三節 Two of us5

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扉を開けたローザの目に飛び込んできた光景は、彼女の意識を破壊するにあまりある ものだった。部屋の中心に立ち、同じように放心したように自分を見つめるのは、 まぎれもなく親友のカインの姿。  そして、 その、 手の、  槍が 、セシルの、・・ 「やめてえぇーーーーーっっ!!」  もっとも大切なひとが奪われようとしていた。  もっとも信頼していた友人の手によって。  その光景の意味を理解してしまう前に、彼女の理性はそれを否定した。 「ローザ!?  なぜ、君がっ・・!?」  泣き叫ぶローザの姿にカインは気を取られ、無意識に槍を握る手を緩めていた。 その機を逃すヤンではなかった。  痛烈な爪の一撃がカインのみぞおちをえぐり、続けざまの攻撃で間髪入れずに壁際に 蹴飛ばされる。 「ぐっ!」 「ローザ殿!」  すかさずヤンがセシルを守るように立ちはだかり、傷ついたセシルを目で示した。 ローザは恋人のもとに駆け寄り、深々と鉄の刃が刺さった胸に気遣わしげに手を添える。 胸を抑えながら踞り、カインは自分を見下すモンク僧を凄まじい視線で睨みつけた。 「き、さま・・!」 「カイン! お願い!」  再びローザが悲痛な声で懇願する。その声に、カインもまた悲痛な表情で押し とどまった。激しく歯を食いしばりながら、カインは怒りに身震いしていた。

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