ff6 - 06 narche

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 夢を見た。  色あざやかな宝玉、高い飾り天井。物物しい武具の並ぶ、絢爛豪華な装飾が施された一室。 「魔導の力を持つ娘か…」  道化のような姿の男が真紅の口許を裂くように笑ませている。 「操りの輪で、私の思うが侭…、ひいては、世界すら手中だ」  含み笑いは嵩じて、やがて高笑いが辺りに響き渡る。  瞳孔は虚空の星を映し、鋭角的な白い顎は仰け反る。  風景が変わる。 「すべて焼き尽くしてやる」  そこは赤い光で滲んでいる。  滲んでいるのは、熱のせいだ。  陽炎に、世界は滲んでいるように見えるのだ。  この腕から生まれる炎。炎。炎。 「すべて焼き尽くしてやる!あっはっは…」  世界は赤い。  風景が変わる。 「我がガストラ帝国は魔導の力を復活させた」  重鎮といった風情の軍人が会する場で、最も豪奢な衣装で身を包んだ壮年の男が私の肩を抱き、「fire」と囁く。命の通り念じると、小さな炎が私の指先より放たれ、赤い絨毯を焦がす。 「見よ、選ばれし者のみに許される神聖な力を!」  高らかに声を上げる。 「今こそ、我がガストラ帝国が世界を支配するとき!」  男の声に、一斉に腕が振り翳される。 「万歳!」 「ガストラ皇帝万歳!」 「帝国万歳!」  夢を見た。  それはこんな夢だった。
「遅い」  ジュンは笑った。 「ドロボウがそんなんじゃ、盗れる宝も盗れなくなるな」  薄い鳶色の髪をした男は、ジュンの言葉に眉を上げる。 「ど・ろ・ぼ・う?」  ジュンは男のその返し方に満足する。もう25にもなるのに、一向に大人にならない。これが、この男の持ち味だ。それがたとえ表面上のポーズでも。 「相変わらず分かってないなぁ、ジュン。俺はトレジャーハンターだぜ?」 「どう違う?」 「ぜんぜん違う、ロマンがあるだろ」  なるほど、楽しげなその双眸には、ドロボウと言う言葉からは程遠い、涼しい光が確かにある。  しかし全身から漂うその身軽な匂いは、やはり堅気のものでもない。  上背はあるがどこかひょろっとした印象のあるこの男は、ロックと言う。  ジュンの所属している地下組織、反帝国派「リターナー」の協力者だ。 「で、俺を呼んだって事は、なんかいい情報でも?」  本題に切り込むロックの顔は、途端に仕事の顔になる。さっきまでの顔とどう違うかというと、つまりはロマンの有無だ。 「例の少女に会った」  簡単に答えると、ロックの眼は一気に輝きを増した。 「あの魔導の少女か!?」

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