一節 モンク僧5

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もう駄目か……ヤンは半ば死を覚悟した。 思えば、自分はモンク僧。国を守る為に日夜修行を重ね、国を守る為戦う。そのためにはこの命など喜んで捨てよう。 ヤンはいつも自分にそう言い聞かせていた。だが、実際に死が自分の近くにやって来ると、やはり恐怖を感じた。 ファブールにいる最愛の妻を思い浮かべた。自分が悲報を聞くと彼女はどんな顔をするだろうか? やはり悲しみ涙するだろうか。それとも…… そこまでで思考を停めた。どのみちヤンには知ることの出来ぬことであった。 モンスターの鋭い攻撃がくる。これで最期だ……ヤンは確信した。こんな自分を守って死んでいった部下達に詫びをしなければな…… 薄れゆく意識の中でそんな事を思った。 「大丈夫ですか!」 その若くも強い声がヤンを現実へと引き戻した。 目の前を見るとそこには漆黒の鎧を身に纏った男が立っていた、 「ここは……」 自分は生きているのか? そんな疑問を抱くヤン。 「詳しい話は後です。それより今は此奴らを何とかしないと」 剣を構えるセシル。 「ローザは治療を!」 「分かったわ」 そう言ってローザは周りの部下達の治療を始める。 「ギルバートとリディアは援護してくれ!」 「うん」 「分かった」 それぞれ戦いの準備に入る。 「私も一緒に戦おう」 そんな彼らを見て、ヤンは傷ついた体に鞭を打ち立ち上がった。 「分かりました。でも無理はしないでください」 「承知した!」 ヤンも戦闘の構えをとる。

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