ff6 - 01 narche

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眼を開けると、枯れたような皮膚をした男が私をうかがっていた。  天井はほの暗い。それで夜だと分かる。 「ここ…」  男の深い皺を更に濃く映す、ささやかな灯り。 「…ほう…、あやつりの輪が取れたばかりで、もう…」  感心する男の声に、不意に不安を感じ、体を起こす。目も覚めるような紅い服が視界に入る。肩口には緑色の髪。 「…私…、」  思考に触手というものがあれば、今の自分の思考は考えうる四方八方へと、その指を伸ばしていただろう。  何も分からない。  分からない、何も知らない。  必死に記憶をたどるが、手がかりがない。  頭が痛い。  どうして。 「思い出せないだろう」  動悸が早くなり、手で胸元を押さえる私に男が幽かに笑みを漏らす。 「それが操りの輪の力だ。つけている時は、思考できず、記憶できず、言われるままになる。人形になるということだ…」 「何も、思い出せないのも…」 「それも輪の力だ。時間が経てば思い出すだろう。何人か、そういう人間は見たことがあるよ」  思い出すのだろうか。 「私はジュンと言う。」  ジュンは穏やかに言った。

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