五節 忠誠と野心44

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「今助けるぜ!」 だんだんと体力を奪われていく最中、後方で声が上がった。 威勢良く答えたのは、当然ながらパロムだ。見てはいられなかったのだろう。 後ろを向ける状況ではないので詳しく確認をとる事はできぬが、どうやら魔法の詠唱に入ったようだ。 すまない…… そう心で感謝しつつ、セシルは一つの疑問に駆られた。 ベイガンは気づいていないのか? あれだけ助けると代々的に宣言したのに、それを聞いていなかったのだろうか? パロムも反撃覚悟での攻撃のはずであろうし。 此方の攻撃に専念するあまりに自我を失いかけているのか。 そんなに都合良くは、第一周到なベイガンに限り…… 散在した思考を打ち砕くかのように、魔法の完成を告げたかのような轟音が鳴る。 完成を見た、ファイアの魔法はその火球状になり指定したもの目がけて飛ぶ。 やはり避けない。 何故か、すぐそこまで迫っているのに。その魔法自体が存在しないかのように、ベイガンは 振る舞っている。 可笑しくなったか! これを機会と思い、咄嗟に後方へと飛びつつ、セシルは思った。 再度、地面へと着地した頃合い、ついに目前へと迫った火球は周囲を赤く染め、ベイガンへと 一直線に――

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