穿つ流星26

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瞬時に、幾多もの箇所から風が吹き荒れる―― 風はやがて一つの場所へと集う……バルバリシアを中心とした一点へと集まったそれはやがて刃と思えるほどの鋭さを備え、 彼女の身を守るかの如くセシル達の前へと立ちふさがる。 それは諸刃のような鋭さの武器としての役目を果たしているように見え、強靭な鎧として彼女の身を守る鉄壁の壁の役割 の両方を果たしているように見えた。 「まずいな……」 「どうしたカイン……?」 言いながらセシルは少し照れくさい気持ちになった。 本来なら――長い付き合いのある戦友に対して相槌を打つ事などは日常茶飯事の事であるはずだった…… しかし、長い対立の末に久し振りといえる<戦友>と呼べる相手に<戦友>として相応しい会話をするのだ。 まだ違和感が抜けない。 ひょっとしたら、平静を装っているように見えていきなり背後から裏切るのではないのかと不謹慎な考えすら、ふっと 頭の中をよぎる。 「奴があのように風を張っている限り地上戦は不利だ」 そんなセシルの考えは当然ながら杞憂に終わった。 「視界を遮られてまともに攻撃を通す事すら困難であろう。それに……攻撃も兼ねた風の刃でいずれはこちらが浪費してしまうだろう」 「だったら当然……」 長々と続く友の講釈が次第にセシルのペースを取り戻させる。 「竜騎士のお家芸の出番って事だ……」 脚力を生かし、遥か高みから強襲を駆ける―― 「ならば僕が相手の攻撃を引きつける」 「頼むぞ」 このやりとり……セシルにバロンからの旅を思い出させた。 「ローザは後方に控えておいてくれ」 「ええ……」 やや力無く答える。 まだ躊躇っているのだろう、バルバリシアと戦う事に…… 無理強いさせるのは良くない。そう判断したセシルは彼女に支援するように促すと元の方向へと振り返った。 <カインが頑張ってくれるはず……> 長年の付き合いから生まれた信頼感とでもいうべき確信が、セシルの敵陣のただ中へと突っ込ませる覚悟になった。

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