変わる世界 交錯する言葉30

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「それで……ローザは?」 「ああ……言う通りにしといたよ。でもいいのか……ゴルベーザ様?」 ゴルベーザ――現在の自分にとって従うべき対象である者の前でも、彼女の言動はいつもとは 変わらぬぶっきらぼうな口調を貫き通している。最も様付けする事は欠かさないのだが。 「どうした?」 「いや……ゴルベーザ様? あのままローザを始末するんですか?」 「承知の上なのだろう? お前もカインも?」 「…………」 ゴルベーザの命令は彼女にとっては絶対である。勿論彼女もそれに反抗するつもりはないし、不満も 持った事などない。今までもこれからも…… 「あの女の安否など私にとってはどうでもよいクリスタルさえ手に入ればな……そっちの方はどうだ?」 「……ああ、私の方から手下を差し向けたよ。優秀だから首尾よくやってくれるさ」 メーガス三姉妹。風の四天王である自分の片腕。このような状況では最も信頼を置くと言っても過言でない。 その絶対的な信頼により、バルバリシアが彼女達を心配する気持ちは殆ど無かった…… 彼女の思考の殆どは未だかつてない程に一つの考えによって縛られている。 カインとそれを取り巻く者達、セシルとローザ。その片鱗であるローザとのコンタクトをバルバリシアは 以外な形で手に入れることとなった。 否、正確には予想していた事。それが想像通り訪れただけなのだが…… <ローザを始末する> ある時突然ゴルベーザがそんな事を言い出した。 「ローザ? あのカイン達と一緒にやってきた女の事ですか?」 「詳しいな」 カインに興味を示すうちに辿り着いたその名は想像通り監禁されていた女性であった。 「初めから始末するつもりだったのかい?」 「そんな事はどうでもよい。クリスタルが手に入ればな。それに私に歯向う者は早めに始末した方がいい」 「クリスタル交換するってのは嘘だったのか?」 「過程などはどうでも良いのだよ!」 つい最近自分も同じような事を言ったような気がする。彼女はその問いに返答しなかった。 前提として彼女はゴルベーザには逆らうつもりは毛頭無い、彼が何を考えているのかも興味は無い。 そして何より、彼女――ローザに近づく願っても無い機会だったからだ。

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