三節 Two of us3

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 地下道を走りながら、ローザは先ほどのギルバートの言葉を反芻していた。 「カインが敵に────!」  背後を振り返ると、少し遅れてギルバートがリディアの手を引いて走っている。  ローザは視線を低くしている彼を睨みつけ、彼が顔を上げるとまた前を見据えた。 (────何も知らないくせに!)  彼女にとって、セシルとカインとの三人の輪は聖域だ。誰にも傷つけられないし、 もちろん内側から破れることなどあるはずもない。そしてそこに土足で入り込んできた ギルバートは、憎むべき対象だった。 (何かの間違いに決まってるわ)  仮にギルバートの言っていることが事実なら、それはきっと魔物がカインの姿を 纏っているだけに違いない。たとえ操られようとも、本物のカインがセシルを傷つける ことなどあるはずがない。自分もセシルも、必ずそうであると断言できる。  けれど、何かが起こっていることは確かだった。聖域に、大きな危機が迫りつつある ということを、彼女は直感で感じとっていた。先ほどのギルバートの話に納得しかね ながらも、彼に従った理由もそこにある。  自分の目で確かめればいい。地下道を抜けて、閑散とした王の間に躍り出ると、 そのまま彼女はクリスタルルームに走りより、そして息をのんだ。

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