五節 忠誠と野心48

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「テラ様……」 ポロムが心配そうに話してくる。 「何……心配するな。それよりも良く見ておけ。魔法にはあらゆる使い方がある……」 「ですが……」 まだ心配なのか、更に何かを言おうとしたポロムを一つの手が遮った。 「パロム! 怪我は……」 「ああ、大丈夫さ。それより、爺ちゃんには何か……あの魔法の弱点を知っているみたいだぜ……見せてもらおうじゃん」 ポロムは安静にしておけといった忠告をしたかったのだろうが、そんな事はこの弟を縛り付けるには全く持って 効果を示さない。 「楽しみだぜえ……そう思わねえか?」 目を輝かせ、此方を見るパロムに感化された訳ではないが、ポロムも確かにこの状況。魔術師を無力化してしまった 状況でどうやってテラが何をするかが気になっていた。 「そうね」 控えめにポロムは頷いた。 「パロム。少し手伝えるか?」 そう言ってテラが振り返る。 無言で頷く。彼には拒否する理由が無かった。 パロムにはこれからテラが何をするか。その事に興味を完全にひかれていた。ポロムも同感であった。 「では……少し魔法をかけさせてもらう」 詠唱に入るテラ。 平常時ならば、何の呪文をかけるんだ? とか疑問を漏らしそうではあるが、今回に限っては 黙ってテラの行動を待っている。 「よし!」 かけ声がする。呪文が完成したのだろう。 しばらくすると、緑色の円形状の障壁がパロムの前に現れた。 それは最初こそは、光り輝いていたが、少しの時間をいて、すっと消えてしまった。 「これは……リフレク。爺ちゃんも使えたのか!」 「ですが……」 どちらかというよりも、驚きというよりも疑問が二人を支配していた。 リフレクは、かけられた対象者の近づく魔法を関知し、瞬時に障壁を展開する。 そして、先程のパロムのように、詠唱者へと跳ね返ってくる。 なお、跳ね返る相手は、別に詠唱者だけでなく近くにいるものの可能性もある、集団で 戦闘を展開する際には時には仲間さえも傷つけてしまうケースさえもあるのだ。 更に不思議な事に、この障壁は普通の打撃には全く反応しない。その時には、直接視野で確認する事も できないのだ。

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