一節 モンク僧8

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―――その前にいち早くセシルが前へ飛び出す。 一般の目にはなんとも無謀に映る行為だが、 仮にもバロン王国の屈強な兵士達をまとめあげたほどの力量。 数々の死線をくぐりぬけたその体は、怯む心を押さえつけ、初めの一歩に至らせる。 そして刹那の硬直の間ですら、彼には思考し、判断する為の貴重な猶予。 ―――まだだ――間に合う――慎重に――― ボムが正に限界を示す表情を表した時には、セシルの足はその懐まで距離を詰めていた。 (落ち着け………刺激を出来るだけ与えないように………) 膨れあがる赤球の下腹部辺りに剣を当て、剣の中間に左手を添えた。 そして一気に足を踏み込み――― 「はああああああ!」 遥か上空へ、力任せに押し上げた! 剣にかかる重圧が軽くなったと感じたその直後、 空が白く輝いた。次いでその衝撃が爆音と共に、地上に風圧として伝わる。 空は赤みを帯び、黒みを帯び、やがて元の青を取り戻した。

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