絆18

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セシル達と無事合流したカインとエッジはその目的通り格納庫へと向かっていた。 「これは」 たどり着いたその場所は機械塔の内部にしてはわずかながらの明りに照らされるだけの 場所であり、薄暗いその場所に慣れるには多少の時間を有した。 「敵の飛空艇かっ!」 飛び込んできた光景に最初に口を開いたのはセシルだ。 「それも見たこともない形……おそらくは新型だろうね」 シドに教えられたのか、はたまた元飛空艇隊の隊長であったからか、冷静に分析した結果を口にする。 「どうやら、俺の読みは当たっていたようだな」 「それじゃ早速こいつを使って脱出だな!」 カインとエッジも勝ち誇ったような口調で続ける。 「でも敵の飛空艇なんだよ!」 強気な態度の男性陣に待ったとばかりに口を挟むのはリディア 「都合が良すぎると思わない?」 「そうよ罠じゃないかしら……」 ローザもリディアの考えに同意する。 「ねえ……セシル。あなたは――」 それまで冷静な分析だけを口調にしていたセシルに対し、意見を求めようとするローザ。 だがそこに割り込む言葉が一つ。 「罠だろうと構うものかよ!」 「でも……」 いつになく強気な忍者にローザは小さな声で抗議する。 「いいんだよ! 俺達が使った方がこいつの為だろ!」 「それは……」 確かに飛空艇を戦いの道具として使うのは本来の開発者であるシドの本意ではなかった事だ それに反論の余地はない。 しかし、今この場においての状況判断としては正しいのだろうか? 「心配いらねえって! もしもの時は俺が何とかするさ!」 不安の表情を消さないローザに対しエッジは半ば強引とまでいえる励ましの言葉をかける。 「そうだろ! セシル、カイン……」 ローザとの関係の深い、二人に話を振る。 「確かに迷っている時間はない、こうしている間にも敵の追撃は迫っている。急いで脱出した方が安全だ!」 それは先ほどのローザからの意見に対する答えでもあるのだろう。 「俺は元から賛成だ。それに万一の時は全力で対処するさ」 カインの静かな解答が終わるとすぐさまエッジは呼応する。 「よっしゃ決まりだな! じゃあこいつに名をつけるか!! そうだなファルコンってのはどうだ!?」 それはエブラーナ地方に生息する鳥の名前であった。子供のころから憧れていた。 反論する声も上がらない。名前に対する異議はないようだ。 「ファルコン発信!」 飛空艇が舞い上がり眼前へと迫る地底の空へと躍動する。どうやら追手も迫らないところを見ると 罠ではなかったようだ。 「まったく調子がいいの」 舵を握るエッジの側にリディアが立っていた。安全だと分かったからだろう。 「でも良かった……こうして無事に脱出できて」 その言葉が妙に大人びて見えたのははエッジの思い込みであろうか。 カインから彼女の事情は聞いていた。外見はローザと変わらぬ歳に見える彼女がまだ少女と変わらぬ精神であることも おぼろげながら聞いていた。 彼女に秘められた事情を知った自分の思い込みなのだろうか――ふとそんなことを考えると前までは当たり前のように 出ていた軽口が声に出る前に止まっていた。 「ちょっと……! どうしたの?」 いつもと違う反応に対して、少し驚いた表情のリディア。 「いや、なんでもねえよ……それよりこれから何処に行けばいいんだ」 「あっ! エッジはこっちにくるのは初めてだったね」 こっちとは地底の事だろう。そういえばその存在知っていたが来たのは初めてであった。 「ここから南にいったところにあるドワーフさん達のお城に向かって」 「分かったぜ」 舵をとり南へと進行方向を向ける。 (今はよしておくか) リディアに対してより詳しい事情を聞きたいなら本人に聞けばいい。カインもそう言っていたし、自分も それが一番手っ取り早いと思っていた。 しかし、彼女の大人びて淋しそうな顔を見るとそんな考えは引っ込んでしまった。 (でも俺は決めた。こいつらと一緒に戦う。爺や……それまではエブラーナを) 絆とでもいうのだろうか、初めて感じていたのだエッジはセシル達に。 それはこれから続く戦いの覚悟をエッジに強めさせていた。 -[[月へ1]]

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