穿つ流星15

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「セシル!」 カインは、はっと起き上り口を開いた。 「目が覚めたのかカイン?」 「ああ……見ての通り体はなんともない。元気だ……」 「良かった」 純粋に嬉しさを言葉に出すセシルに対し、カインの様子には陰りがある。 「俺は確かに操られていた。その時の事は殆ど全部と言ってもいいくらいに覚えている。意識はあったのだ。 自分がとんでもない事をしていることも――自覚してたつもりだ」 悔しさがカインを支配していた。結局自分のやってきた事は誰かに利用されていただけ。どんなに意思をかがけようとも どんなに目的だと主張しようが、駒の一つに過ぎなかった。荒風が吹けばあっという間に崩れてしまう、その程度の脆い繋がり。 「だが、それも終わりだ。俺は奴、ゴルベーザにすら見放された。もはや何処にもいくところなどない」 「操られていたんだろう……僕は責めたりなんかしない」 「ゴルベーザに従い色々と取り返しの付かない事をしてしまったのを恨んでいる奴もいる……」 容易い友人の情けだけで許してもらうつもりはカインには微塵もなかった。 そう言ってセシルの後方にいるヤンを見やる。 「ファブールでの犠牲者は数知れなかっただろう……」 「それで懺悔のつもりですか」 穏やかな口調の中にも、厳しさを混ぜたヤンの言葉。 「許してはくれないか……」 予想通りの反応だ。 「当然です。だから確かめたいのです」 「……どういう事だ?」 今度は予想外の反応であった。カインも疑問を返す。 「カイン、殿……あなたを許すことは出来ない。たとえセシル殿の友人であってもだ。 だから試したいのです。あなたが信頼に値する人物なのかを」 「ならばここで俺を手にはかけないということか」 「私はそれで納得するつもりです」 「そうか。すまない……」 続いてカインはシドの方を見やる。 「わしは、お前が操られていたことに対しては驚きしか感じておらんかった。 こうやって今正気に戻れた。いくらでもやり直しが利くはずだ。それに対して 何もいう気はおこらん」 テラへの不満を精一杯吐き出した老技師の目は少しばかり腫れていた。 「重い話はあやつのだけで満腹だ」 あやつとはテラの事だ。

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