一節 モンク僧12

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セシルは影の方に目をやる、影の正体は男であった。歳はセシルと同じくらい、もう少し若いだろうか。 男は片方の手から血を流し、もう片方の手でそちらを押さえていた。側には輝きを失ったナイフが転がっていた。 一体誰があの状況で攻撃できたのだ。ヤンもギルバートも驚いた顔をしている。 セシルは辺りを見回す。するとローザと目が合った。 「ローザ、まさか君が……」 「ふふ、そうよ」 そう言って右手の弓を見せ、笑う。 セシルはバロンにいた頃の事を思い出した。ローザは弓の腕に関してはセシル以上の力を持っていた。 現にセシルが幼少の頃、バロンで弓の訓練をした時に飛び入りで参加したローザは一番の成績を残し、回りを驚かせたものだった。 「ちっ! しくじちまった」 男が舌打ちをする。 「その勲章はバロンの!」 セシルは男の腕の勲章に目をやる。 「くっ……」 「一体バロンは何をやろうとしているのだ」 セシルは訪ねる。 「ふん! 俺はお前達を此処で足止めするために遣わされた。だが、もう手遅れだな。 主力のモンク部隊がこの様ではファブールは終わりだな!」 「やはり……あのボムの大群もバロンの……」 「どういう事だ」 ヤンが声を荒げる。 「直にゴルベーザ様率いる赤い翼がファブールへ攻め込むであろう。そうすれば残りの クリスタルはトロイアのだけだ!」 「一つ聞きたい。父……いや、バロン王は何故クリスタルを?」 「知らん」 そう言った後、男は崖の方へ後ずさった。 「ゴルベーザー様、万歳!」 そう言って地上へと落ちていった。

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