五節 忠誠と野心34

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「ベイガンがいるから大丈夫だと……」 自分で言った言葉に自分で驚く事となった。 やはり自分の不安は的中したのだと。もっと強引に引き留めておくべきだったのだ。 「そのベイガンという男だ。儂を此処に閉じこめるように王に提案したのは……軽く承諾した 王も王であるが、奴はバロンの兵士達の中でも、最近の王の考えに同調していたものだ」 「では……」 テラも気づいたのか、声を潜める。 「それも恐怖心から来るものでは無い。本心から今の体制に賛同しているその姿はまるで何かに 心酔しているかのようなのだ……そんな男が王の元に易々案内するとは考えられない。それに……」 「セシル殿は一度、国を追われている。そんな人物なら尚更、ベイガンの行動に違和感が出てくると 言うわけですか……」 最後はヤンが引き継いで言う。そして更に続ける。 「しかも、セシル殿は完全にその男を信頼しきっていました……あれでは」 何か妖しい部分があっても、気づかない可能性がある。そう思った。

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