明かされる想い 目覚める力1

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月までの航海は穏やかなものであった。 海での旅と違って日は見えなかった為、どれだけの日数が経過しているか は正確には把握できなかったが。 しかし、そこから先は一転して激しい道中となった。 月世界の様相はセシル達のいた青き星とは全くの別物であった。 踏みしめる大地はどこまでも荒れ地が続き、草木一本すらない。おまけに地面の所々には クレーターと呼ぶべき窪みが散見し、歩行を妨げた。 空に日は昇らず、朝と夜の変化もない。 そんな今までとは違う困難な状況に更なる追い打ちをかけたのが、月の世界に生息する 魔物達の襲来であった。 セシル達のいた星に比べても、月の厳しい環境を生きるその物達は地上や地底の魔物達に 比べても桁違いの生命力と力を持っていた。 加えて知能も卓越しており、セシル達を外部からの侵入者だと判断するやいなや、群れをなして 襲いかかってきたのだ。 月の魔物達の思惑が見知らぬ物達の威嚇や迎撃行動なのか、または魔物の本能が形振り構わずに敵を 認識して襲いかかってきているのかは判別できない。 だが、真っ向からぶつかって戦うにはいささか分が悪いものであった ゆっくりと月を探索している暇はないな… ただでさえ馴れない月の大地を歩くのは体力を消耗する。 セシル達は目的地を定めて早々に目的地へと向かうことにしたのだ。 何処へ行くべきなのか? 幸いにしてその問題に関して言えば、さほど悩むことなく結論を出すことが出来た。 白銀とも呼べる白さが続く月世界の中で唯一目に付く場所が一つ。 透き通るほどの薄い結晶で造られた巨大な塔。月の大地よりも更に輝かしい透明なその建物はこの世界のどこからでも見渡せるほどの 輝きと大きさであった。 セシル達の乗ってきた魔導船が着陸した場所からさほど距離が離れていないのも幸運であった。 だが、早々に出た答えとは裏腹にその場所までの道は楽とはいえなかった。 塔への道のりは平坦な大地だけで構成されてはいなかった。道中にはセシル達の星でいう山岳や洞窟といった場所が散在しており 思った以上の時間と消耗がかかった。 -[[明かされる想い 目覚める力2]]

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