明かされる想い 目覚める力2

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どれくらいの時間がかかっただろうか。 おそらくはそれほどの時間がかかっていないはずのなのであるが、セシルの体感では途方もない時間がかかったようであった。 「ねえセシル……」 輝く塔――まるで巨大なクリスタルのような建物を前にしてリディアが心配の声を一つ。 「中に一体何があるのかな? それに大丈夫かな?」 不安をそのまま口に出したような抽象的な問い。そこに文句を言うのは難しいだろう。 見るとローザも同じような心配の顔をしていた。 普段は常に強気なエッジも未知の大地の未知な建物に静観を決め込んでいた。 ましてや先ほどのリディアの心配を否定しきるのは並大抵の度胸では出来ないであろう。 「大丈夫だ」 しかし、セシルはそれだけ一言言って塔の内部へと歩き出そうとした。 「僕についてくるだけでいい。だから大丈夫だ……リディア」 ゆっくりと歩を進めながら少しだけ仲間達を振り返る。 「ローザもエッジも一緒に」 皆驚きはしたが拒否はしなかった。否が応にも従わせる力が今のセシルにはあった。 (ここには何か重要な事が眠っている。それも自分にとって……) 月へ近づくにつれてセシルの中に何か予兆めいた確信が動き出していた。 (僕にとって重大な何かがこの先待ち受けている) 何故急にこんな気持ちが? 否、前々から似たような気持ちが自分を駆け抜けた事があった。 いつ? それは確か…… 何度か駆け巡ったモヤモヤとした気持ち。何かを掴めそうでいて掴めなかった。 だが月の――それもこの場所に近づくにつれて何かが晴れていくような気がしていた。 (ここに来てくれたローザ……リディアやエッジににも知ってもらわなければいけないだろう。きっと……) 幾度もの出会いと別れ……そして再会を経験した自分の仲間……そして生まれ育ったあの場所を代表する人達として (それに、カイン) 今ここにいない者――未だに互いに譲り合う事の出来ない関係の者の名を呼ぶ。 (君ともまた……まだ……) そっと目を閉じて想いを張り巡らす。 (そしてゴルベーザ) あの星を脅威に陥れている者―― (おそらくはまた剣を交えねばならない。その為にも……この先に進む必要がある) 塔の内部、短い距離の静かな道程でセシルは想いを馳せた…… -[[明かされる想い 目覚める力3]]

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