終わりの始まり4

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「そこが不思議なところなのだよ!」 だがシドは特に気にとめた様子もなかった。それどころかセシルの問いに待ってましたとばかりに口を開く。 「失意のまま儂とヤンはバロンへと帰る事となった……お前達三人はあのまゾットの爆発に巻き込まれたと思っていた。そう思うととても 悲しかったわ。あの老いぼれ――テラが死んだ時は悔しさで胸が一杯だったのだが、今回は純粋な悲しさが心を支配していた」 「…………」 シドがローザをカインを……そしてセシルをどれ程大事に思っているかを理解するには充分すぎる程の言葉であった。ゾットで待つ時も 崩壊寸前までセシル達を待っていてくれたのであろう。セシル達を残して先に飛び立つ時には相当辛い気持ちであっただろう。 ヤンがいなかったとしたら、そのまま爆発するゾットに身を委ねていたであろう。 「しかしだ、信じられない事にバロン城へと着艦した儂とヤンを迎えたのはカインであったのだ……」 「つまり僕たち三人はシドとヤンよりも先にバロンに到着していたって事か」 シドの説明はまだ不十分であったが、おぼろげながらに存在した記憶が補ってくれた。 「ゾットが崩れ落ちる時にローザが脱出魔法を唱えていた。僕とカインは慌ててその手を掴んだ」 今度はセシルが説明する側に回る。 「ここからはおそらく推測であるんだけど……脱出する際にローザが指定した場所がバロンなんだろう。下手にゾットに近い場所に転移すると 危ないからだろうね。だから僕たちは一瞬でバロンまで転移した」 ならば何故バロンなのか。別にゾットから遠ければ何処でもいいのではないか? そういった質問は野暮であろう。 ローザにとって最も楽しい思い出はこのバロン城に存在していた。例え、今が辛くても、未来が閉ざされたとしても、過去の想いだけは いつまでも変わることなく残り続ける。 「そうであったか」 シドは特に異論も無く納得したように頷き、続ける。 「しかしそれでお前達が無事なのは良かったのだが、また一つ問題があったのだ。セシル――お前さんだけが眠りから覚めなかったのだ」 再び語り手がセシルからシドへと移る。 「僕が?」 「ああ、儂もローザも少し心配したぞ」 「そうか……」

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