五節 忠誠と野心29

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「誰だ……」 もう一度シドは呟く。 「お前さんがシドか……飛空挺をつくったという」 牢を開けてきたのは老人と明かりを一つ手に持った、屈強な体躯の男であった。 「何故、私の名を知っている。それに……」 城の兵士と思うには無理のある人選であった。さらにここは牢の中でも最も厳重に警備がいきわたっている。 「私たちはお前を助けにきたのだ」 「何!」 それはありがたい事だ。シドはいい加減この窮屈な場所から脱出したいと思っていた。 しかし、前の牢と違ってここは身動きを取るのがやっとであり、脱走を試みる事などは到底不可能であった。 「だが、お前さん達はだれなのだ?」 シドはこの二人を知らなかった。それなのにこの二人は自分を知っている、少なくとも、自分の肩書きくらいは どのようなものか分かっているようである。

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