ff6 - 15 figaro

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私の力を、知っているのに?  ティナは、明確に言葉にはしなかったが、エドガーが意を汲んだように微笑んだ。  そう、ジュンもロックも、追ってきた男たちも、目の前のエドガーも。みんな、ティナの魔導の力を知って、何らかのかかわりを持ってきている。  それは、リターナーだとか、帝国だとか、一国の主だとか。本当に、さまざまな人間が関与している。この、魔導の力を求めて。  魔導の力は、いったいあなたたちに、何を与えるの?  どうして私を追うの?  ロックにも訊かなかった事を、どうしてかティナはエドガーにぶつけた。 「どうして?」  やれやれ、という風に、エドガーが1度、深く目を閉じる。 「まず」  まず? 「君の美しさが心を捕らえたからさ。第二に君の好きなタイプが気に掛かる・・・魔導の力のことはその次かな。」 「…?」  エドガーがティナの反応を待っているのを感じ、瞬きをする。  何を言ったの? 「え?」 「いや。」  エドガーが顎に手をやる。 「鈍ったかな。」  低く短い呟きが聞こえたが、よく分からなかった。 「なんていったの?鈍い?」  エドガーがティナの直截さに、思わず吹き出す。 「え?なに?」 「口説いたんだよ、さっきのは」  口説く?  ティナが黙ったままなので、エドガーはたまらずに声を上げて笑った。  「ああ、私にこんな無粋な事を言わせるなんて、流石だね」  ゆっくりしておいで、と言い残して、笑みを口の端に残したまま、エドガーは重たげにマントを翻し、部屋を抜けていった。

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