三節 光を求めて33

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突然姿を暗ました敵に訝り、アントリオンが滅茶苦茶に腕を振りまわす。 が、砂以外の何にも触れない。獲物を完全に見失ってしまっている。 実は、3人はアントリオンのすぐ近く、足下の辺りに隠れていた。 攻撃を受けようというその瞬間に、ギルバートがセシルとリディアを脇に懐に飛びこんだのだ。 これが意外な盲点でまさに灯台下暗し、それまで前方にばかり注意を払っていた巨獣は彼らを見つけられずにいる。 「驚いたな…咄嗟にここまで上手い隠れ場所を見つけるなんて」 「僕、逃げたり隠れたりするのは昔から得意でね」 声を殺していうセシルに、ギルバートは自嘲気味に笑う。 「それより、ここ熱い…」 リディアが、体の砂を払いながら呟く。 確かに、彼らは砂漠の日ざしによって焼石のように熱された砂に、半ば埋もれるようにしている。 仮にこのままアントリオンをやり過ごせても、 それまでには3人とも残らず干物か天然バーベキューか、さもなければ踏み潰されてミンチ肉が関の山だ。 「どうする?ここにいたらいずれ見つかってしまうし、  そもそも見つかるまでもなくこの熱さにやられてしまうかも…」 「それなら大丈夫だ。僕に任せて」 ギルバートはそう言うと背負っていた竪琴を取り出した。 「楽器なんかで何するの?」 「暫くの間注意を引きつけるのさ、リディア」 訝しげに竪琴を見つめるリディアにそう答えながら、吟遊詩人は狭い中で器用に演奏できる体勢になる。 「それともう一つ教えておくと、これはただの楽器じゃない。  …モンスター用に作られた、一風変わった武器でもあるのさ」 そう言って彼は竪琴を奏で始め、辺りに美しい調べの音が響いた。

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