ff6 - 04 narche

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背後から、硬い靴音が聞こえた。 「いたぞ!」  男の、どこか嬉しげな声。その声を合図に、幾つもの足音はどんどん近付いてくる。  見つかった。  身を隠すようにひっそり歩いていたティナは、慌てて走り出す。  怖くて振り向けない。  足音は自分を目指して真っ直ぐに走っている事は分かった。  自分は、帝国の人間なのだろうか。帝国の人間だと何故いけないのか。ジュンという老人は、なぜ私を逃がそうとしたのか?  何故、自分は逃げているのか?  何故彼らは追ってくる?  走る理由も分からず、ティナは走った。 「待て!」  男たちの荒い息遣いまでもが聞こえる距離になっている。  当たり前だ、体力が違う。逃げ果せるわけがない。  髪が目の前にちらつき、こんなときなのに、邪魔だなと思った。  息が上がる。  頭の中が白くなっていく。 「そっちはどうせ崖だ!あきらめろ!」  思い出せない、どうしてこんなことになっているんだろう?  足が縺れる。靴の踵が割れたかもしれない。  バランスが崩れる。 「待て、動くな!」  もう駄目だ。  もう走れない。  考えられない。  どうしてこんなことになったの。  眠りたい。 「よし、捕まえたぞ!」  伸ばされた手から、それでも逃れようと身をねじると、踏み出した先に地面はなく。  全身に、「落ちる」感覚が襲った。  そこで、ティナの意識は途切れた。

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