穿つ流星7

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砂埃と煙が視界を支配する。 「カイン」 おそらく近くにいるであろう友の名をセシルは読んだ。 予想通り、セシルが目を覚ましたすぐ近くにカインは横たわっていた。 「気絶しているだけか……」 それを確認してほっと一息つき、今度は周りを見回した。 「一体どの辺りなのだろう?」 一人ごちた。あれだけの爆風が訪れたのだ。遠くまで飛ばされていてもおかしくない。 それにしても……? なんだったのだろう今のは? 周囲の確認をしていく内に、それの原因が疑問に浮かび上がってきた。 「まさか……テラが」 可能性は高いのではないか。ポロムやパロムも禁忌と言っていた魔法。 これほどまでの威力なのだ、並はずれた事態でない事は間違いないであろう。 「ここで待っていてくれ――なんて事はできないか……」 いまだ気絶したまま、目を覚まさないカインの肩を抱え歩きだした。 テラの身に何かが起こっていることは確かだ。今まで行動を共にした仲間だ。それくらいのことは分かる。 しかし、カインを放っておく訳にはいかなかった。セシルにとっては生涯愛すべき友なのだ。 此処に来たのも、カインとローザのためであるのだ。 それにセシルには負い目があった。あの日――ミストでの事件の時も今と似たような状況であった。 騙されていたとはいえ、自分達がミストを滅ぼした。そしてリディアにも深い傷を負わせた。それが原因で カインと離れることになった。 あの時は直ぐそばに倒れていたリディアが気がかりで書置きだけ残してオアシスの村カイポへと向かってしまった。 もっと自分がくまなくカインを探していたら? 炎の燃えさかるミストの町を、大地の魔人タイタンが包むこむ寸前にセシルとカインは誓いをたてた。 一緒にバロンに反旗を返す。その為、まずはローザを助ける。 結果的に見れば反故にされてしまった約束ではあるが、あの時のカインの気持ち全てが偽りだとは思えなかった。 すぐにでもカインを探して合流していれば……このような回り道をする必要もなかったのではないか。 勿論、リディアを身を案じてオアシスへと向かった判断は間違っていなかったとは今でも思っている。 所詮はたられば、仮定の話に過ぎないのだ。 だが、今のセシルにカインを一人残して行くとなど到底できるものではなかった。

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