ff6 - 23 figaro

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「ロックね…、あの人は立派な若者よ。とても思いやりがあって、分別もあって……、  エドガーにも見習ってもらいたいものだわ!」  先程までとは打って変わって、彼女の口調はすっかり親しげに満ちたものに変わってる。 その変貌に驚いているティナに気づいたのか、老女はもう一度頭を下げた。 「あぁ……本当にごめんなさい。でも、分かっていただけるかしら。  あなたもこの城の至るところで……見たでしょう? あの女中たちを……」  ティナはようやく頷いた。  それは兵士に案内をされている間に彼女自身も気になっていたことだ。つまり、城中の どこに目を向けても映る、女性たちの姿にである。その女性たちは、みんなエドガーが 方々の街から連れてきた手合いなのだそうだ。  そうして際限なく増えていく女性たちの管理で、さぞかしこの老女は日々骨を折っている のだろう。そこにやってきたティナの姿に、兵士の「エドガー様の…」の一言である。 彼女が早とちりをするのも無理はないというものだ。 「あぁ……それで。あなたはここにしばらく滞在されるのかしら?」  そんな事情を伝えてから、ふと老女は口調を改めた。  彼女の声に先程の険しさが戻りかけているのを察して、ティナはすこし緊張した。 「…いえ、ご迷惑をおかけするわけにもいきませんし。できるだけ早く、出て行こうと…」  この返事に、老女はいよいよ気を良くしたようだった。 「まぁ、まぁ、まぁ! そんなご遠慮なさることは無いのよ!  あなたのような理性的な方なら、いつまでだっていてくださって構わないんですからね。  そうだわ、あなたさえよければ、私の部屋においでになってくださっても……!」  子供のようにまくしたてる老女の喜びぶりに驚きながら、ティナはクスと笑った。  きっとこの城にいるのは、彼女がうんざりするほど華やかな女性たちばかりなのだろう。  そして、その人たちはきっと、先程のエドガーの言葉にも頬を染めて喜ぶことが出来る ような人たちなのだろう。

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