穿つ流星13

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「わしはお前の考えなど認めぬぞ! 認めぬぞ!」 しばらくしてシドが口を開いた。 テラの最期の言葉を認めれぬのか、何度もそう言い続けた。 「誰も干渉できぬだとふざけるな! 今まで、これまでの道程は一体なんだったのだ!」 セシルもヤンも怒れる技師を窘めることはしなかった。 彼が腑に落ちなかったテラの言葉対して、二人はただ受け止めただけで、否定も肯定もするような域にまでは達していなかった。 そんな気持ちではシドの怒りを収める事など到底できやしない。自分達が何をいっても今のシドを納得させる事は出来ないだろう。 セシルとヤン、二人の共通の見解であった。 「正直情けないです……」 ヤンが口を開く。 「仮にも一国の軍団を収めていた立場の私が……半生以上生きてきた私が何も言えないなんて」 「そう自分を責めないでくれヤン」 「ですが……」 「どんな立場の人間だって、何年生きたって関係無い。誰だって分からない事や、理解できない事はあるよ。それに対して 自分を責めたら意味がないよ。大事なのは認識する事。その言葉が良いのか悪いのか、優れているのか劣っているのかとか そんな意味じゃなくて。 「それはパラディンだからこそ言える言葉ですか?」 「いや……若いからこそいえる言葉だろうね。だからヤンにとっては煩わしいだけに思うかもしれないけど」 「いえとんでもありません。良い言葉です。いい刺激になりました」 ヤンが微笑して返答した。 「そうか」 「それで、セシル殿。カインとやらは?」 ヤンがどう思ったのかは分からないが、彼は話題と視線をセシルの背中にいる人物へと注いだ。 「カインか……」 「命に別状はないようだよ、じきに目を覚ますと思うよ――」 そう言ってセシルはカインを床に寝かせ、いまだ深い眠りの中にいる彼へと視線を注がせた。 目が覚めた時、自分はどうすればいいのだろう? ……そんな事は愚問であろう。 カインが何を考えているのかは完全にはわからない。でも今は向き合わなければならない。 ローザを含めた三人――どこかで捻じれてしまった関係を目を背けることなくはっきりさせる それが三人が今までと同じでいられなくなったとしても。 その為には自分から一歩でも先に進まなければならないのだ。 「カイン」 始めの第一歩を踏み出すため、セシルは友の名をはっきりと呼んだ。

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