絆2

「絆2」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

絆2」(2011/03/08 (火) 19:41:28) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

再び侵入したバブイルの塔は恐ろしいほど守りが手薄であった。 地上から侵入したのだ。地底と地上の両方にそびえるこの塔において、侵入した現在場所はおそらく上層部分なのであろう。 おそらくは地底での騒動で守りを下の層へ強めたのだろう。たいした――否、まったくといっていいほどの交戦をせずに 順当にバブイルの道中は進んでいた。 敵もまさかこんなところから侵入してくるとは思っていなかったのだろう。 更に驚いたのはエッジである。エッジの忍者としての腕前は王子であること、各地の放浪で腕をあげていたこともあるだろうが かなりのものであった。 決して口だけではないその力で塔内部の罠や障害物をくぐりぬけた事もあった。 全てが順調にいっているようにさえ思えた。 「これならクリスタルも早く奪還できるかもね」 そんな安心と確信に満ちた台詞がリディアから零れた。 「もちろんルビカンテもだぜ」 エッジが呼応した。 リディアとしてはクリスタルさえ奪還できればよかった。 そうすればもう誰も傷つかない。誰も悲しまない。冷静に考えればあまりに安易な考えであったが、その時はそう思っていた。 塔の最上層部まであと少し、そう確信した時であっただろうか。 向こうから歩いてくる人影が二つ。 「来たか」 身を構えるカイン。 だが、それが近づいてくるにつれて無駄な行為だと悟る。 近づいてきた影は人であった。ガードロボットでもなく、なんらかの武装をした戦闘兵でもない。 ただ年老いた老夫婦がゆっくりゆっくりとこちらへと距離を詰めてくる。 これが平和な町ならば平常な光景であったであろう。トロイアのような美しい町ならば観光に来た者として 会話も弾むであろう。 しかし今この場所は敵の本拠地。それも真っただ中だ。どう考えたって正常な風景ではない。 「何者だ?」 これがただの敵ならば楽なのにといった様子でカインがつぶやく。 一見して理解に苦しむそれに対して対応に困っているようだ。 「……やじ……ふくろ……?」 輪郭だけでなく、人影の顔がわかってくると真っ先にエッジが口を開く。 「どういうこと!?」 おかしいことはここにいる五人ともが理解していた。 エッジの両親はエブラーナ陥落の際に命を落としている。これはエッジ以外からの口から聞いているので確かなはずだ。 そして万が一生きていたとしても、このような場所に仲良く表れるのはまともな光景ではない。 「エッジ……」 疑問に答えるかのように近づいてきた人影が親しい人物の名を呼ぶ。 「やっぱり、親父とお袋なんだな!} エッジが喜びの声を上げる。 「生きてたんだな」 疑問よりも嬉しさが勝ったのかエッジはなんの疑問もないかのように二人に駆け寄る。 親しい人が生きていたという喜びは単純な疑惑も打ち消してしまうのか? もし自分の母親が生きていて目の前に現れると、自分も無意識に喜ぶのだろうか? 「良かった……お前も無事だったのね……」 「お袋もっ! 良かった良かった!!」 涙声で年老いた女性の肩を抱くエッジ。 「エッジ……お前もいらっしゃい……」 「私たちと一緒に……」 不気味に微笑む老夫婦。だがそれでもエッジは疑いの目を向けることはない。 -[[絆4]]
再び侵入したバブイルの塔は恐ろしいほど守りが手薄であった。 地上から侵入したのだ。地底と地上の両方にそびえるこの塔において、侵入した現在場所はおそらく上層部分なのであろう。 おそらくは地底での騒動で守りを下の層へ強めたのだろう。たいした――否、まったくといっていいほどの交戦をせずに 順当にバブイルの道中は進んでいた。 敵もまさかこんなところから侵入してくるとは思っていなかったのだろう。 更に驚いたのはエッジである。エッジの忍者としての腕前は王子であること、各地の放浪で腕をあげていたこともあるだろうが かなりのものであった。 決して口だけではないその力で塔内部の罠や障害物をくぐりぬけた事もあった。 全てが順調にいっているようにさえ思えた。 「これならクリスタルも早く奪還できるかもね」 そんな安心と確信に満ちた台詞がリディアから零れた。 「もちろんルビカンテもだぜ」 エッジが呼応した。 リディアとしてはクリスタルさえ奪還できればよかった。 そうすればもう誰も傷つかない。誰も悲しまない。冷静に考えればあまりに安易な考えであったが、その時はそう思っていた。 塔の最上層部まであと少し、そう確信した時であっただろうか。 向こうから歩いてくる人影が二つ。 「来たか」 身を構えるカイン。 だが、それが近づいてくるにつれて無駄な行為だと悟る。 近づいてきた影は人であった。ガードロボットでもなく、なんらかの武装をした戦闘兵でもない。 ただ年老いた老夫婦がゆっくりゆっくりとこちらへと距離を詰めてくる。 これが平和な町ならば平常な光景であったであろう。トロイアのような美しい町ならば観光に来た者として 会話も弾むであろう。 しかし今この場所は敵の本拠地。それも真っただ中だ。どう考えたって正常な風景ではない。 「何者だ?」 これがただの敵ならば楽なのにといった様子でカインがつぶやく。 一見して理解に苦しむそれに対して対応に困っているようだ。 「……やじ……ふくろ……?」 輪郭だけでなく、人影の顔がわかってくると真っ先にエッジが口を開く。 「どういうこと!?」 おかしいことはここにいる五人ともが理解していた。 エッジの両親はエブラーナ陥落の際に命を落としている。これはエッジ以外からの口から聞いているので確かなはずだ。 そして万が一生きていたとしても、このような場所に仲良く表れるのはまともな光景ではない。 「エッジ……」 疑問に答えるかのように近づいてきた人影が親しい人物の名を呼ぶ。 「やっぱり、親父とお袋なんだな!} エッジが喜びの声を上げる。 「生きてたんだな」 疑問よりも嬉しさが勝ったのかエッジはなんの疑問もないかのように二人に駆け寄る。 親しい人が生きていたという喜びは単純な疑惑も打ち消してしまうのか? もし自分の母親が生きていて目の前に現れると、自分も無意識に喜ぶのだろうか? 「良かった……お前も無事だったのね……」 「お袋もっ! 良かった良かった!!」 涙声で年老いた女性の肩を抱くエッジ。 「エッジ……お前もいらっしゃい……」 「私たちと一緒に……」 不気味に微笑む老夫婦。だがそれでもエッジは疑いの目を向けることはない。 -[[絆3]]

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。