終わりの始まり3

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「来おったかーセシル!」 バロンが誇った最強の飛空挺部隊<赤い翼>を格納するための広きカタパルトにシドの銅鑼声が響き渡った。 「メイドの穣ちゃんから聞いたぞ。良かったな」 「シド……僕は一体? あれからどうなったっていうんだ?」 あれからとはゾット以降という意味である。 「どこから話していいものか……」 セシルの疑問を把握すると、シドは急に難しい顔になった。 「まあ、儂一人の口からでは全てを話すことは難しいのだが……あの時――儂とヤンは先に飛空挺に言きお前達が来るのを待った。 この事はお前も覚えているであろう?」 セシルは黙って頷いた。本心ではもっと色々と質問したい事があったのだが、少しでも事情を知っているであろうシドの話を全て聞いて からでも遅くはないと判断した。 「だが……お前とカイン、そしてローザの三人はいくら時間が経っても戻ってはこなかった。やがてゾットの塔の崩壊が儂らのいる場所に まで届いてきた。このままでは儂らも危ない……ギリギリまで待ったが、そう判断して先に飛空挺で脱出する事になった……すまない!」 待つ者の思考がどうであれ、結果的にセシルを見捨ててしまった事に変わりはない。シドはその事を詫びてるのであろう。 「別に構わないよシド。そのまま一緒に崩壊に巻き込まれてしまった方が僕としても不本意だよ。それより……」 シドの謝罪を込めた告白はセシルの疑問に対する完全なる答えにはなってはいなかった。それどころかまた一つ新たな疑問が増えるだけであった。 「その、僕たちを置いて先に行ってしまったって事は当然ながら、僕はそのままゾットに残されてしまった事になる。だとしたら何故僕は 此処にいるんだ……?」 セシルの疑問は先程からシドが気にしている事を再び蒸し返すものである。一応慎重に言葉を選び質問にしてみたつもりなのだが大丈夫であろうか。

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