FF6オープニング:ナルシェ行軍10

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                   *** 「炭坑の守りをかためろ!!」  悲壮なまでの叫び声を、やはり遠くに聞いたような気がした。目の前に現れたのは これまでにない多勢だ。おまけに人間だけではなくメガロドルクまでいる。普通に考えれば、 こんなモンスターまで手懐けているナルシェの防衛機構には驚かされるところだ。  しかしそれも、帝国軍の魔導アーマーの前では然したる問題にならなかった。  彼らの操る魔導アーマーの足元で、数分前までは命を持っていたものが雪の上に積もった。 “少女”の搭乗した魔導アーマーが、その上を歩く。  そんな少女の顔を、脳裏に焼き付ける者が居た。  目の前で次々に仲間を殺されていった男は絶望を振り払うように、炭坑を守る最後の砦を 解き放つため、その場を離れ駆けだした。  こうして、前進を続ける彼らの前に立ちふさがる者はいなくなった。ここまで見せつけてやれば、 いい加減逃げたのだろう。逃げるのが自然だ。今まで向かってきた奴らの方が異常とも言える。  やがて前方には黒く口を開けた炭坑の姿が見えてきた。組まれた足場から察するに、それほど 古い物でないことが伺える。  三人は入り口の前で一度立ち止まる。 「情報によれば、新たに掘った炭坑から氷づけの幻獣が出てきたらしい……と いうことは、この奥か?」  不安や疑問というのではなく、確認という意味で相棒に問う。問われた男は頷いて前進を促した。  “少女”以外のふたりにとって、この炭坑が二度と出られない闇への入り口になるのだとも知らずに。

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