変わる世界 交錯する言葉29

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「テラ殿、助かりましたよ。あなたの提案がなければ今頃我々は……」 「本当だな。今回ばかりは感謝せねば」 繰り出される感謝の言葉。だが、それは老魔道士に聞こえる事はあったが胸に響く事はなかった。 「そうか……」 小さくそれだけ言ったテラはまたしても、ゆっくりと歩きだす。 「おいおい! そっけないぞ!」 あまり無関心なテラの腕をシドが引き止める 「――――」 瞬間、彼は言葉を失った。テラの腕は酷く痩せこけていた。それだけではなく皮膚もまるで枯れ木のような 色になっており、常に震えていた。 「離せ……」 これはどうしたのだ? いつものシドならそう聞けただろうか? おそらく出来たであろう。 だが、今の鬼気迫るテラを見てシドは無言を貫き通すしかなかった。 「どうしましたか……」 ただならぬ気配を感じたのか、ヤンも謙遜とした口調で訪ねてくる。 「奴はテラは……死ぬつもりなのかもしれん」 「なんですって……」 すぐに追いかけるべきだろう。 だが、二人はしばらくの間、どんどん小さくなっていく老人の後ろ姿をただ黙って見守り続けるしかなかった

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