一節 モンク僧7

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「ブリザド!」 リディアが黒魔法を唱える。その声と共に辺り一帯に氷の刃が舞い、モンスターの群れを切り裂いていく。 ボムはたまらずに逃げようとする。体中に火を内包した彼らにとって、氷は天敵のような存在だ。 「これで、残るはボムだけか」 セシルはあちこちに徘徊するボム達を見渡した。氷を恐れ、避けるようなその動きは酷く不安定だ。 この調子なら一気に掃討できるか? セシルは剣を強く握り締める。 「ねえ……あそこ」 リディアが指を指す。その手はがちがちと震えていた。 「何だ……!!」 その方向を見た瞬間、セシルは凍り付いた。セシルだけでは無い、ここにいる誰もが少なからずは恐怖していた。 ボムが自爆しようとしていたのだ。しかし、普通これだけでは誰も驚かない。 ボム等この山には幾らでも生息している。ボムの自爆などこの山では日常茶飯事であり、その爆発力も決して高くは無い。 なので、この山を初めて通る者でもこの山を下る頃にはそんな些細な事は気にも留めなくなるであろう。 だが、今目の前にいるボムは普通では無かった。自爆しようとするそのボムは、半端でない位に膨脹していた。 その有様はまるで巨大な雲のようであった。 「!」 あれ程の物が爆発したらこの辺り一帯は木っ端微塵だろう。 「みんな、逃げろ!」 誰かの叫び声が聞こえた。 そして、ついに完全に膨らみ飽和状態になったボムが爆発を始めた。

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