変わる世界 交錯する言葉24

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あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。まだ自分は生きていた。 誰にも侵されない、自壊することなど有り得ない、そう信じていたものが打ち砕かれてから… もしかすると、あの時ゴルベーザの一撃をくらいこうやって拘束されることすらも、自分から望んだ のかもしれない。 それぐらい、聖域が壊れた瞬間の自分は取り乱していたのだろう。 捕らわれた後、彼女はすぐさま、今自分がいる所まで連れてこられた。 最低限の明かりだけの、闇に包まれたかのような無機質な部屋。ここに彼女はずっと閉じ込められている。 自分を此処まで連れてきた張本人――ゴルベーザ達が自分を何に使おうとしているのかは最初分らなかった。 ましてや、自分の信ずる聖域側の人物…であったカインの真意など知りようがなかったのだ…そう最初のうちは… 始めはあまりの衝撃の為、自棄になっており茫然と時間が過ぎていくのを待つのみであった。 助けを求めるような気持ちは微塵も無かった。セシルの事すらも頭に入っていなかったのかもしれない。 普通の人間なら、日に日に衰弱していくであろう。だが、彼女にとっては幸か不幸なのか、このような環境に 身を置かれるのは初めての事ではなかった。 そう……セシルとカインがバロンを発った数日後の事――ミスト壊滅の報、二人の失踪の報、そしてセシルの 謀反の報――様々な事態が同時に彼女に訪れた。それに伴い残された彼女にも沢山の疑いや詮索が向けれた。 結果、自棄を起こして暴論を述べた彼女は、王――今思えば偽物であったのだろう――の逆鱗に触れることになり、 今と同じような監禁状態を迎える事となったのだ。もしシドの助けがなければどうなっていたであろうか。 自棄っぱちのままであっただろう。 そんな経験を思い出し、幸薄い自分の運命を苦笑しつつも、あまり嬉しくない過去の経験を噛みしめながら、 彼女は段々と冷静さを取り戻していったのだ。 ……あの時に比べれば、状況は幾分かましだ。 自分は強い女だ。いくら奈落の底に突き落とされようがただでは落ちない。それどころかいつか何度でも、どれだけ 時間をかけようが再び、崖から登りあがる。 自分は強い女だ……彼女にはそういった自身があった。

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