一節 モンク僧4

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山の頂上には男の言った通り、男がボムに囲まれていた。補足すると男達が、ボブス山に巣くうありとあらゆるモンスター達にだ。 「はあ……」 だが、男はこの危機的状況にも限らず落ち着いていた。まるで周りに自分以外の存在を認識していないかのようであった。 それであっても一方的に攻撃されるのでなく、的確に攻撃を受け流し反撃の機会を伺っている。 上半身は裸で、特徴的なフェイスマーク模様が付いているズボン、そして特殊な髪型。 その特異な衣装は彼がモンク僧だと言うことを物語っている。 「ふん!」 男はかけ声と共に飛び宙を舞う。そして目にも止まらぬ速さで近くにいる矮小な獣人、ドモボーイに蹴りかかった。 「グガァ!」 低い呻き声を上げ、その獣人は地に伏した。 「ふう……」 返り血を拭い安堵の息を漏らすヤン。だが、直ぐに元の険しい表情に戻る。 いくらファブールでは敵なしの彼でも、この数のモンスターと孤軍奮闘するのは分が悪かった。 「ヤン隊長。このままでは全滅です! 此処は退きましょう」 生き残った部下の怯えた声が聞こえてくる。 「…………」 ヤンは周りを見渡す。何人もの傷ついた部下がモンスター相手に悪戦苦闘している。 逃げられるか? 一瞬のうちによぎったそんな考えを頭から払う。 こうもあからさまに囲まれていると、とてもじゃないが逃げおおす事は不可能であろう。 自分だけならばなんとか可能であるかもしれない。 しかし、自分は誇り高きファブールのモンク僧の隊長である。負傷した部下を置いてファブールに帰還でもしてみろ。 民に顔がたたないし、王はそんな自分を許さないだろう。それ以上に自分がその事を許さないであろう。 「…………」 しかし、それだからと言ってこの状況をすぐにでも覆せるれはしないだろう。この数ではいずれヤンも押されてしまうだろう。

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