを握り潰すように、両手を握り締めている。
静寂の中、聞こえるのはギルバートの嗚咽だけ。
聞こえ続ける彼の嗚咽の中で、リディアは体を震わせていた。
そんな彼女へセシルが声をかけようとした瞬間、ギルバートへ向かってリディアの感情が爆発した。
「弱虫!! 弱虫っ!! お兄ちゃんは男でしょう!? 大人でしょう!? なのに……!」
感情のたかぶりのせいで声が詰まる。涙がこぼれる。言いたいことの半分も言えやしない。