変わる世界 交錯する言葉17

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「おうい……もうすぐじゃぞ!!」 少し間をおいて、更に割り込む声がもう一つ。 「見ろ、あれがそうらしい」 セシル、ヤン、テラ。三者共に会話を取りやめ、一斉にシドの元へ駆け寄る。 飛空挺の舵を片手に指さす先には人外めいた素材の外壁の円形物が遥か雲の上に伸びていた。 「…………」 高度数十メートル。今現在、飛空挺の飛んでいるこの場所においてさえ、最上階が見渡せないその高さは一同の言葉を失わせるには 充分すぎる程の材料であった。 「バブイルの塔……あれ以外にもこれ程の塔があったとは」 「バブイル?」 「ああ……知らないのか、エブラーナ国のど真ん中。遥か天を貫く程のドでかい塔があるんじゃ。あまりに異型めいたそれは長らく謎の 存在として、時に畏怖の対象、時に新興の対象にされたりしとる。、あれにそっくりだ……わしもあのあたりを一度飛空挺で航空した際 にしかみとらんがな……」 冷静になって考えてみれば、<塔>という形容が一番納得する表現かもしれない。だが、常識めいて雲を突き抜くその存在は塔という には常識外の高さだ、まるでこの星と何かを繋ぐ程の何か―― 「何故今までこんな場所が見つからずにいたのです?」 「そうじゃ…今いるこの場所――」 そう言って、傍らから地図を取り出す。 「今までにも何度か飛空挺が通った事がある場所なんだが……どうもこの一体には霧というのだろうか、何か特別な邪魔があって詳しく 探索されていなかったんじゃ。何度か詳しく調べようとしたものもいたが幾度も失敗しておる……まさかこんなものが隠されていたとはな」 話す矢先、外壁の一部分が光を示す。 「どうやら着艦許可みたいじゃな……あそこにカタパルトでもあるのだろう」 「いくぞ!」 テラが言った。 「何もなければいいのですが」 ………… ヤンがどのようなつもりでその言葉を発したのかはわからない。だが、この状況。何もおこらぬわけはないだろう。 テラ、ヤン、シド――ローザ、カイン、ゴルベーザ――そしてセシル。幾多もの意志の交錯するこの場所に於いて、世界すらも その様相を変えてしまう程ではないのか。

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