絆13

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「機は熟した」 誰にも聞こえない声で一言。 しかし、それと同じ想いの者がこの場には一人…… (カイン) 今この場所でたった一人大空を主戦場とする天架ける騎士が動きだした―― ルビカンテは力だけでなく、知略や戦術にもたけていた。決して戦場の全てを把握せずに戦うなど無策な事はしない。 むしろ常に怖いくらいの冷静を兼ね揃えているといっていい。 だから冷静さゆえにエッジのような性格の相手を甘く見てしまうのだろう。加えて相手は一度勝利した人間だ。 完璧な勝利が揺るがない。そう思っているからこそ無駄に戦いを長引かせる、戦いを楽しんでしまったのだ。 それは一人の相手に夢中になる――つまりは全体を見渡せなくなっていたということだ。 「!」 ルビカンテはすぐにでも上空からの刺客に気づいたが、すでに回避しきれる間合いではなかった。 防御するが、眼前には絶えることのないエッジの猛攻が続いていた。 「ぐっ――」 回避する際でも微動だに姿勢を崩すことがなかった炎の魔人ががくりと腰を曲げる。 「今だ!」 セシルの声が終わらぬうちに一斉に攻撃が開始される。 リディアもローザもセシルの意図を感じ取ったようだ。 ルビカンテも冷静さを失わずに防御するが、直撃を避ける事は出来ない。 (が……ぐっ) 常に平静さ装っていたその声色に呻きが混じる。 (これで決める!) セシルも剣を抜き跳躍。ルビカンテへ距離を詰める。 既に機敏な回避ではなく、少しでも損害を減らそうと防御を主体とするルビカンテ。だが数で勝るこちらの攻撃を全て凌ぎきるのは 不可能である。戦法を切り替えた時点で勝負は決していた。 「セシル――」 誰もがルビカンテの敗北を、セシル達の勝利を確信した瞬間にエッジが一言。 「分かった」 とどめは自分で刺したいのだろう。拒否する事はない。 己の感情のまま戦ったエッジもこの戦いにおける功労者なのだ。 -[[絆14]]

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