五節 忠誠と野心33

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「すまなかった! と言う資格は私にはあるのだろうか……」 シドは問う。 「もう……その話はいい。あの一撃で充分だ……私とて自分への責任がある。いつまでもこうではいかん」 それっきりテラは黙り込んでしまった。 「あいつに言うとおりなのかもしれんな……」 最後に一言そう言って…… 「では……行きましょうか……今の状態なら上手く城を脱出できるはずです」 この緊迫した状況をい一変させるようにヤンは言う。 「待ってくれ、セシルは何処にいるのだ?」 歩き出そうとした時、シドが言う。 「あいつとはしばらく会ってはいないし。顔を見てみたいのだがな……」 多少の無理強いだと分かっても敢えてシドは提案する。 「王に会いに行きました。我々は先に脱出してくれえと言って」 「大丈夫なのか? この城の中は私も良くは知らないが、既に多くの魔物達が徘徊しているのだが……」 シドもその件は知っていたようであった。そして、セシルの身を案じていた。 「ベイガンという者がついているから大丈夫だと言っていましたが……」 「何!」 その言葉にシドは驚きを隠せなかった。いや、言葉ではなくその中に含まれていた人物の名前に。 「今、なんと言った!」 「はい……一緒に行くから大丈夫だと……」 「いや、違う、その前の! 誰がいるから大丈夫と言ったんじゃ!」 激しく問い返す、シドにヤンはたじろぎながらも返答する。その中で、心の中の消え去りかけていた、 不安が再び押し寄せてきた。

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