二節 剛の王国15

「二節 剛の王国15」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

二節 剛の王国15」(2007/12/12 (水) 04:00:49) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

王が負傷の知らせはヤンの耳にも届いていた。その為、兵の士気は圧倒的に落ちていることなど想像するに容易かった。 ヤンも引き際が分からぬ程、愚かではなかった。 「さあ、早く!」 「待て!」 後ろずさるヤン達を尻目にセシルは前へと踊り出す。 「カイン、どうしてもやるというのなら僕と戦え。君が勝てばクリスタルを好きにしていい」 「一騎打ちというところか? いいだろう。受けて立つ」 「セシル殿!」 先程よりも強くセシルの肩を掴むヤン。 「すまないヤン。でもこうさせてくれないか。僕は……」 「うむ……承知した」 数瞬の後、ヤンは手を離した。 兜に隠れて表情は伺えなかったが、その時のセシルの顔はヤンを納得させるのに十分であった。 しばらくの後、クリスタルルームの中心に二人の男が睨み合う形で向き合っていた。 「カイン、一つだけ聞いて良いか?」 「一つだけならな」 無愛想な返し、それはいつものカインと変わらぬものであった。 「あの時の約束は嘘だったのか?」 ミストが滅びた日……セシルとカインが別々の道を歩き始めた日。 「…………」 「答えろ、カイン」 「ふっ、敢えていうなら覚悟がなかったんだな」 「覚悟?」 「お前は国に背き、今こうして抗おうとしている。俺にはそれだけの覚悟が無かったというだけさ」 言い終わらぬうちに槍を構える。準備万端という所か。 「だから今、俺たちは戦おうとしている。自らが守る者の為に。違うか?」 「……分かったよ、カイン……それなら僕も手加減はしない」 「そうでなければな。セシル、お前の覚悟見せてもらうぞ」 暗黒騎士セシル、竜騎士カイン……バロン最強の二人の戦いが今まさに始まろうとしていた。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。