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「な・・ぜ、だ」
あり得ない。この至近距離で放ったら、カインの身体が二つに裂けてもおかしく
なかったはずだ。なのに、それどころか。セシルはその瞬間を確かに見た。
自らが放った黒い光がカインに触れたその瞬間、
突き抜けた。
愕然として見上げるセシルの腹をカインがしたたかに踏みつけた。
「だから言ったろう」
カインが顔を近づける。
歪んだ笑みがそこにあった。
「暗黒剣は、もう飽きたと」
ズブリ、と音を立ててカインの槍が刺さった。
「・・っ、くっ・・ぅ!」
鋭い痛みがセシルの全身を走った。抑えきれないうめき声が漏れる。
耐えられない、まるで肉が焼かれるようだ。しかし抗おうにも、さきほどの
暗黒波の反動で両腕はぴくりとも動かない。
強すぎる。それに、この歪んだ笑み・・まるで別人だ。
いったい何があったんだ。悶え苦しむセシルを足蹴にしながら、カインが
再び笑い声を上げた。