一節 新たなる旅立ち2

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「そのままローザに向かってかざして」 「それだけでいいのか?」 その答えに、セシルは思わず訪ねる。 セシルは今まで宝石で病気が治るという事例に遭遇したことがなかった。そのため、かざすだけでよいというのは少しばかり驚いた。 もっと複雑な手順がかかるとおもっていたのだが。 「ああ、それだけだ。だけど、あえて言うなら一つだけ注意することがあるね」 「何?」 「その人が治ってほしいと願うこと」 「え?」 その一言だけではギルバートが何を言っているのか分からなかった。 ギルバートは少し間をおいて続ける。 「大切な人を失いたく無い。そう願えばきっと大丈夫さ……」 「分かった……」 アンナの事を思い出していたのか、ギルバートは悲しそうな顔をしていた。 「ローザ……すぐに直ぐに治してあげるから」 セシルはローザの耳元で優しく言い放ち、懐から砂漠の光を取り出した。 ギルバートに言われたとおりに、砂漠の光をローザの枕元でかざす。 その途端、宝石が輝き始め、ローザに向かって光りを照射した。 光がローザを優しく包み込む。 お願いだ……ローザを…… 砂漠の光をかざしながら、セシルはそう願い続けた。 誰もが黙ってその様子を見ていた。 どれぐらいの時間がたったのだろう。突如、砂漠の光が砕け散った。 それによりさらに輝きは増し、部屋を光りが支配する。 その光にセシル達は目を覆った。

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